


柳……大丈夫?





…………っ





早く治療しないとまずそうだな……鴉が量が上手いからそこまで耐えてくれ





……っ!





なんだ……この音?





覚様、柳! 下がって!!





あぁ…………





…………っ





そんな……山が………





めろ……やめろよ………





私達の……山が………





…………





うわあああああああああああああああ!!!!





覚様………





なんで俺達がこんな目に遭わなくちゃいけないんだよ!! 平穏な暮らしを……住処を守ろうとしてただけじゃねえか!! それの何がいけないんだよ!!





覚様……ここは危険です。移動しなくては





こりゃあ……仕舞いだぁな





爺さん……





しゃんとせんか若造が。主が指揮を執るのだろう? 醜態を晒して下の者がついてくると思うてか?





……もうこんなの戦じゃねえよ。抹殺だ。人間が本気で潰しに来てるんだ。爺さんも分かってるんだろ?





さて、な。じゃが、それでも上の者は凛としておらねばな。無様な体たらくを晒すのは勝手じゃが、それで死ぬ者は減るのか?





…………





これが戦でないのなら、それはそれで成せることがあろう。儂は餓鬼共の所に行く。生きてればまた会おう





覚様……





………あぁ、すまねえ心配かけた。以津真天と鴉を探すぞ





それには及びませんぞ、覚様





こんな状況ですからね、降りてきてしまいました





いいか、もうこれは戦なんかじゃねえ。この山も保ちそうにねえ。とにかく今は逃げるんだ





…………





楓、お前は柳を連れて先に行け。俺達は他の奴らを助けながら後を追う





ですが、覚様………





お前が抱えてるのは2年も探してた大事な鬼だ。今はお前達が生き延びることを再優先に行動しろ





…………っ!





………はい





楓、その手を絶対に離しちゃいけないよ





うん……ありがとう。また後で





また後で………か。次に会うとしたら何処になるのでしょうね





空の上でないことを祈りましょう





……人間共、山に入ってきたらしいな





覚様、貴方は下がってていいんですよ? 実戦は不得手でしょう





構うもんか。戦じゃない以上指揮官なんかいたってしょうがないだろ。だったらせめて、あいつらを逃がすために戦いたいんだ





それに、どうせ死ぬなら付き合いの長いお前達と肩を並べてえ……それだけだ





そんな縁起でもない。楓が悲しみますよ





それはすまねえと思ってる





……あの娘はきっと、分かってくれます。貴方が本当に愛していたと言うことも





よせやぃ恥ずかしい





……では覚様、先に暇を頂きます





我らの意地を、見せつけてやりましょう!!





………なぁ、聞こえてるか? 最期の主命だ





あいつらを守ってやってくれ……頼んだぞ





うおおおおおおおおおおおおおっっ!!


