なんのこっちゃか分からない藤松は咳払いをして疑問を投げつける。
なんのこっちゃか分からない藤松は咳払いをして疑問を投げつける。



ちょと待って、お前らだけで完結しているんじゃない





アストラルなんとかだ。死んだ死んでないとか言っているが、何のことだ?





夢だとか言っていたけど、俺は夢でも見ているのか?





そうだよ、サラッチ。何言ってるか分からない





私達に分かるように説明して


藤松に続いて秋斗と小斗も質問をした。その三人の疑問に凪佐が答える。



アストラル体は、えーと簡単に言えば霊体かな





霊体、じゃあ幽霊になっちゃたの





うーん、幽霊になってないよ。小斗ちゃん


小斗は首をかしげる。そんな小斗に鮫野木は具体例を上げる。



そうだな、幽体離脱って言えば分かる。ユキちゃん





あー、なんとなく分かってきた


幽体離脱が例えとして合っていると思う、現実の体はベッドの上で寝ている。目覚めないのは魂が体にないからとすればな。



アストラル体、霊体になった俺達は名も無き者が作ったアストラル界に閉じ込められている





魂だけが別にあってか





じゃなんでナギサちゃんは夢を見てるって言ったの


秋斗の質問に凪佐が答える。



それはね、夢を見るとき夢と気が付くとアストラル界に行けるっていう話があるんだ。その話でアストラル界と夢が――





OK! よーく理解した


秋斗は全力な笑顔で凪佐の両肩を掴んで説明を止めた。



実際、ここが夢という証拠もないけどな


この世界が何かと問われても俺には分からない。この世界が夢なのかアストラル界なのか、それとも別の物かのしれない。証明のしようが無いのだ。
六十部もその辺を踏まえて説明したんだろう。しかし六十部は何処でアストラル体やアストラル界の知識を知ったんだろう? ソースは何だ? まさかアニメじゃあるまいし、もしかすると六十部は隠れオタの可能性が。
そう思って鮫野木は六十部の目を覗いたが睨み返された。鮫野木はとっさに目を逸らす。



ぶっちゃけ、今までの話アニメを観ていたら、だいたい分かるだろう? なぁ凪佐





う、うん、そうだね


手を凪佐の肩を掴んで体を近づける。凪佐は恥ずかしそうに答えた。



それが出来るのはお前達ぐらいだ





そうだよ、全く


気になったアニメの設定や用語の元ネタを調べたら、勝手に覚えないものなのか?



まぁいいや、あっ、六十部、あと一つ確認したいことがあるんだけど?


鮫野木は六十部に最後の質問をした。



何かしら?





ループの原因が野沢にあるって聞いたけど、それはどんな理由だ?





それは裏の世界の範囲と名も無き者のファーストコンタクトで見当が付いたわ





一つ、裏の世界は十年前、野沢心が住んでいた家からカゴメ中学校の周辺の建物、人物を再現している。そして、私達が移動できる範囲は野沢心が歩いて行ける距離よ


俺が住む曙町の一部が見えない壁で囲まれている。その壁の範囲が野沢の歩けて行ける距離らしい。一度どれぐらい広か調べてみたかった。



恐らく名も無き者がこの世界を作るときに野沢心の記憶を参考にしたんでしょう





まぁ、一つ気になるのは鮫野木くんの家、正確には内装が十年前にないものが沢山あるのかしら?





ねぇ、鮫野木くん?





さぁ、どうしてでしょうね


六十部は鮫野木に微笑みかける。その微笑みに鮫野木は笑って返した。



やっぱり、鮫野木くんに聞いても分からないわね





俺もサッパリなんです


現実の世界に戻る前から何となく自分の家に違和感があることは気づいていた。どうして家の内装が十年前と十年後が同じなのか、六十分に言われるまで考えないようにしていた。
