妹が救いを求めるように、手を伸ばした。

　姉は妹の無惨な姿を見下ろした。

　それから私を真っ正面に見た。

　妹を守るように前に出た。

　だから私は挑むように前に出た。

　すると――。

　姉は、なんと、その場に土下座した。

　妹は跳びはねるように起き上がり、そのいきおいで土下座した。

　今、私の足もとには、美少女姉妹が全裸で土下座をしている。

　私は、全裸で土下座する美少女を初めて見た。

　もちろん、誰かに土下座されることも初めてだ。

　土下座するふたりを見下ろした私の全身に、どよめくような快感がはしった。

　しばらく全能感に酔いしれた。

　その後、ハッとして顔を上げた。

　振り返るとサクラさんが呆然と立ちつくしていた。

　やけつくように真っ赤にぬれたくちびるだ。

　しかも恍惚の笑みで快美にふるえている。

　ブレることなく徹頭徹尾サディスティックなサクラさんなのだった。

　私は喪心状態から立ち直ると、あわてて土下座をやめさせた。

　ふたりの謝罪を受けいれ、今までの非礼を許した。

　ふたりは、ホッと安堵のため息をついた。

　いつきも小夜も胸をなでおろしていた。

　ちなみにサクラさんは、ちょっと物足りなそうな顔で、なぜか下着の着崩れを正していた。……。

　やがて姉が言った。

　サクラさんがイライラして言った。

　全裸姉妹は口をとがらせた。

　サクラさんが無表情でうながすと、姉はこう言った。

　彼女はそう言って、さびしげにまつ毛を伏せた。

　彼女はポーチから鍵を取りだした。

　そして言った。

　彼女は、ため息混じりにそう言った。

　するとサクラさんが無表情で無感情に言った。

　きっぱりと、彼女はそう言った。

　それから自嘲気味に笑い、彼女は両手を差しだした。

　サクラさんはそう言って、彼女を後ろ手に決めた。

　そして彼女があえぎをもらしたときにはもう、手錠をかけていた。

　そう思って止めようとしたけれど、手錠をかけられた姉がなんだか照れくさそうで恥ずかしそうな、どういうわけか嬉しそうな顔をしていたので、私はとまどった。

　サクラさんは、支配者の笑みで妹に手錠をかけていた。

　妹はというと、これはもう完全に悦んでいた。

　まるで乱暴な愛撫をうけているかのようだった。

　サクラさんは、女の子なら誰しも憧れる、凛とした氷のような美女である。

　そんなサクラさんに無下に扱われては、マゾに目覚めるのも無理もない。

　サクラさんは、拳銃で姉の背中をつついた。

　姉は腰をくねらせ、くやしそうな目をした。

　だけどほっぺたは笑ってた。

　マゾ的な悦びがこみあげていた。

　私は、あきれて思わず笑ってしまった。

　同意を求めるべく振り返ったら、いつきと小夜は全裸姉妹を見て、まるでお母さんのようなため息をもらしていた。