chapter1-2:庄司霧子、浅羽大
chapter1-2:庄司霧子、浅羽大
遠くに見える銀色の建物を、庄司と浅羽は異様な光景として理解していた。
それは、一目見ただけで特徴はない、何もないただの板の様であり、立体感があり建物の様にも見える……もしかしたら、建物ではなく、ただの箱なのかもしれないし、裏側には別の何か特徴的なものがあるのかもしれない。
それでも、『異様』と思うのは、つい数秒前には明らかに無かったものであるからだ。
仮に以前から建設されていたものであれば、都内にあれだけ目立つ建物が建築されていたら『新規施設オープン』のニュースにもなる事間違いなしの規模感である。



浅羽さん、あの銀色って……





建物か?―――いや、それより!


フードを被った女は目の前にはいなかった。
この場合、どちらを不思議な光景と言うべきなのだろうか。
突如として出現した様に見えている銀色の建物と、
目の前から消えてしまったフードを被った女……。



逃がしたか





と言うか、消えた様にも感じます





ははは……言うなよ。奇妙に感じちまうだろ。
ただでさえ、不気味だったのに―――





はぁ……すみません





じゃ、帰るか





いや、アレ





はぁ!?





気になりますよね





まぁ……そうだけど





じゃぁ!





おいおい……子供と遊園地来て、次の乗り物せがまれてるみたいだな





……行くんですか?お子さんと遊園地





行った事たぁ無ぇよ





じゃぁ、貴重な体験ですね





……相手がショージじゃなけりゃな


つづく
