カレンたちの視界に入ったのは、肩に大きな傷を負った佳穂の姿だった。



佳穂さん!!▼





カレン!!それにみんな…!!


カレンたちの視界に入ったのは、肩に大きな傷を負った佳穂の姿だった。



ちょっとその傷!!大丈夫!?





すぐに回復するから、手伝って夏!





うん!わかった!


佳穂は夏に支えられながら、シュリーの回復魔法を施され、少しずつ傷が塞がり始めていた。



あいつはどこにいる。


完全に回復していない佳穂など気にもかけない様子でギンは近づくと苛立ちながら尋ねた。



洞窟の中に。
何だか様子がおかしくて…





あれって……


櫂斗が洞窟の奥を指差す。



………。





…春都。


そこには全身傷だらけの春都が立っていた。



春都さんも傷だらけじゃん!!
早く手当てしなきゃ!!


夏が駆け寄ろうとするのを、シュリーは腕を掴んで引き止めた。



…待って、夏。





近づいちゃ駄目。





みんな無事で良かった。





急に変な奴に襲われて何とか佳穂ちゃんは護れたけど…ちょっとダメージ受けすぎてさ





回復できるなら助けてくれないかな


春都はフラフラとした足取りでゆっくりとこちらへと近づいてくる。



ねぇ、シェリーどうして?


夏が振り返ってシェリーに問いかけた時だった。



なっちゃん!!後ろ!!





…………。





……えっ





やめろ!!春都!!!


青い炎を灯した片手を夏に向けて伸ばす春都に対してギンは勢い良く体当たりをした。



なるほど、そういうことね。





これは手加減なしでいかなきゃ。





プレイヤーは全員下がっていろ!!
殺されるぞ!!


シュリーは夏を引き寄せるとプレイヤーたちを護るようにバリアを展開した。



何が起きてるの?





あれはもう 春都さん ではありません▼





殺人衝動に完全に呑まれた全くの別人。





彼の人格をベースにして、身体をも乗っ取った殺人鬼。





本人に影響はないけど、アレが倒されない限り意識はずっと囚われ続ける。





殺人の快楽に呑まれてしまった春都さんの可能性の姿…





………▼





嘘だろ…さっきまで仲間だったのに…





俺たちもああなるのか…?





へ、変なこと言わないでよ!





そんなことあるわけ…!!





あるわけ……


ない、とは言い切れなかった。
自分たちがいつその衝動に呑まれることになるのか。
異常が起きてる今、その瞬間はいつ訪れるのかもわからない。



落ち着いてよ、2人共~。
今はそんな場合じゃないでしょ~。





悪い…心配させて





………。





みんな不安になってる…





私も正直落ち着いてなんていられないけど





桜の狙いは最初から春都さんを狂わせることだったの…?





………カレン。





はい▼





春都さんを倒して。お願い。





あんな姿の彼をこれ以上見ていられない。





佳穂さん…▼





…わかりました▼


カレンは大剣を構えるとギンの隣に立った。



冷たいんだね、佳穂。





私だって辛いよ。





でもこれが彼にとっても最善だって信じてるから。





立ち止まってなんかいられないもの…──!!


