【レスボス島 学校】
【レスボス島 学校】
学校に沢山の帝国軍の兵士が集まっていた。子供達は怯えている。その中心に子供を庇うようにレイズがいた。



な、なんですかあなた方は!?





グヘヘヘ、ずいぶん色っぺぇ先生じゃねぇか。こんな田舎に置いておくには勿体無いくらいの上玉だぜ。


20人近くいるローマ帝国の兵士達は下卑た笑いをあげながら、怯える子供達とレイズを見ていた。



こ、子供たちに近づかないでください!





我らは異端を探している。島の人間全員を調べよとの命令だ。ガキだろうが老人だろうが全員だ!見つけ次第首を跳ねるよう言われてる!拷問してでも口を割らせよともな。





そんな、この子達は異端なんかじゃありません! それを拷問して無理矢理言わせようだなんて…





それがローマの法だ! お前らは帝国のために命を差し出す義務がある!





この人達の狙いは多分私とビアンだ。


レイズは迷っていた。
もしも私が名乗り出ればこの子達は助かる…でも…



先生…





ごめんなさいビアン・・・私はこの子達を見捨てることなんてできない。私の分まで生きて、でも貴女ならきっとわかってくれるよね。


子供達は怯えている。その姿にレイズは躊躇いを棄てた。大事な生徒を守りたいという一心が彼女を突き動かしたのだ。レイズは自らが犠牲になろうと決心した。
レイズは兵士のほうに歩き出す。すると泣いていた子供達が叫んだ。



先生!





行かないで先生!





大丈夫よみんな。先生すぐ帰ってくるから安心して教室にいるのよ。





みんな…強く生きてね。


生徒達は必死に呼び止める。レイズは目に涙を浮かべながら子供達を見ていた。
それがレイズの別れの言葉だった。



んぁ? なんだ先生さんよ。





私がこの子達の代わりに行きます。それでこの子達には手を出さないでください。


兵士はレイズの身体をイヤらしく眺める。
中々そそられる身体をしていやがる。
兵士は悪いことを考え下卑た顔をしながら言った。



いいぜぇ、そん代わりに先生の身体を隅から隅まで調べさせてもらう。





朝までじっくりたっぷり大人の授業を俺達に教えてくれよ先生!グッヘッヘ





ぐっ…わかりました。


20人いる兵士達が歓喜した。



ひゃっはっは! 今夜は楽しむぜぇ~連れてけ!





うう・・・・・・


レイズは手枷をつけられると兵士の後ろに連れて行かれる。



さーてーと





ひぃ!


兵士達が子供のほうに向かっていった。それを見たレイズが慌てる。



なっ!? 子供達には手を出さなって約束したじゃない!





手は出さないさ、その代わり下の手は出すがな。





そんな、約束が違う!





若い美人の先生に加えて、ガキどもも犯れるなんてさ、今回の任務は役得だぜ。


劣情に駈られた男達は幼子まで手を出す気だった。男達の下衆な性欲の捌け口として。レイズは祈った。もはや自分のできる力が及ばない。奇跡を信じて祈るしかなかった。



神様…天使様…どうかこの子達を助けて…


兵士の手が怯える子供達に伸びる。すると兵士の背後から誰かが声を掛けてきた。



おい





ああん?





ぎゃあああああ!!!


子供に伸びた兵士の腕は、宙に飛んだ。



なんならその下の手とやらも切り落としてやろうか?


現れたルシファーがダーインスレイブで子供達に手を伸ばすローマ帝国軍の兵士の腕を切断していた。



な、なんだと!?


兵士達はいきなり現れた敵に驚いて一斉に剣を抜く。



ル、ルシファーさん!





ギリギリ間に合ったようだな。


ルシファーは兵士を睨むと、その溢れ出る殺気に圧されて兵士達は怯んでいた。するとイシスも息を切らせて駆けつけてきた。



ぜぇ…ぜぇ……





遅かったな。





ぜぇ…ぜぇ…ちょ…と、あんた走るの速すぎ…


また増援が現れたことにより兵士達はイシスに警戒した。それに呼応してルシファーとイシスは武器を構える。



結構いるじゃない。





怖じ気ついたか?





まさかーそんなわけないでしょ





足を引っ張るなよ。





その口、誰に言ってるのかしら?


ルシファーとイシスは兵士達に向かっていった。



敵はたかだか二人だ! ローマ帝国に刃向かったことを後悔させてやれ!


兵士達は一斉にルシファー達に襲い掛かった。



うじゃうじゃとウザい!


イシスはそう言って鎖つきナイフを投げると、ナイフを風の魔法で操作する。そしてナイフの柄についている鎖は兵士達を囲むように円上になると5人の兵士を縛り上げた。



ぐわっ!?





なっ何ぃ!?





げぇ!?





鎖が勝手に!?





がぁ!?


イシスはすかさず詠唱に入る。



鎖を伝え熱よ! かの者らを焼き滅ぼ…





待て! 殺すな!


ルシファーがイシスを制止する。いきなり止められたもんだから舌を噛むイシス。



ひ、ひきなり、なにひょ!





子供達が見ている。子供の衛生上によくない。





・・・・・・





・・・・・・





・・・・・・





ぐっ、真面目か!


イシスは突っ込むと呆れながら詠唱を代えた。



だー! もうわかったわよ! 走れ雷鳴、かの敵を撃ち貫け!


鎖は兵士達を一気に締めつけ、鎖を伝わった電撃で兵士達を感電させた。



ぐぎゃあああああああ!!!





ぐぎゃあああああああ!!!





ぐぎゃあああああああ!!!





ぐぎゃあああああああ!!!





ぐぎゃあああああああ!!!


死なない程度に魔力を抑えて5人の兵士を気絶させる。



あの女、妖術を使うぞ!?





魔女か!?


兵士達はイシスの魔法を見て恐れ出す。それを見たイシスは得意気になってルシファーにむけて言った。



どうよ!


速攻で五人も倒したことにドヤ顔をするイシス。しかし、ルシファーの足元にはすでに10人ばかしの兵士達が倒れていた。



まだ五人か遅いぞ。





嘘でしょ!?


訓練を受けているとはいえ所詮は人間。天使であるルシファーにとって敵ではない奴等だった。



こ、こいつら強いぞ!?





お、俺達じゃかなわねぇ!増援を呼ぶしか・・・





お前らどけ邪魔だ





ば、バニシング様!?





そろいも揃って情けない奴等よ。ローマ帝国軍の恥さらしめ!


戦意喪失した兵士を押しのけて、身長が2mある大男が現れた。
そいつはルシファーの目の前に立ちふさがった。どうやらこの大男がここの指揮官のようで、そいつはニヤケ顔してルシファーを見下ろしていた。



ほう、中々やるな。これは久方ぶりに手応えがありそうだ!





なんだお前は?





ハッハッハ! 俺様は帝国軍第十一席、怪力無双のバニシング様だ!


力こぶを見せてアピールするバニシング。しかし、ルシファーは動じない。



喋るゴリラか。





生意気な小僧め! 俺様の怪力で貴様の頭なぞ握り潰してやる!


バニシングはルシファーの頭を掴んだ。そして自慢の怪力で頭を潰そうとする。



脳みそブチ撒けて死ねぇい! 我が殺人技のエンジェルクラッシャーを!


バニシングは指先に力を込めた。



ルシファーさん!?


レイズが叫ぶ。目の前でルシファーが殺されようとしていたからだ。



ふんぬううううううううう!





・・・・・・・・


しかし、ルシファーの頭は潰れない。



な、なんだこいつの頭は!? まるで岩石を握ってるようだ…


中々潰れないので、ルシファー平然としていた。



握り潰すんじゃないのか?





くっそ!なんて石頭してやがる!





なにがエンジェルクラッシャーだ。クラッシュできてないぞ。





今度は俺の番だ。


逆にルシファーが大男の頭を掴んだ。



かっかっか!貴様のような細腕で俺様を・・・


ルシファーは指先に軽く力を入れる。するとバニシングの頭は締め付けられて悲鳴をあげた。



ぎゃああああ! いたい! いたい! 放して!


ルシファーはバニシングを痛めつけてから指を離すとバニシングは頭を抱えてその場に膝をつく。そこをすかさずルシファーは顔をつかんで引き寄せる。



ひ、ひぃ!?





さて、色々喋ってもらおうか


ルシファーはダーインスレイブを大男の横顔に添えると尋問を始めた。



お前ら本隊にしては数が少なすぎる。本隊はどこだ?





だ、誰がてめぇなんぞに!





そうか…


ルシファーは兵士の耳を切り飛ばした。



ぎゃああああああ!





うっ!?





ひぃ!?





わぁ!?





きゃっ!?


その光景を見たレイズと子供達は思わず目を伏せた。



よく聞こえなかったのか? ならもう片方の耳もいらないな。


ルシファーは残った耳にダーインスレイブを添える。



言え!





言います言います! 本隊はもう一人の女を捕まえに行きました!


あっさりと吐いたバニシング。ルシファーは掴んでいた顔を放してバニシングを突き飛ばす。



消えろゴミが





ひ、ひぃぃぃ!


バニシングは恐れをなして逃げていった。残った五人の兵士も指揮官が逃走したので慌てて逃げ出した。イシスはルシファーを見ながら納得いかなそうに聞いた。



あんた…子供達の衛生上によくないんじゃないの?





悪いことしたら耳が飛ぶってことを子供達に教えたまでだ。





こいつ…


減らず口を並べるルシファーに呆れるイシス。



そんなことよりビアンが危ない。





そ、そうでした。ビアンが、ビアンが!





私が子供達を見てるからレイズさんは早くビアンさんの元に!


ビアンの恋人であるレイズを気遣ってかイシスはレイズの同行を促した。ルシファーも承諾して、イシスに子供達を任せて、ルシファーはレイズを連れてビアンの元に向かった。
