すごいな・・・こんな広いお屋敷に入るのなんて初めてだ・・・

長のお屋敷には、珍しいものがたくさんあるのよ！大昔に、イマガイの各地を回る旅をしたことがあったんですって！

そうなんだ！

さっきの魔法もそうだけど、フロウさんってなんかすごいんだな・・・。

当たり前じゃない！だって、あたしたちの長なのよ！！

ルナはフロウさんのこと大好きなんだな。

うん！いつかは、長と同じようにイマガイを旅するのが夢なの！

でも・・・

お待たせいたしました。

すげえ・・・

ああ、これですか？

私は、風属性の魔術師(マジシャン)なんです。大きなカップを運ぶのはさすがに辛いので、上昇気流を利用させてもらいました。

かっこいい！！
俺も魔法使えたりするのかなぁ・・・

ふむ・・・残念ですが、スコアホルダーには大抵魔力が備わっていませんので、魔法は使えませんね・・・

ううう・・・そうなのか・・・

お口に合うといいのですが・・・カモミールのハーブティーです。

すごくおいしいです！
ハーブティーなんて初めて飲みました・・・

嘘！ハーブティー今まで飲んだことなかったって、人生半分以上損してるわよ！？

そんなに！？

そこは人それぞれですよ、ルナ。
アミスもハーブティー飲めなかったでしょう？

あいつは変わり者なんだよ－！
長のハーブティー飲めないなんてあり得ない！！こんなにおいしいのに！！

お褒めにあずかり光栄です

あの・・・ルナとアミスって、もしかして・・・

はい・・・すごく仲が悪いです。
互いの出生のせいでもあるのでしょうが・・・おそらく、この妖精の森一番の不仲コンビです。

出生関係なくあいつは生理的に無理！
小難しいことばっか言うし、あたしのこと馬鹿にしてくるし・・・

ああ、思い出したらイライラしてきた！！

落ち着いて落ち着いて・・・キレてもいいことはありませんよ？

・・・アミスは、非常に優れた魔術師でして。闇属性の家系に生まれた身でありますが、ちょっとコツを覚えると、どんな魔法も使って見せました。
私が退位した後の、次期長候補でもあります。

そんなすごいやつだったんだ・・・

あたしは認めないけどね！

しかし・・・最近急に姿を見かけなくなりまして・・・その前にも、少しおかしなことを言っていました。

おかしな事？

はい・・・確か・・・。

世界が飢えている。神は、「しゅうえん」を求めている・・・俺は探さなきゃならないみたいです、長。

・・・なにそれ？

私にもちょっと・・・でも、彼は何かしらを感じ取ったみたいです。
そうして「探し出した」のが・・・あなたたち、スコアホルダーなのでしょう。

ねえ長、さっきから気になってたんだけど・・・その、スコアホルダーってなんなの？

ふむ・・・そうですね・・・
アルトさんはもうご存知かもしれませんが、おさらいがてら聞いてください。

はい、俺も曖昧だったので助かります・・・

そうですか、では、説明させていただきますね。

ルナ、以前、私はイマガイを旅したことがあると話したことがありましたね？

ええ、覚えてるわ！長のお話の中で、一番好きなお話だもの！

それはよかったです・・・実は、その旅の目的が、スコアホルダーの補助だったのです。

スコアホルダーの補助・・・って事はつまり・・・パートナーって事ですか？

はい。私はとあるスコアホルダーのパートナーとして、イマガイの各地を回りました。

ところでアルトさん、スコアホルダーの旅の目的は覚えておいででしょうか？

はい、自分の願いを叶えることです。

その通り。しかし、その道中でやらなくてはならないことがありましたね？

えっと・・・

サウンドレススコアを完成させること、それを演奏するための奏者を探すこと、ですね？

そうです。

ですが・・・察しがついているとは思いますが、旅は過酷を極めます。肉体的にはもちろん・・・精神的にも。
中でも魔法なしの旅なんてもっての外・・・言ってしまえば不可能です。

そこで登場するのが、私たち妖精・・・パートナーです。

妖精は、体が小さいので物理攻撃は不得意ですが、他種族より魔力に優れています。
攻撃魔法、補助魔法の得手不得手はありますが、イマガイを旅するのであれば、一人は仲間にいた方がいいでしょう。

たとえばルナは・・・

あたしは補助魔法が得意よ！中でもけがの治療ね！

攻撃魔法はからっきしだけど・・・

・・・という様子ですね。

確か・・・アミスたちと別れる前にも、パートナーを探せって言われました。

あの・・・ここでパートナーを探しても・・・？

ええ、もとよりその予定でしたし、かまいませんよ。
パートナーが決まり次第、ここのノーツモニュメントにご案内いたします。

はい、ありがとうございます！！

ですが・・・今日はもうお疲れでしょうから、パートナー探しは明日にしてーー

そんなの、ソッコーで決まりよ！！

あたしがあなたのパートナーになる！ね、いいでしょ、長！？

ふむ・・・確かに、ルナの補助魔法は旅にとても役立つでしょう・・・どうですか、アルトさん？

はい、是非彼女にお願いしたいです！

ほんと！？

そうですか・・・では、しばらくの間、ルナをよろしくお願いします。

はい、こちらこそ、お世話になります！

ええ！存分にお世話してあげるわ！！

ルナ、呉々もアルトさんに迷惑をかけすぎないように。いいですね？

わかってるわかってる！長は心配性ね！！

そういうところが心配なのですが・・・

それじゃ、アルト、これからよろしく！

うん、よろしく、ルナ！

アルトさん、ここにスコアを置いて、バトンで軽くスコアをたたき、振り上げてみてください。それで、スコアに音が刻まれるはずです。

アルトアルト！早くやってみて！！

う、うん・・・

うわあっ！？

なにこれ！？

おめでとう、これで、妖精の森での作業は終了です。

い、いまの・・・！！

すごいすごい！！なんかすごいかっこよかった！！音がばばばーって！！ばばばーって！！

これを、これからイマガイを回ってやっていくわけですが・・・大丈夫ですか？

え、えっと、ちょっとびっくりしちゃって・・・

最初なら無理ないですよ・・・そうだ、これを渡しておきますね。

どうしても戦いを避けられなくなた時、これを使ってください。護身用くらいにはなると思います。

はい・・・ありがとうございます！

この先に、少し開けた場所があります。そこで転移魔法を使って、次の目的地「アルバス村」に向かってください。

え！歩いて行かないの？

歩いても行けますが・・・そうすると、「深浴の森」を通らなければなりません。あそこは気性の荒いモンスターが多いので、今のあなたたちが通るのはおすすめしません。

なるほど・・・

忠告ありがとうござます。助かります！

いえいえ。私はこれ以上ついて行くことはできませんが、旅の無事を願っておりますよ。

はい！何から何までありがとうございました！！

長、いってきまーす！

行ってらっしゃい、ルナ。

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・すべてを知ったら、あの子たちはいったいどんな顔をするのでしょう・・・
・・・ルナ・・・。

・・・・・・どうか、あの子たちの旅路に、希望がありますように・・・。

僕と契約して、スコアホルダーになってよ！！(慣れた)

そいつぁギルティだ・・・！今すぐ消さなきゃなんねぇ！！(いつも通りノリノリ)

みんなが幸せでいてくれれば、私は絶望しないもの・・・！！(いい笑顔で)

ちょーさーくーけーんー！！！！！
そして二番目のお前、それなんか違う！！

最後まじめなら最初からまじめにやれ！！