そこは荒野。キミたちから転移で逃げ延びたアラストルは荒れ果てた地を彷徨っている。
そこは荒野。キミたちから転移で逃げ延びたアラストルは荒れ果てた地を彷徨っている。



「糞ッ! 何故俺様がこんな目に!」


壊れた二つの剣は元の形状に戻っていた。
それを手にアラストルは、憎悪の感情を抱きながら荒野を彷徨う。
すると、目の前に人影らしきものを発見。



「丁度良い。行き場を失ったこの憎悪、ぶつけさせて貰おう」


アラストルの目にぎらついた光が宿る。
聖剣と魔剣、二つの力を存分に発揮し、人影に襲い掛かる──が、



「む?」


斬った先にあったはずの人影がない。
まるでそこに最初からいなかったように、その人影は消えていた。
同時、アラストルは違和感を覚える。
体が変だ。何かがおかしい。
ゆっくりとその顔を下に向ける。



「何だ、これは・・・・・・?」


胸のあたりから、何かが生えていた。



「ナンダコレハ」


真の死の条件は既に達成されている。
アラストルは胸を貫かれたことで、「とどめの一撃」を受けたことになる。
これによりアラストルはまもなく死亡。そのままぱたりと地に伏した。



「私は」


アラストルを刺殺した人物は、泣いていた。



「哀しいんですよ。哀しい、寂しい、悲しい。何故、私だけ。私だけ呼ばれなかった。何故? ずるいじゃあないですか。しかもあなたのせいであの場は大騒ぎ、全くおかげでコーヒーも美味しく飲めやしない。だから、死んで頂きますよ。大丈夫、ご安心を。聖剣と魔剣は我らが有効活用しますから。ふふふふ・・・・・・我らが邪神への供物にでもしましょうか、ふふふふふ」


