輝夜樹照。



そう名乗る男は、一時期新聞の一面を飾り続けた。

人気、だったのだろうか。

五日町には分からないが、魅力的だったらしく狂信的なファンも多かったという……

男を捕まえ、手錠を掛けたのは五日町だった。

彼の家宅を捜索した時のことを、五日町は今でもはっきりと覚えている。

大量に散らばったメモには、赤黒いペンで名前や日付と共に、その記号が大量に書かれていた。

ターゲットと決めたら、
名前の横に十字架を。



殺し終えたら、十字架を地面に突き立てるように、
一本の横線を足す。

……そうやって、その数十枚にもわたるメモには多くの「候補者」の名前や情報が記され、そのうちのいくらかには名前の横にそのマークが記されていた。




行方不明になっていたり、遺体が見つかっている、
輝夜樹照に殺められた者ばかりだった。

その数は20や30では済まなかった…………

‡2.5　途中で中途で止められない　了