その日食事の後玲奈が送って行くというのをさすがに断り、駅から越谷行きの電車に乗り帰途についた。
自転車で自宅に戻ると玄関に旅行カバンが置いてあった、僕は咄嗟に母さんが親父に堪えきれず出ていくと思いリビングに駆け込んだ、ドアを勢い良くあけ、
その日食事の後玲奈が送って行くというのをさすがに断り、駅から越谷行きの電車に乗り帰途についた。
自転車で自宅に戻ると玄関に旅行カバンが置いてあった、僕は咄嗟に母さんが親父に堪えきれず出ていくと思いリビングに駆け込んだ、ドアを勢い良くあけ、



母さん行っちゃ駄目だ!


と言うとそこには茫然とする母さん、そして従兄弟のちひろがいた。



考基、今から留守番ちひろちゃんにたのんで買い物いこうかと思ってたけど、何かまずかった?





いや、何でもない、ハハハ、


俺は馬鹿か?最近神経過敏だな……



こうちゃん久しぶり、元気してた?





ああ、まあな


池田ちひろは母さんの妹の娘で元々は川口に住んでいたが今は叔母さんの旦那さんの故郷である北海道に住んでいる。



しかしちー、でかくなったなあ





まあね~前にあったの2年前だもんね~どう?少しは女っぽく見える~なんてねぇ~





いやぁあの、ちびのちひろが見違えたなあ


ちひろは前にあった時は身長が他の同学年の生徒よりもかなり低かったのでそれがコンプレックスになっていたが、しばらく見ない間に僕とそれほど身長差がなくなっていた、あとその……女性らしさもでてきたような感じもするいろんな意味で……



へへぇ~でしょう?





で?お盆過ぎて、どうしてここにきたんだ?じいちゃん家に行くのか?





ううんそうじゃない、実は私さあ9月から中等部へ編入することになったから、その挨拶にきたんだ





へえ、何処の学校?





こうちゃんのところ





えっ?うち?彩備の?





そうだよ~、嬉しいでしょう~可愛い従姉妹が同じ学校にいてくれて~





そっそうだな


不味いな……何か嫌な予感がする。僕は引きつりながらも笑顔を辛うじて作った。ちひろは、もの凄くお金にがめつい。お年玉も全員のをチェックしまくるし、中2で叔母さんいわく貯金が200万近くあるとか。



何で彩備を選んだんだ?他にも沢山、埼玉にはいい学校あるだろう?





えっ、いやぁ~だって、セレブの生徒がたくさんいるっていうし私もこうちゃんみたいにセレブの彼氏からプレゼントとか欲しいななんて





えっ、?





叔母さんから聞いたよ、高い自転車セレブの彼女から貰ったんでしょう?





母さん!





さあ買い物いこうかなあ、じゃね、ちひろちゃんごゆっくり~


全く余計な事を、最近母さんはいろんな意味でちょっとずつたくましくなっている、嬉しい反面、ちょっと複雑……



あのなあ、ちー、ひとつ言って置くけど、お前いつもお金、お金ってそんなことばかり言ってるとみんなに引かれちゃうぞ





そんなこと大丈夫!だって私外面は良いから、上手くやれるよ!それでさあ、寮に正式に入れるのが9月からなんだよね、だからちょっとだけここに居させて貰おうかと思って





まあ、酔っ払いの親父もしばらく出張だから良いと思うけど。。。。


こいつ絶対叔父さんから貰ってるホテル代浮かそうとしてるな。



やったぁ、こうちゃんとも久々にいろいろ話ししたかったしね、彼女にも合わせてよね、玲奈さんって言うんでしょ?





あ、その事だけど、玲奈は単なる、うん?


玲奈って僕の何?クラスは違うし、付き合ってもいないし、知り合いがあんな高価なもん貰わないしな……友達?と1人自問自答。



単なると、友達だよ





えー単なる友達でぇ?そんな訳ない!私高いものとかブランド品詳しいんだけど、あの自転車確か70万近くするよ


こいつ詳しい!超詳しい、こいつのツイッターのアカウント見たことあるけど、ブランド物とか高級品のツイートで1日100近くつぶやいているだけある。怜奈だけじゃなく中西さんとかとも超話合いそう!落ち着け!下手な事言わないように……まずは何か飲んで場の雰囲気を変えよう。



ああ~のど渇いた、


冷蔵庫を開けるとカルピスがピッチャーに入っていた。おかしいな普段母さんはカルピス作らないのに……ひちろが、そんな僕の場の雰囲気変える作戦など全く気にせずまくし立てる。



そんな高いもの単なる、しかも女の子の方から貰えるなんて絶対なんかある~何で隠すの~?





別に何にも隠してないよ





いいじゃん従兄弟どうしなんだから~





お前想像力有りすぎ!早くカバン片付けろよ





そんなの後でやるから!ねぇ~





しつこい!





ねぇ~





何だよ


ちひろは少し小声で耳元で囁いた。



どこまでしたの?





へっ?な、何を、言っているんだよ、何もしてねえよ、なっ何言ってるんだ、よ


まずい、声が裏がえってるまずい、ここはカルピスでも飲んで、コップからゴクリとカルピスを飲んだ……なんだこりゃ?グハッ!ゴホッ!口から飲んだカルピスを吐き出すゴホ、ゴホ、ゴホ!!咳が止まらない!ものすごく甘酸っぱい!これは……カルピスの原液?



なんだこりゃ?原液?





あああ~汚ったないな!!もったいないじゃん!何ではくのかな~





お前なあ!!北海道はカルピス原液で飲むのが普通なのか?





違うよ、でも美味しいでしょう?松川家にも広めようと思って





叔父さんもこれ飲んでるのかよ


しばらく沈黙し、やや可愛らしく見えるように200%の作り笑いを浮かべながら



え~と、弟の芳樹だけ!


そんな誤魔化しのうそ微笑他の男子ならうっかり信じちゃうかもしれないだろうけど、俺には通用しないぞ!!



どうせお前が洗脳したんだろう、小一だからおねえちゃんの言うこと聞いてるだけじゃないのかよ?





いいじゃない弟なんだから、手なずけても少しくらい~





手なずけるの言葉を弟に使うなよ、しかも微妙に言葉の使い方間違ってるし





そんな細かいことはどうでもいいの!ここでの問題はこうちゃんがまだ……あの……その、ねえ


そう言うとはあとため息をつき、ちひろは少し呆れたような表情をして、



はぁ、ああ、分かったよ、まあこうちゃんの事だから、まだ女の子苦手なんだろうね、いやぁその年でまだ付き合えてもいないのかあ~





あのなあ俺だって





いるの?彼女?因みに私はこの前地元で3人目振ってこっちきたんだけど


はい何も言えませんが、何か?と1人自嘲。



はい、大当たりの図星沈黙ありがとーパフパフ~!!





何?このすんごい侮辱感!格闘ゲームの中なら完膚無きまでボコるんだけども?





しゃあないなあ、ちーが協力してあげるよ!とりあえず、さしあたっては玲奈さんだね、ね、早速今日会わせてよ


さしあたってとか言うなよ。



嫌だよ、第一今日さっきまで、ハッやべ





えっ?さっきまでって、あ~!!怜奈さんと会ってたんだ!こんの野郎!昨夜空港から帰ってくるって言ってたけど帰ってこないから心配してるって叔母さんが言ってたけど、そうかあ~朝帰りか~


ちひろが満面ににやけた笑みを浮かべる



何もねえよ、友達のところだよ、友達!





またあ~ねっ会わせてよ~~怜奈ちんに





うるさい!断固断る!


直情型の玲奈に、詮索好きなちひろがからんだら、何が起こるか分かったもんじゃない。



えーケチ、ケチ





それは、お前自身の性格を現す言葉だろ


その時ラインが鳴った、ばつが悪い玲奈だ、まあ、そのままにして置こう。



ライン鳴ったみたいだよ





いいよ、大したことないから





えー誰から?





ちーには関係無いの


あっ電話だ、相手は怜奈。流石に出ないと不味いですよね……



はい、松川です





は?ああ!!コーキ私の番号まだ登録してないの!!!





い、いや、あの冗談だよ!


ちひろに知られたくないとか言うと余計話が混乱していくような気がするからな。



えっ?コーキも随分変わったね。。そうかそれならいいや、ねえコーキ、親戚の子遊びにきてるんでしょ?私にも会わせてね~





え、どして?どうして知っているの?





コーキのお母さまに電話したら、従姉妹が遊びに来てるから、もしよければ、相手をしてやってねって頼まれたから……頼まれたら、私断れない性格だから従姉妹の面倒見てあげるね、こう見えても私妹小さい時から面倒みてるから得意だよ!じゃあ私役員会議に出なきゃならないから!勉強会の件忘れないでね!


そう言うと怜奈は電話を切った。怜奈も忙しいんだな、学校とか会社とかうん?何か俺気のせいかな、囲まれつつあるような気がするんだけど……何かこのままだと不味いような気がしてきた。僕はその後ほぼ無意識にはなさんへラインを送っていた。

これからの展開が楽しみすぎます!