ーーイマガイ・ミッドナイト前
ーーイマガイ・ミッドナイト前
うわ・・・すっげー！！
一面壁で覆われてるわね！！
アルバスを出て数十分後ーー移動は転移マジック一発ですんだので、さほど苦労せずミッドナイトの前まで来れた。
そこは、一面壁で覆われたドームのような国だった。
転移魔法で移動なんて・・・何か味気ねえな・・・
君だけ先にトワイライトに送っちゃうってのもアリだったんだけど。
つれねえなー！そんなに突っぱねるなよ～！
はあ・・・
ほらほら喧嘩しない・・・
そーそ！そんなことしてる暇があるなら、早く中に入りましょうよ！
ルナに促され、俺たちは自動ドアのようになっている入り口からドームの中に入った。
中は空調が働いているのか、快適な過ごしやすい温度だった。何か、SF映画にありそうな光景だ・・・。
すっごーい！！何これ何これ！！
すごい・・・こんな造りの建物、見たことないよ・・・
そうだな！！SFの世界に入ったみたいだ・・・！！
えすえふ・・・？ってのはよくわからんが・・・驚くのも無理はねえな。
ここミッドナイトは、魔法より科学が発展してる国でな。この先はもっとすげーことになってるぜ！
かがく・・・？
へ？かがくって実在するの？迷信じゃなかったっけ？
め、迷信って・・・魔法が普及してる分、イマガイでは科学は未発達なのか？
何言ってんだ？科学が実在するってのは、150年も前に証明されてるぜ。お前ら電気とか普通に使ってたのに知らなかったのか？
・・・どうやらそういうわけではないらしい。
そ、そうだったんだ・・・知らなかった・・・
うそぉ！？妖精の森ではまだ魔法燃料使ってるわよ！？
ああ、ルナは妖精の森出身だったか。
妖精の森は魔法燃料が豊富だから、科学を導入するよりそのままでいった方が楽だったんだろうな。知らないのも無理ねえな。
なーるほどー♪それなら仕方ないわね！
逆にアルマが知らないのは不思議だな！クラヌスでも十分に普及してるって聞いたぜ？
そ、そうなんだ・・・
え、それも知らなかったのか！？
お前情弱にもほどがあるぞ！？
「SF」は知らないけど「情弱」は知ってるんだ・・・
しょうがないだろ！気がついたら指名手配まがいなことになってたんだから！！
あー、そう言えばそうだったっけな。わりいわりい
通路を進んでいくと、やがてモニタールームのようなところに通された。他に通路らしきものは見当たらない・・・行き止まりのようだ・・・。
あ、あれ・・・？行き止まりみたいだけど・・・
ああ、この国侵入者対策しっかりしてるからなぁ・・・そのにある機械を使って、何かいろいろ情報入力しなきゃ国内に入るための入り口が開かないんだとか。
なにそれすごい！！
むむむ・・・でも、どうやって入力したら良いの？ボタンたくさんあるんだけど・・・
あー、そっか。機械類はわかんないんだっけか・・・アルトはわかるか？
キーボードらしきものをちらっと覗いてみると・・・見たこともない文字の羅列が・・・
ええっと・・・ごめん、文字なの、これ・・・？
ダメか・・・
わーった、全部入力してやんよ。ちょっと待ってな。
変なこと書かないでよ？
書かねえよ、こんなまじめなシーンじゃ。
それ以外では書くのか・・・ネプトは慣れた手つきでキーボードに手を滑らせると、ものの数分で四人分の情報を入力して見せた・・・すごい速かった・・・。
よしできたっと・・・。
速いな・・・慣れてるの？
ま、まあ・・・データ化した方が仲間の管理とか楽だし？必然的にな。
ねえねえ！後で使い方教えてちょうだい！
しっかり覚えて長に自慢したい！！
おう、任せとけ～！
あ、そうそうそれから・・・都市内では火気厳禁、刃物や拳銃、弓など武器の持ち込みは一切禁止、魔法の使用は禁止・・・だとよ。
あら、ずいぶんと厳しいのね・・・
侵入者対策しっかりしてるもんな・・・。俺たちは指定された収納口にそれぞれの武器を納めた。
武器はここを出るときに受け取れるそうだぜ。ちなみに、最大滞在期間は二日。目的は観光って事で。
そこまで聞かれたんだ・・・
あのな、アルマ。寧ろそれが一番答えなきゃいけねえ項目だから・・・
二日間もあるなら、ゆっくり観光もできそうね！
そうだな・・・入ったらすぐにモニュメント探して、音回収しちゃおうか。
わーい！！観光観光～！！
楽しそうで何よりだぜ
それは同感
そのまましばらく部屋で待機していると、正面の壁から空気が漏れる音がして、その一部がゆっくり開いた。
すごい・・・！
すごいすごいすごい！！！！
かがくってすごい！！！
わあ・・・！こんなの本当にあるんだ・・・！！
はいはい、感動してないで進むぞー。
こっから先はこんなんばっかだぜ？
しばらく薄暗い通路を進む。どこからともなく、車の走行音のような音が聞こえる・・・まだここに来て五日ほどなのに、ひどくなtかしく感じられた・・・。
やがて大きな鉄扉に突き当たり、俺たちが前に立つと、音もなく開いたーー。
わあ・・・
なにこれ・・・
こ、これは・・・！
さあて・・・お待たせいたしました。
ここが、科学都市・ミッドナイト・・・「朝を知らぬ街」だ！！
眼前には、背の高い建物ーービルが所狭しと建ち並ぶ、夜の大都会が広がっていた・・・そう、まるで、テレビで見た「東京」のような・・・。
すっげー・・・
見たことない造りのタワーがこんなに・・・もしかして、これが前にアルトが言ってた・・・？
な、なんだっけ・・・び、びら・・・？
お前ら、ビル群見るのも初めてか？
そうそれ！びるぐん！！こんくりーとジャングル！！
わあ！！まさしく宝の山って事だね！！どこから攻略しようか？
そう言えば二人の「ビル」に対しての間違った認識訂正してなかった！！今にもツッコんでいきそうな二人をネプトとなんとか止める。
ちょ、ちょっと待って二人とも！！
何言ってんだお前ら！これはオフィスビルだ！！何と勘違いしてんのかわかんねえが、攻略とかそんなんじゃねえから！！
えー、違うの・・・？
そうなんだ・・・残念・・・
ほんとなんだと思ってたんだよ・・・
あ、あははは・・・
元はと言えば、訂正できなかった俺のせいでもあるんだが・・・そんなことを話ながら、俺たちは和気藹々とノーツモニュメントを探し始めたーー。
・・・まさかこの後、あんなことになるなんて、このときはまだ誰も予想しちゃいなかったーー。
ーーミッドナイト・とある路地裏
おい、いたかー？
んーや、だめだな。みっかんねえ・・・
ったく、面倒なことに・・・さっさと見つけてスクラップにしなきゃ、上に怒られちまうぜ・・・
・・・・・・・・・・・・
っぁ・・・！！
あん・・・？あ。おい！見つけたぞ！！
っ！！！
おい！待ちやがれ！！
そっち行ったぞ、早く追え！！
わかってる！！
っっ・・・！ぁ、ぅ・・・！！
どうして・・・なんで、こんなことになったの・・・？こんなこと、博士は望んでなかったのに・・・！！なんで・・・なんで・・・！！
待て！！この欠陥ロボが！！
ボクは・・・！！
・・・・・・・ボクは・・・
欠陥品じゃ・・・ない・・・？
