分かってはいた。
僕は万能じゃない。
体力も知能も人並み以下。
こんな、人を殺して平気でいられるような奴に、
敵うわけがない。
だけど……
分かってはいた。
僕は万能じゃない。
体力も知能も人並み以下。
こんな、人を殺して平気でいられるような奴に、
敵うわけがない。
だけど……
蒼く心臓を抉られるような、
冷水を流し込まれるような、
血管に沿って走るこの痛みに
僕は耐えられないんだ。
放っておけやしないんだ。
だって、



頼んだのは君だけど、僕はそれを受け入れたんだ。
頼まれたから仕方なくやったんじゃない。





本当に、助けたかったんだ


霊深度
-
00
七



は?





お……おいおいおい





てめぇ、何しちゃってんだよ?





このまま放っておいたら……
また誰か、殺すんだろう?





僕は非力だけど……
一秒でも長く、
お前を止める





いや、だからってふつーそんなことしねーだろ!
そんなところ掴んだら――





――血が流れても止めない、か





なら、力比べでもしようってか?





うっ、





こんなことで離してたまるか!


手が、腕が痛いことすら、どうでも良かった。
その痛みを越えるほどに、強く、
強く強く、胸が痛んで、
どうしようもなかった。
こうすることでしか痛みを抑え込めなかった。



この、力の強さ……
お前一体……


