奏の軽い呼びかけに、蓮蛇も軽い調子で応えた。



蓮蛇さん。蓮蛇さんやーい。





はいはい。
なんだい奏さん。


奏の軽い呼びかけに、蓮蛇も軽い調子で応えた。



不意に気になったんですけどー。
前世とかの私はひとまず置いておいて。
私のどこが好きなんですか?





お。
そういうことを正面から聞いてくるとはちょっと心臓が強くなったかな。
ともあれ、それはね。





そーれーはー?





なんとなく直感で。
「あ、この子好み」みたいな感じだね。





え、なんか想像してたより軽い……。
もっとこう前世の雰囲気を残してたからとか。
もうちょっと深刻な感じになるかと思ってたのに。





ふふ。
案外ロマンチストなのかな?
前世の名残に惹かれて今の君に好きというなんて。





うわ!
恥ずかしいー!
はい、ちょっと期待してました……。





まぁ前世が恋人だったって持ち出したのは私だから私の責任かな?
でも、そうだね。


流れる水を一度切るように口を閉ざして溜める蓮蛇を、奏がごくりと息をのんで見守る。



今世の君に惹かれるところが無ければお登勢の生まれ変わりでも二言三言交わして終わりだったろうね。
それを日参しているのだから、初見の印象は大事、ということさ。





そうですね。
最初の印象って大事ですよね。





そうだよ。
だからね奏さん。





はいはい?





誰を好きになるにしても、常に身だしなみに気を遣うのは大事だよ。


蓮蛇の言葉に、奏は慌てて身だしなみのチェックを始めた。



え?あれ?どこか変ですか?


慌てる彼女に、蓮蛇は心構えの話だよ、と笑うのだった。
