どうして考えないようにしたか、言いたくなかった、忙しくって言う暇が無かったと言えば理由にはなるが嘘になる。いくらでも言うタイミングは合った。ただ、怖かった。それだけなんだよ。
どうして考えないようにしたか、言いたくなかった、忙しくって言う暇が無かったと言えば理由にはなるが嘘になる。いくらでも言うタイミングは合った。ただ、怖かった。それだけなんだよ。



まぁいいわ、分からないなら仕方ないわね





すみません。あっ、みんなの家はどうなんだ。俺の家みたいに入れるよな?


鮫野木の質問に藤松が答える。



ああ、俺と凪佐の列車組はまず帰れない。駅に行っても列車は来ないし、それ以前に見えない壁の範囲外だしな





秋斗と六十部もそうだよな





そうそう、私も帰れなくって、いろいろと不便だったんだよね。やっぱ、我が家が一番だわ。アハハ





そうかい


秋斗が自信満々に胸を張っていると小斗が鮫野木に話す。



あのね淳くん。私も一度、家に帰ったんだ





それで


俺の家から小斗の家は近くにある。



それが鍵は合っているんだよ。鍵も開いたの、けどね開かないのどうしても





開かないって扉が?





うん、試しにガラスを割って庭から入ろうと思ったんだ。けどね割れなかったの





お、おう


入ろうとしたんだ。ユキちゃんにしては大胆だな。鮫野木は意外な行動力に若干、恐怖を覚える。



割れなかったんだ





うん、ガラスが割れないのもこの裏の世界と心ちゃんが関係? しているいみたいだよ





そうなのか、六十部?


六十部は質問に答えた。



そうね。私と秋斗さんがここ来たとき、教えてもらったわ





この裏の世界のオブジェは破壊不可能ってね


そういえば六十部と秋斗は俺達より先にここに居たんだっけ、確かある集団と行動をともにしてて、その集団から裏の世界のことを教えてもらったんだったな。



教えた人は随分ゲームが好きなんだな





そうなの?





そりゃ、例え方がゲームだからだよ。六十部はゲームしないのか


裏の世界のルールを教えた集団の一人にゲーム好きが居たに違いない。この世界の一般人をNPCと例えたり、建物のことをオブジェと言っていた。ゲームを良くやっている証拠だ。
六十部は「そう」と言いたげな表情をしてから答える。



ええ、しないわ。やれるとしたら、ババ抜きぐらいよ





うわ、強そう





そう見える。実際にやってみないと分からないわよ


あなたは自信なさげに話しますが、俺からすればポーカーフェイスが強そうな人はそう居ませんよ。



サラッチは強いでしょう。なんとなくだけど





なんとなくで強いかどうか決めないで


秋斗の意見を広げないように六十部は別の話をし出す。



ところで鮫野木くん、他に聞きたい事は無いの、無いなら明日のことで話があるんだけど





うん、もう無いかな。だいたいの状況は分かった





そう、なら時間も時間だから。夕ご飯の支度をしましょう





あっもうそんな時間なんだ





夕ご飯?


鮫野木は外を覗いた。夕日で庭が赤く染まっている。いつの間にか時間が経っていたらしい。話に集中してたせいで気付いてなかった。
小斗はリビングからキッチンに向かいながら秋斗と藤松に指示を出す。



秋斗ちゃん。料理手伝って、それと藤松くん。いい加減テーブルの漫画、片付けてよね





おう、任せとけユッキー





はいよ


小斗に言われた秋斗と藤松は言われた通りの行動を始める。秋斗はキッチンに向い、藤松はテーブルに積まれた漫画を片付け始めた。



夕ご飯、食べられるんだ





別に食べなくても、この世界じゃ体に問題は無いし、お腹もしかないわ





雰囲気だけでも食事をしようって、小斗ちゃんが言ったんだ





そうなのか


ユキちゃんは意外な事に気が付く、それが割と重要だったりする。食事をしょうと提案したのは何かに気付いたからだろう。



シャワーを浴びたのもそうか





何、覗きたかったの?





んなわけあるか!





鮫野木くん、同様すすぎじゃない





凪佐くん


凪佐に不意打ちを食らって動揺してしまった。けして、六十部に覗きにを疑われたわけじゃない。
何か話を逸らす話題はないか、話題を求む。
