第4幕
キャラメルエスコート
第4幕
キャラメルエスコート



ここは…





マルシェだよ♪


俺たちはE塔から場所を移し、ご近所のマルシェまで来ていた。最初からこうすれば良かったのかもしれない…今気づいてしまった…



ええ、それはわかります…でも、マルシェは食品市ではないのですか?あまり日持ちしないものでは…





食品以外にも、バリエーション豊かだよ!
贈答品向けのアクセサリーも、花も化粧品も…大体のものは揃うね。さらに、値段もリーズナブル…庶民の味方さ♪





そうなのですか…マルシェはあまり利用したことがないので、知らなかったです。





どのお店も、ブランド直営店やデパートメントストアに引けを取らないクオリティだよ!





とりあえず…アクセサリーだよね?だったらこっち!!


ベルリーナを先導し、歩き慣れた道を進む。焼きたてのパンの香りや、露天商の活気のいい声がする…いつものマルシェだ。そこを、ベルリーナと一緒に歩いているという事実が、今とても嬉しい…!



さて、ここだよ!





!綺麗…それに、かわいいです…!
落ち着いたシックなものや、ゴージャスなものは見慣れていましたが…こんなにポップなものは、あまり見たことがないです…!!





ふふ、気に入ってくれた様で何よりだよ♪
ゆっくり見ていってね





はい!


色とりどりのビーズで作られたアクセサリーを、おそるおそる手にとって眺める姿は…もう、なんて言うか…最っ高にかわいい…!ああ、連れてきて良かった…!!



おや、サヴィかい?うちに来店とは、珍しいじゃないか…それも、女の子を連れて





サヴィ…?





Bonjour,マダム。
今日は…友達の付き添いでね





Bonjour…はじめまして。
こんなにカラフルな色使いのアクセサリーは、初めて見ました…!とってもかわいいです!!





おやおや、かわいらしいお友達だこと…Bonjour,お嬢さん。気に入ってくれて嬉しいわ。どんなものをお探しかしら?





はい…実は、友人の誕生日プレゼントを…





そう…なら、これとか…こんなのはどうかしら?





わあ…!素敵です…!
他にも見せていただいてよろしいですか?





ええ、是非見ていってちょうだい。贈り物なら、じっくり選んだ方が良いでしょうからね





はい…!ありがとうございます!!


うーん…入る隙がなくなっちゃったなぁ…俺も何か見ていようか…



アクセサリー類はあまり見たことなかったけど…確かに、女の子への贈り物なら、こういうのを視野に入れるのも良いかもしれないなぁ…





サヴィ、サヴィ





わ!?マダム…驚かさないでよ…リーナは?





あの子なら、今いくつか候補を絞っているわ…それより…





誰なの、あの子は…!?やっと彼女でもできたの!?





ち、違うよ!!





彼女…って、言えたら良かったんだけどね…まだ友達だよ





まだ…?てことは…!





やっとサヴィにも春が来たのね…!おばさん安心しちゃったわ!!あの寡黙で大まじめだったサヴィがーー





マダム。





……!





…これ、貰っていいかな?軽くラッピングもしてくれないかな?





……ええ、わかったわ。ちょっと待っててちょうだいね


店員は、石が一つ付いたネックレスを受け取ると、そそくさとカウンターに引っ込んでいった…買うつもりはなかったけど、まあいいや。ベルリーナに似合いそうだと思ってたやつだし…



ブリュレさん?こちらに店員さんがいらっしゃいませんでしたか?





ああ、ちょっと頼み事をしてしまってね。すぐに戻ってくると思うよ。





そうですか…あの、ブリュレさん…これ、どうでしょうか?


そう言ってベルリーナが見せてきたのは、桃色の花のモチーフがあしらわれた、ビーズの指輪だった。暖色のビーズを中心に、カラフルに彩られたそれは、アマンドのキラキラしたイメージにぴったりだ。



すごくかわいいと思うよ!それにするの?





はい!この花、なんだかアマンドさんに似ている気がして…





アマンドは花が好きだからね…ちょうど良いかもしれない。





…そうなのですか?





ああ、彼女は花屋さんだからね。結構詳しかったりもするよ。





……そうなんですか……あの…


ベルリーナが何かを言いかけたとき、ちょうど店員が戻ってきた。俺は包みとお金を交換し、そのままベルリーナの品物もラッピングを依頼した。



往復させてごめんね





気にしないで。それが仕事なんだから





…ごめん、ベルリーナ…遮っちゃったね





…いえ、なんでもないです。





何を聞こうとしたか、忘れてしまいました。何か、どうでも良いことだったと思いますので…





そう?なら良いけど…


その後、何故か言葉が少なくなったベルリーナの品物を受け取り、店を後にした…結構時間たってたんだな…もうお昼だ。そろそろお店を見繕っておかなきゃ、混んでしまうだろう…そうだな…



ベルリーナ、ちょっと歩くけどいいかな?おいしいチーズ料理のお店があるんだ!





もうそんな時間だったのですか…





かまいませんよ。行きましょう


笑ってくれたことに少し安堵し、俺はマルシェから少し外れたレストランを目指して歩き出した…



……今度は、つないでくれないのですね…


