今日は「銀杏通り」で開かれる夏祭りに、煉先輩と一緒に来ていた。
今日は「銀杏通り」で開かれる夏祭りに、煉先輩と一緒に来ていた。



へい、いらっしゃい!
美味しいたこ焼きだよ!!





ふわっふわの人形焼きは如何~





ねえ先輩!
屋台がいっぱい出てるよ~♪





そうだな!
今年は一段と屋台の数が多いみたいだし。





早くいこ!





まてまて美琴!そんなに急がなくても、屋台は逃げては行かないぞ!





ねぇ先輩!
たこ焼き食べない?
私、小腹がすいちゃってて…





俺も腹が減ってたんだよ。
たこ焼き買うか!





いらっしゃい!





たこ焼きを1つ、お願いします♪





今から焼くから、少し待っててくれや!





は~い♪





いい匂い♪





そうだな♪





それにしても、あのポリバケツに入った生地の素とか、中に入れる具材とかって、お家でたこ焼きを作ろうと思ったら、切ったり粉を水で溶いたりする必要がありますよね~





この狭い屋台のスペースで、具材を切ったり粉を水で溶いたりすることはできないから、たこ焼きを作る過程を「工程別」に分けて、自宅でやれるものは自宅でやって来てるってことだな。





あっ!!
こんなところにも「工業簿記」を発見!!





確かに、屋台の運営は「工程別総合原価計算」に例えてもおかしくないな!





そう言えば、授業でもう工程別総合原価計算に入ったんだったな。





総合原価計算の基礎が先週終わったから、今週から具体的な内容に入ってるんだ~





屋台のたこ焼きを工業簿記に置き換えると、具材を切ったり、生地の素を水で溶いたりする工程が「第1工程」って訳だよね!





そうだな。
工程別総合原価計算では、通常材料は「始点(生産がスタートする地点)」で全て投入される。





野菜やタコ、生地の素といった「材料」に、「人の手(労務費)」と、具材を切る場所の照明や空調、ガス代や水道代といった「経費」を使って加工を加え、この屋台まで運ぶ。





屋台まで運んだ時に「第1工程」で生産された半製品が「第2工程」に引き渡される、ってことですね。





そういうことになる。
今回の例だと、ただ具材を切ったり生地の素を水で溶いただけだから、第1工程で出来上がった「半製品」を売却することはないだろうけど…





例えばドーナツの製造で、第1工程が生地を丸いリング上にして油で揚げ、第2工程でチョコレートをかけて製品が完成だった場合、油で揚げただけのドーナツでも販売することができるから、第1工程で完成したものは「第1工程半製品」ということにして資産管理し、売却したら「半製品売上原価」に振り替えることもあるな。





確かに!





んで、自宅で加工が終わっている具材や生地の素を、たこ焼き専用の鉄板の上で調理して、プラスチックのフードパックに入れて製品を完成させるのが「第2工程」という訳ですね!





ここでポイントなのが、調味料以外の材料は、この第2工程で投入されないということだ。





確かに。
だから、第2工程の月末仕掛品を算出する時に「材料費」の代わりに「前工程費」と「加工費」で計算をするんですね♪





そういうこと。
第2工程の前工程である「第1工程」で完成したものが、第2工程の材料となる訳だから、第2工程に「材料費」は存在しないんだ。





へい!たこ焼き1人前お待ち!





あれっ!?
おじさん、2個多くない!?





美人で正直者のお嬢ちゃんにおまけだ!





そんな…美人だなんて…





そこの兄ちゃんも、幸せ者だね!
大事にしてやんなよ!





はい。
ありがとうございます…





おじさん!ありがとう!!
また明日、友だち連れてきっと来るからね~





おう!待ってるぜ~!!


chapter13 に続く
