今般は文面のみ、または動画にて語りを添えたる(約四分)にてお楽しみくだされ。

動画に登場いたしますイメージ画像は人間にてございますが、これはあくまでも猫の世界のお話にて候。何卒ご了承くださりませ

作者の手抜きだちゅ

ドキ!

動画は一番最後にござりまする

昔々、西の果てなる異国の
小さき村に、一匹のメス猫が
住んでおりました。


その名はベル。
薬草の知識に通じ、
病める者を癒し、天の気まぐれ
すら読み解く力を持つ賢き者。

その才をもって村人たちに
敬われておりました。

されど、彼女には誰にも
明かすことのできぬ秘め事が
ございました。

それは、村の絵師、若き猫
ラウルとの密やかなる契り。

彼はベルの姿に魅了され、
幾度となく筆を執り、
その面影を画布に刻みました。

微笑み、憂いの瞳
そよ風に揺れる柔らかき
毛並み──すべて
彼の筆先により生き生きと
描き出されたのでございます。

ところがある時、村に疫病が流行り、
多くの猫たちが命を落としました

不安と恐怖に駆られた村人たちは、
その災厄の元を探し求め、

いつしかベルが魔女であるという
噂が広まったのです。

「異国の呪術を操り、
疫病を招き寄せたのはあの
メスに違いない!」

疑念は瞬く間に確信へと変わり、

ベルは魔女として教会へ引き渡されました。

かくして魔女裁判が執り行われ、

彼女には火刑の判が下されたのでございます。

さらには、彼女を愛し支えた
絵師ラウルまでもが
魔女の共犯者とされ

命を奪われる運命となったのでございます。

処刑の日、ベルは火刑台に縛り付けられ、

燃え盛る炎に包まれようとしておりました。

その折、彼女は愛しきラウルが
自らと同じ運命を辿ることを知り、
悲しみと怒りが胸を灼いたのです。

「私は無実……愛する者までも
奪い去るこの村よ、呪われるがよい!
我が魂は消えず、恨みを永遠に
刻みつけよう!」

その瞬間、紅蓮の焔の中から
彼女の魂が飛び出し、
傍らにあった一枚の絵画へと
吸い込まれたのでございます。

ラウルが処刑される前夜、
彼が最後に描いたベルの肖像画──。
かくして、ベルの魂は呪われし
絵画と化し、その恨みは
持ち主に災厄をもたらすものと
なったのでございます。

村猫たちは恐れ、ラウルの絵を
すべて教会へと預けました。

されど、その日より奇怪な
出来事が相次いだのでございます。

教会の神父は突如として富を得
ラウルの絵は高値で取引され、
貴族や豪商たちがこぞって求める
ほどの名声を得ました。

──しかし、その栄華は長くは
続きませんでした。

ある夜、教会は突如炎に包まれ、神父は黒焦げとなって発見された
のでございます。
それはまるで、かの魔女が
処刑された夜の再来のようでありました。

ただ一つ、不思議なことがございました。

──焼け落ちた瓦礫の中に
あって、ベルを描いた絵画だけが、

炎に焼かれることなく残っていたのでございます。

それより後、この絵の持ち主は
莫大な富を得るものの
皆、不審な死を遂げるという
噂が立ちました。

ある者は原因不明の火災にて焼け果て、
ある者は血を流しながら
「燃えている……助けてくれ……」と叫び
息絶えたのでございます。

かくして、猫たちはこの絵を
「炎の魔女の肖像画」と呼び
恐れるようになりました。

そして、ある日、この呪われし
絵はとある教会の地下深く
封じられ、その存在は歴史の
闇に消えたのでございます。

──されど、時は流れ
再びこの絵に興味を抱く者が
現れました。

そう、それが今宵、猫花楼にて
密やかに語らいを交わす
八千代と福米屋、

その二匹であるとは、誰も知る
由もなかったのでございます。

呪われし絵画の物語は
未だ終わりを迎えてはおりませぬ……。

炎に刻まれた誓い(呪われた絵画のはじまり)動画あり

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