グージィをコペに預けて、元の道に戻ると、ルーガルとヤムカは僕らを探してくれていた。
事情を説明しながらコペの家に戻ると、コペはグージィ人形を抱き上げ、いろんな角度から観察しているところだった。



それで、私たちが呼ばれたわけか。





元の場所からいなくなってるから、焦ったぜ。迷子になってんじゃねーよ。
で、うちのグージィはなんでつかまってんだ?





初めて見たときから気になってたけど、この布ゴーレム、見れば見るほど・・・!





ひいっ、ヒっくりカエすんじゃありません! くすぐったい! くすぐったい!





聞いちゃいねーし。





なるほど、たしかに魔結晶だ。これだけ大きな品は珍しい。





ルーガルも魔結晶に夢中だね。


グージィをコペに預けて、元の道に戻ると、ルーガルとヤムカは僕らを探してくれていた。
事情を説明しながらコペの家に戻ると、コペはグージィ人形を抱き上げ、いろんな角度から観察しているところだった。



こんなに少ない魔力で動くゴーレムがいるなんて。わら製なのは軽くするためかな。どうやってバランス取ってるんだろ。もしや中身にヒントが!?





ユすぶるのはダメです! ユすぶるのはダメです!!





揺すぶる以外に中身を確かめる方法・・・そうだ、分解しよう!





いい加減取り上げるぞ?





冗談です! 持ち主さんお願い、もうちょっとこの子観察させて!





持ち主さん・・・名前がわからなかったときの八番目にマシな呼び方だな。ヤムカだ。





このテーブルクロス、大きさもまとう魔力も屈指の品だ。これならリリーシカが狙う可能性は高い。





リリーシカ? って、ジャハを占領した魔女じゃねえか。なんでそんな奴の話になるんだ?





ヤムカに話してなかったね。実は、僕らが旅してるのは・・・


僕はヤムカにこれまでのことを話した。
リリーシカがあちこちの魔結晶を集めていること。
僕の島も襲われたこと。
ルーガルは体内の魔結晶を狙われ、故郷を去らざるを得なかったこと。



おまえらそんな状況だったのかよ。命がけの旅ならもっとそれらしくしろ。





それらしくって?





神妙な顔で空を見上げるとか、手帳に挟んだ家族の写真に涙を流すとか。





手帳は持ってない。





島に写真機はなかったからなあ。





でも今の話だと、おかしくねえか? ベシワクの島とルーガルの村に、ほぼ同時に現れてる。それに、他の場所にも。





転移魔法だ。移動にかかる時間も距離も、あいつには関係ない。





何言ってんだ、転移なんて――





私が創った。あいつはそれを使っている。





・・・・・・。


ヤムカは絶句したように息をのんだ。



転移? 移動の距離も時間も関係なくなる? それはつまり――オレの人形をどこへでも一瞬で売りに行けるってことか!?





あ、商人としては嬉しいんだ?





そりゃあな! オレの人形を買ってくれる客、やたら辺境にいるんだよ。飛び回れたらどんなに楽か。ただ、相当な魔力がかかるんだろうな。





魔力消費量はかなり多い。リリーシカに動きがないのもそのせいだろう。あちこち飛び回りすぎたんだ。だが、そろそろ魔力も回復する頃だ。





ルーガル・・・





ねえねえ、新魔法を開発したってことは君、魔法師なの? そんでルーガルって名前?


コペがグージィを抱きかかえたまま、こちらに顔を向けた。ルーガルが首をかしげる。



私を呼んだか?





違ったらごめんねっ。もしかして君って、ルーガル・フォレスター?
トタン村の〈火の玉のルーガル〉!?


