美咲と大宮を探す敬介は、森の中で髪の長い、どこか不気味な女性と遭遇し、思わず叫び声をあげてしまった。
美咲と大宮を探す敬介は、森の中で髪の長い、どこか不気味な女性と遭遇し、思わず叫び声をあげてしまった。



マジかよ。
まさか目の前にいるのは……。





…………。


シャドーは大丈夫でも、幽霊が苦手な敬介はその女性から目を離せず、思っていたことをボソッと呟く。



嘆きの……巫女。





そうよ!!
あなたを呪い殺す!!


ただでさえ動かない体が更に強張り、金縛りのようになってしまう。



あが!?


敬介は気絶し、その場に倒れこんだ。
そして敬介の気絶から数時間前、秋野実神社にとある人物が訪れていた。



お前がここに来るとは珍しいな。





ご無沙汰してます。
カラウさん。


カラウを訪ねたのは、大宮秀信(ひでのぶ)。
剛の父親である。



なんか用か?





剛から、愁いの沼に向かうと聞きましてね。





そのことか。





ええ。
あなたの命令を受けたお友達2人と一緒に、矢島君と、協力してくれる刑事さんを救出する任務だとか。


秀信は、どこか探りを入れるかのような口調でカラウに問いかける。



何が言いたい?





矢島君のこともある。
彼らを本当にあの場所へ行かせて良かったんですか?





遅かれ早かれ、その事はあいつらには教えなきゃならんだろ。
それに、今回は一般人も巻き込んでるからな。


少しだけ沈黙があった後、秀信が一歩前へ出る。



ならば、私も愁いの沼へ行きましょう。





それはダメだ。
あいつらだけにやらせる。





これからの戦いは、一般人にも大きく被害が出る可能性がある。
それの予行演習だと思え。





そんなことが許されると?





違う。
お前が行かなくても、すでに監視を頼んでるやつがいるってことだ。





監視を?
いったい誰が?





操(みさお)だ。





なるほど。
ならばお任せしてもよいか。


カラウが監視しているものの名を告げると、秀信も納得したように目を瞑り頷いた。
気絶してしまい、いくらか時間が経過した後、冷たいがジメジメした空気で目が覚める。



うっ。





薄暗くなってるな。





嘆きの巫女!!


目が覚めると、すぐに恐怖体験を思い出し、辺りを見回し始める。



はぁ~。
よかった。


しかし、どこを見渡しても見当たらないため、大きなため息をついて安堵する。



よしっ!
気を取り直して、天野さん達と合流しよ……。


両頬をバシッと叩いて、深呼吸しながら上を見上げた。



こんばんは。





あ!!


そして、宙に浮いた女性と目が合った。
