その言葉に思わず花蓮は息を呑んだ。
その言葉に思わず花蓮は息を呑んだ。



私を……信じる?





はい。何か不都合がありましたか?


不思議そうに尋ねる遼波に首を振る。



違う、そうじゃない。この気持ちは……





そんなことない、無いよ!
凄く……嬉しい


何とか笑顔を作って想いを伝えれば……遼波も安心したように笑う。



それは良かったです


しかしずっと笑顔では居られなかった。
再び花燐の表情が曇る。



でもそんなこと言われたのは初めてだから……どうすれば良いのかわからないよ…………


そう言う花燐の手を遼波は優しく包み込んだ。



あなたが何かをする必要はありません。私が勝手に思っているだけですから


そう言う遼波に花燐は思案顔で、だけど呟くように言った。



そうなの……? でも……ありがとね……。嬉しい……


花燐の言葉に燎波は再び動揺した様子になるが、今度は動揺を隠すことなく静かに言った。



あなたには本当に驚かされます……。
どうしてそれ程美しい心を持てるのか……死神である私にはわかりません。
人とは不思議な生き物ですね……


その言葉に花燐は暗い瞳になり、静かに言った。



私の心は美しくなんか無いよ……。
だって……自分の欲望の為にこうして遼波を利用してる


しかしすぐに遼波が否定する。



そんなことはありません。あなたはこんな私にも……感謝を伝えて下さいます。
それだけで私は温かい気持ちになります。こういうのを嬉しい、と言うのでしょうか


その言葉に花燐の表情は和らいだ。



そうだと良いな……


そう言って花燐が微笑んだ時だった。
大きな音を立てて病室のドアが開かれた。



え……!?





…………


驚く花燐を護るように、遼波はそのドアの方向を険しい表情で見る。
ドアを開けたのは1人の少年のようだった。



どうして……?


花燐は驚いたように言う。
遼波は険しい表情のままで花蓮に問い掛けた。



知り合いですか、花燐





うん……。わたしの幼馴染、だよ……


少年も遼波のような険しい瞳で二人を見比べる。



お前、誰だ? 何故花燐を呼び捨てにしてる!


そんな少年に遼波は既に臨戦態勢を取っていた。



あなたも少しは礼儀を知った方が良い。
ここは病院であり、この場所は入院患者の個室なんですから。
それから人に名前を尋ねる時は自分から名乗るものですよ


