今日の夕食は和風ハンバーグ、サラダ、アサリの味噌汁。
食卓に並べられたいつもと何も変わらない料理。
今まさに美智留が言ったように、別に豪華な料理が並べられている訳ではないのだ。



兄さん、誕生日なのにあんまり豪華な料理を用意できなくてごめんね


今日の夕食は和風ハンバーグ、サラダ、アサリの味噌汁。
食卓に並べられたいつもと何も変わらない料理。
今まさに美智留が言ったように、別に豪華な料理が並べられている訳ではないのだ。
…だがしかし!!



俺は美智留が作る料理全てがごちそうだよ。毎日おいしい料理ありがとうな





兄さん…





うん、ありがとう兄さん!!
でもね、その代りケーキは手作りで上手に出来たから期待してね!





おう、それは楽しみだ!


美智留が作るケーキだ。ウェディングケーキ並みにすごいに決まってる。
いや、きっとそれを遥かに超えてくるだろう。



それじゃあ、いただきます





いただきます!


俺たち二人は夕食を堪能した。
和風ハンバーグ最高。
味噌汁うまい。
サラダ新鮮。
美智留大好き。
羽島桜、16歳!!
生まれて初めて好きな人にプレゼントを贈りました!!



うぅぅぅぅぅぅぅ~…!!


けれど、その後遺症はとても大きすぎました。
ベットから立ち上がれない!
枕から顔を離せない!!
心臓のドキドキが止まらない!!!
これはやばいです、非常にやばいですよ。
信一くんに渡した瞬間から、私の体がおかしくなった様に言う事を聞いてくれません。
おかげで逃げる様な形で帰ってきちゃいました。



はあああああああああああ…!!


思い出した事で再び心臓の振動が激しく~!



信一くん…喜んでくれるかな…?


必死に考えて渡した誕生日プレゼント。
信一くんはどう思ってくれただろう…。



あう…また胸が…


それからしばらく、私はベッドでキモチ悪く悶えた。



ああああああああ、私のバカバカバカ!!


信一の家の玄関にプレゼントを置いて帰って来て、汗をかいたからお風呂に入ろうと思って脱衣場で服を脱ぎブラジャーを取ろうとした時、ふっと手紙に名前を書くのを忘れた事を思い出した。
自分で言うのもなんだけど、なんでそんなタイミングで思い出したんだろう。
タイミングが最悪すぎる。変態なの、私。
実は自分で気づいてないだけで、私って痴女なのかも。



って、そんな事はどうでもいい~!!


今大事な事は私のプレゼントだって気づいてもらえない可能性があるってこと。
でも…さすがに…。
いくらバカな信一でも私のプレゼントだって気づいてくれるよね?
…いや、わからない。だって、信一バカだもん!



ああ、本当にもう何やってるんだろう…私…


名前を書き忘れたことも、全裸で脱衣所ウロウロしてることも…。
突如鳴り響く携帯電話。



もう、なに!? 今はそれどころじゃないんだけど!!


イライラしながら携帯を確認する。
実へ、
誕プレありがとう。
信一より



あう…


身体の力が抜け、脱衣所の床に裸で横たわりキモく悶えた。
夕食を終え、待ちに待ったケーキは想像をはるかに超えた完成度を誇り、俺はとてもじゃないがそのケーキに包丁を入れることは出来なかった。



兄さん切らないの? じゃあ代わりに私が…





ぎゃあああああ!!


作った張本人が容赦なくそれを切り分けた。
俺は泣く泣く、そのケーキを食べた。
案の定、ケーキは文句なく美味しかった。
でもなぜだろう…このケーキしょっぺ!!
部屋に戻り、ついにこの時が来た。



うん…どっちから開けるか…


机に置かれた二つの箱は言うまでもないが、桜と実、二人にもらったプレゼントだ。
神様に聞くのもあれだしな…。かといって、他に選ぶ方法も思いつかない。



うん…同時進行で開けるか


そんな事ができるのかって思ったでしょ?
できるできないじゃない…やらなきゃいけないんだ!!
俺は二つの箱から二つのプレゼントを同時に出した。



こ、これは…!!


桜の方から出て来たのは、刺繍が入ったハンカチだった。
模様の横に、(sinniti)って書いてある。
実の方も手作りのハンカチだった。
模様の横に、(sinniti)って書いてある。
……。
気持が複雑になった。
二人ともすごく一生懸命作ったのであろう刺繍。
そんな二人の頑張りが伝わって来て、俺は凄くうれしい。
うれしい…。



…でも、二人ともかぶってるんですけど!?


いや、べつに俺は同じものをもらっても全然構まわないんだ。
俺は構わないんだけど…。
二人が気にするもんな!!
はあ…どうするか…。
俺はひとまず、二つのハンカチを机の上に大事に飾った。
それを眺めた後、ベッドにダイブして俺は思った。



どうするんだよ、これえええええええ!!


ベッドの上で俺はキモく悶えた。
