11.嵐の記憶②
11.嵐の記憶②
僕は鈍い音がした方を見た。



…え?これって…。


…僕が見たものは…真っ赤な真っ赤な液体だった。
まさしくそれは…
血だ。
僕はその血の持ち主を探した。
…が、見当たらない。



…おやおや…いたずら好きな子だなあ。


帽子屋がその真っ赤な液体を見てこう言った。
よく見ると、近くにガラスの破片のようなものが落ちていた。



…そこに隠れている君、怪我しているんだろ?
手当てしてあげるから出ておいで。
お菓子を出そうと、ビンを割ったことは許してあげる。





…。


…どうやら僕と同じくらいの奴がこの血の持ち主らしい。
…良かった、無事で。



…けれど、この辺じゃ見ない顔だな。


…その時だった。
涙がそいつのそばに来て怪我をしているであろう手をぎゅっと握った。



…っ!!





痛い痛いの飛んでけぇ~。





一緒に帽子屋さんに謝ってあげるっ!





…え。


涙はそいつと一緒に帽子屋に謝り、帽子屋はそいつを手当てした。
その後、涙とそいつは…
手を繋ぎながら、帰った。
僕は二人の後姿を見つめながら…。
そう…そいつの名前は
樋爪 豊だ。
ー続く
