ジャハ中央にある"翠緑の塔"。
その最上階で、二人は会話を交わしていた。



ひとつ、忘れていたことがある。


ジャハ中央にある"翠緑の塔"。
その最上階で、二人は会話を交わしていた。



忘れてたって、ノックすること? それとも奇襲をかけること?





昔、君を空の散歩に誘ったことがあっただろう。人に見られたら困ると君が言うので、夜に出かけたことが。





あったね、そんなこと。夜の空を泳ぐのは、気持ちよくて面白かったよ。





そうか? あの日はとても天気が良く、日の光がポカポカと心地よかった。私は本当は、昼間の空を飛びたかったんだ。なぜかやめてしまったけれど。





今はそんなことより他に、思い出してほしいことがあるんだけど。





何だ?





決まってるでしょ。私が君の命を狙っていて、私たちが殺し合いをしていることだよ。





そういえばそうだ。





それじゃ、始めようか。





そうしよう。そして、さっさと終わらせよう。


ジャハの中央で、大きな音がした。
僕たちは急いでそちらを見上げた。
中央には緑色の立派な塔がある。そのてっぺんから、火柱が立ち上っていた。



おい、馬鹿どものいそうな場所がわかったぞ。





あの塔を目指せばいいね。でも・・・





魔物がいるとは聞いてたけど、思ったより数が多いね!?





はっ、これだけ的がありゃ、肩慣らしにはちょうどいい!





ですです!


ヤムカが人形たちに命令した。
人形は両の手にひとつずつ、白い破片を持っている。高く掲げたふたつの破片の間に、まばゆい光が集まり始めた。



魔法師相手には使えなかった攻撃だ。なんたって、殺しちまうからな。


人形たちの手元から光線が発射された。
光の触れた部分が焦げて消し飛ぶ。魔物の体が寸断され、コアがあらわになった。
それをめがけて、僕は剣を振るった。



えいっ!


それぞれのコアを破壊すると、魔物たちはチリになって消えた。



いい感じだね!





よし。このまま進もう!


僕は緑色の塔を見上げた。
塔は屋根から煙を上げ、それでもなお、そびえていた。
