気楽な様子で先を促す蓮蛇に、奏は少し深刻そうな顔をして問いかけた。



蓮蛇さん、蓮蛇さん。





おや、今日は奏さんから話してくれたね。
嬉しいよ。





またそんな……それよりお聞きしたいことがあるんですが。





どうぞどうぞ。


気楽な様子で先を促す蓮蛇に、奏は少し深刻そうな顔をして問いかけた。



蓮蛇さんは、私の前世だった人が蓮蛇さんとの子供を欲しがったって言ってましたけど。





ああ、言ったね。





蓮蛇さんは、欲しくなかったんですか?
その、好きな人との、子供。





……。





蓮蛇さん?


蓮蛇と奏の間に沈黙が落ちる。
それが気まずかったのか、奏が「気に障ったならいわなくても」と口を開こうとした矢先だった。



欲しくなかった、といえば嘘になるけれどね。
私には元からそういう機能がないからね。
どこか、遠い世界の話のようで実感がないんだ。





え……?





私に子供を作るという機能はないんだよ。
神の使いだからね。
神はただのメッセンジャーに繁殖の必要を認めなかった。





え、あ……あ、ご、ごめんなさい。


謝る奏に、蓮蛇は鎌首を揺らして笑いながら答える。



そんな気にすることではないよ。
無いものは無い。
それだけの話だよ。
それより謝るのはこちらの方だ。
人間はそういうことを重大に受け止めるんだったね。





あ、そんな。蓮蛇さんが謝ることじゃ……。


奏が顔をうつむけ、手をわちゃわちゃと絡めて申し訳なさそうにする姿をみて、蓮蛇は言う。



ではお互いなにも謝ることはないということで。
少し口直しに今日の学校で楽しかったことを聞いても、いいかな?





あ、はい。
それなら友達の……。


少し、重い雰囲気を振り払うように奏が話を始める。
その眼には、若干の後ろめたさがあったのだった。
