俺たちは観光案内所により、早々にノーツモニュメントを発見することができた。音の吸収は魔法には含まれないらしく、難なく終わらせることができた。



・・・よし、これで音は納められたかな。





わーい!!観光観光~!!


俺たちは観光案内所により、早々にノーツモニュメントを発見することができた。音の吸収は魔法には含まれないらしく、難なく終わらせることができた。



はしゃぐのは良いが、あんまし離れたりするなよ?ここは人が多いからすぐにはぐれちまう・・・得にルナ。





大丈夫よ子どもじゃあるまいし・・・ちゃんとついて行くわ。





まあ、最悪はぐれたらここで待ち合わせにすればいいんじゃないかな?時間とか決めて。





そうだな。それじゃあ、はぐれたらここに・・・何時頃が良いかな?





んんむ・・・ホテルのチェックインなんかもあるしな・・・四時か五時くらいが妥当じゃないか?





じゃあ、五時にするか。ゆっくり見て回りたいだろうし・・・





はぐれないのが一番だけど・・・





そうね・・・ま、あたしは心配ないわ!
もしもの時は空を飛んでみんなのことを探せるもの!





それは言えてるね。でも、アルトとルナは特に気をつけること!騙されやすいんだから、また変なのに目をつけられたら大変だし・・・





騙されやすいのは確かにそうだが・・・世間知らずに関してはお前も相当だからな?アルマ。





うるさいなあ・・・わかってるよ





ほらほら挑発しない・・・


何か・・・アルマが反抗期の子どもに見えてきた・・・そんなこと言ったら怒られそうだけど。
俺たちはネプトの先導に従って、ミッドナイトの町並みを歩き始めたーー。
ーー朝を知らぬ街・ミッドナイト



すごい・・・色んなお店があるのね!!


あたしたちは、ノーツモニュメントがあった大広場から少しのところにある・・・えーっと、はんかがい・・・?と言うところに来ているわ。
なんか・・・もう、すっごいのね!はんかがいって!!さっきから色んなお店が隙間なく並んでて、色んなものが売ってて・・・!もう、こう・・・そう、何かすごいの!!



人の量もすごいや・・・これみんな国民なの?





んー、全部ってわけじゃないかな?観光客もちらほらいるかな?でも、やっぱシーズン中はこれよりもっとすごいらしいぜ・・・呼吸ができないとか。





呼吸ができない!?人で!?





ああ。何でも、車道が人で埋まるらしいぜ。んで、交通規制なんかが一斉に起きて、そりゃあもう大混雑だとか・・・。





うわあ・・・





ま、そういうときには自動車規制緩和促進型のアンドロイドがいろいろ手を打ってくれるんだがな。





そういえば・・・さっき寄った管区案内所の受付さんも、お店の店員さんもみんなアンドロイドなんだよね?





・・・&・・・?





・・・あんどろいど・・・?





んー、要するに、ちょっと性能の良いロボットのことだな。





あの人ロボットだったの!?全然気づかなかった・・・





まあ、まだあんな感じの完全な人間そっくりなアンドロイドは普及しきってないみたいなんだがな。





すごいな・・・俺が住んでた世界にある街にそっくりだけど、こっちの方がものすごく発展してるよ・・・!





おっ、その話詳しく聞かせてくれよ!


うーん?何か難しい話し始めちゃったわね・・・?全然入っていけないわ・・・。ま、いっか。重要なことでもなさそうだし!
それより、次はどこのお店に入ろうかしら?うーん・・・食べ物・・・は、まだ良いわね。お昼時にはちょっと早いだろうし・・・たぶん。ここ、ずっと暗いから時間感覚が狂っちゃうのよね・・・困っちゃうわ。



っ・・・!!





・・・?今誰か、細い道に入ってった・・・?
ねえ、みんなもみえ・・・あれっ?


ついさっきまで前を歩いていたアルトたちが消えちゃった・・・!!ど、どうしよう・・・!



うわわっ!!と、とりあえず飛んで・・・!





ひゃあっ!?


さっき、誰かが入っていった細い道から・・・?何かあったのかしら・・・?アルトたちを探さなきゃだけど・・・でも・・・!



ちょっとくらいなら・・・平気よね・・・?五時までにノーツモニュメントの前に戻れば良いんだし!!


あたしは辺りをもう一度見回してから細い道に入っった・・・って!!



うわっ!?





ひゃわっ!?


道に入っていったと思っていた人は、すぐのところで立ち止まっていた・・・!



ああんもうびっくりしたぁ!!
急に出てこないでよお!!





・・・・・・・・・





・・・!あ、え、えっと、もうしわけございます・・・!わたしはひどく戦き、自ら顧みて、後悔しております・・・です・・・のだ・・・。





ちょ、ちょっと落ち着いて・・・支離滅裂になってるわよ・・・?


通路に張っていった人ーー体中に擦り傷が目立つ男の子は、一瞬無表情になってピタリと動きを止めた。どこかから何かが低く唸るような音がすると、男の子は目をパチパチと瞬かせて深くおじぎをした。



申し訳ございません…少し動揺してしまいました…





ううん、いいのよ。私の方こそごめんなさい、驚かせるようなことしちゃって…





あっ…は、はい……





それより、さっきものすごい音がしたんだけど…大丈夫?





はい・・・その・・・ちょっと転んでしまっただけですので…それで先ほどは言語機能に支障が…





そんなにすごい転び方をしたのね…あ、ちょっといいかしら





は、はい…


細かい擦り傷だらけになっている男の子に、あたしは治癒魔法をかけた…使用禁止ってなってるけど、怪我が悪化しちゃうよりいいものね。それに、誰も見てないから大丈夫。心配ない心配ない♪……でも……



あ、あれ…?おかしいわね…


彼の傷は一向に癒える気配がない。



!!だ、ダメです!!ここで魔法を使っちゃ…!!





え?大丈夫よ!だって誰も見てなかったじゃない。それに、怪我が悪化したら大変よ?応急処置くらい…





そうじゃないんです!!この都市には……


その時——
突然、耳をつんざくような大きな音が・・・!!



うわっ!?な、なになになになに!?





しまった…!妖精さん、逃げますよ!!





へ!?ちょっ、きゃあっ!!


男の子はあたしを胸の前でだき抱え、そのまま走り出した…!



ちょ、ちょっと!!もう!!何なのよ!!





ちょっと我慢してください!





待ってってば!なんであたしが逃げなきゃいけないのよ!?





あなたが魔法を使ってしまったからです!!この都市には、至るところに魔法を感知するセンサーが設置されているんです…





せ、せんさあ…?よ、よくわからないけど、魔法が検知されちゃって、こんな事になってるのね…じゃあ謝りに行くわ。怪我の治療のためといえ、規則を破っちゃうのはまずいものね…





何言ってるんですか!そんな事したら一生刑務所から出てこれませんよ!





そ、そんな大げさな…





大げさじゃないです!!ここでは、魔法を使用することは大罪に値します。たとえ人命救助でも!!下手をしたら処刑モノですよ!!





うっそ…


あたしはさあっと顔を青くした…じゃあ、もしかして、この子がここまで理解のある子じゃなきゃ…あたし、ほんとにヤバかった…?



ど、どうしよう…





ここをもう少し行った場所に、身を隠すことができる場所があります…とりあえず、そこまで逃げ切れれば…!


不意に聞こえたその音に、男の子は顔に絶望の色を示して立ち止まった…何してるのよ、と声をかけたかったが、その前にわかってしまった…後ろを振り向くと、そこにはーー



残念だったなぁ?もう逃げられないぜ、スクラップ





おいおい、しかもそいつ…今しがた発表された第1級犯罪者じゃねえか?だったら大手柄だぜ!!


どでかい銃のような何かを構えた二人の男性が道をふさぐようにして立っていた・・・



え、えっと…すくらっぷ…?ど、どうしよう…?





…………ごめんなさい、妖精さん…ここまでみたいです…





え…えええええ!!!


ーーミッドナイト・ノーツモニュメント前



・・・・戻ってこないね、ルナ・・・





迷っちゃうほど遠くに行っちゃったのかな・・・?探してこようかな・・・





待て待て、お前らが行っても迷子が増えるだけだ。





こういうときは交番に頼るのが一番だ。ちょっと聞いてくっから、お前らはここで待っててくれ。





うん・・・頼むよ。





どこ行っちゃったんだろうね、ルナ・・・





うん・・・また変なのに巻き込まれてなければ良いけど・・・





そうだな・・・





僕が目を離さなければ・・・





アルマだけのせいじゃないよ!
気づいたときに探してれば良かったんだ・・・





・・・うん・・・





・・・なあ、アルマ。この前、魔族の友達がいるって話してたよな?俺はまだ魔族って見たことないんだけど、どんなやつなんだ?





へ・・・?
うーん・・・どんなやつ・・・か・・・





魔族は、天族の突然変異で生まれた種族なんだ。天族は翼が生えていて、光属性の魔法が得意。それに対して、魔族は翼が生えていなくて、闇属性の魔法が得意・・・それから、すごく頭の回転が速い。





天族も魔族も互いを嫌ってるって言ってもいいくらい、仲が悪い。何回か種族間の戦争もあったみたい。





あ、あれ・・・アルマは魔族の友達いるんだよな・・・?





うん。僕は天族の中でも変わり者だったからね。普通に人間も好きだし、イマガイも好きだし・・・と言うか嫌いになる理由が見つからない。





僕自身が、突然変異が起きた天族だからって言うのもあるのかもしれないけど・・・





へえ・・・何か難しいな。





そうでもないよ。だって、僕は僕だし。僕を否定できるのは僕だけでしょ?





自分を否定できるのは自分だけ、か・・・





そういうこと。





それにね、シルフ・・・彼はすごく良い子なんだ!
初めて会ったときは女の子かと思ったくらい美人で、魔法も剣技も一流。誰にも思いつかないようなことをぱっと思いついちゃう!





ちょっと横暴なところはあったけど・・・





でも、すごく頼りになるんだ!





そうなんだ!会ってみたいな・・・





この旅が一段落ついたら、紹介しようか?





うん!ぜひ!!





僕もしばらく会ってないからなぁ・・・急に行って驚かしてやろうかな♪





あはは、それはちょっと悪いんじゃないか・・・?





アルト、アルマ、大変だ!!





おかえり。どうかしたの?





ルナになにか・・・!?





ああ・・・それが・・・あいつ、何故か第一級犯罪者になってやがる・・・!!





は!?





へ!?どういうこと!?





それがわかれば苦労しねえよ・・・何かの勘違いかもしんねえ。とりあえず情報を集めるしかねえ!





わ、わかった・・・でも、情報を集めるったって、第一級犯罪者のことなんて、そんな簡単に集まるもんなのか?





確かに・・・そこまでいったら普通は隠されるはずだし・・・





そこら辺は心配ねえ。とりあえずアテはあるから行くぞ!





い、行くって、どこに・・・?





どこにって・・・こんな情報握ってる場所ったら、あそこしかねえだろ。





・・・???





・・・・?





中央政府だ中央政府!!行くぞ!!





はあああああ!?





中央政府!?ちょ、ちょっと待ってよネプト!!





あー、はいはい事情は後でたんまり話してやっから、黙ってついてくる!!





お、おう・・・





ますます怪しい・・・





黙 っ て つ い て く る !





わ、わかったよ・・・





大丈夫・・・なのかなぁ・・・?


