気が付いたら、知らない場所にいた。
周りを見渡してみても、ここがどこだかさっぱりわからない。
どうしてこんなことに……?



ん……





ここは、どこ……?


気が付いたら、知らない場所にいた。
周りを見渡してみても、ここがどこだかさっぱりわからない。
どうしてこんなことに……?



そう、確かメンカクーンに万物の力の前まで連れてこられて……
そこから、何かにぶつかったんだ。


その後の記憶が全くない。
ここは……



小屋……?


それだけが分かる。
動いてみようと体を動かすと、右足首が悲鳴を上げた。



痛っ!





……ひねったのかな。





起きたか。
万物の使い手。





誰!?


音もなく人が現れた。
アタシはとても驚いて、心臓が飛び出そうだった。



そんなに驚くことか?
俺の名はウィル。風の使い手だ。





風の……使い手?





知らないのか?
まあ無理もない。
人知れぬよう生きてきたからな。


ウィルさんは一瞬だけ悲しそうな顔をしたけれど、すぐに元に戻った。
アタシが聞きたいことを分かっているかのように先に話し出す。



ここは俺の隠れ家のひとつだ。
バード家もメンカクーンも面倒だからな。





………………
どうしてアタシを連れてきたの?





率直に言う。
万物の力を使って、夢見のペンダントを作ってほしい。





え?
でもそれは……





危険、なんだろ?
知ってるさ。
だが俺には必要なんだ。





何に使うの?





それは言えない





…………





作ってくれるか?





…………


作れるわけがない。
何に使うかもわからないのに、そんな危険なもの、アタシには到底作れない。
それに何より……



ごめんなさい。
夢見のペンダントの作り方、知らないの。





は……?


万物の力を封印する方法も、夢見のペンダントにする方法だって、アタシには分からない。
ナタリーから聞いているはずだってメンカクーンは言うけれど、記憶はやっぱりない。



嘘だろ





本当なの。





じゃあ俺が連れてきた意味ねえじゃねぇか





…………





せっかくメンカクーンの隙をついてきたってのに





そう言えばメンカクーンは?
どうしよう、はぐれちゃった……





あの白綿か。
探しに行くなら好きにしろ。
夢見のペンダントを作れないやつに用はない。





!!
ひどいっ!
勝手に連れてきておいて用はないだなんて!!


アタシは謎の小屋から飛び出した。
ここがどこかも分からないのに、感情に任せて全力で走った。
