JR総武線の浅草橋と御茶ノ水に挟まれてる駅の名前を知っているだろうか。
JR総武線の浅草橋と御茶ノ水に挟まれてる駅の名前を知っているだろうか。
人によっては「なにそれ？ サッパリ」と答える人もいるだろう。
また、人によっては「あそこしかないっしょ！」と胸を張って答える人もいるかもしれない。
どうして、俺がそんな事を急に話し始めたのかって？
お待たせしました！ 待ちました？
いや、俺も今来たところ！
駅の改札前にて、桜と合流をした。
あの～、どうですか？…私の服
・・・
も、もしかして、これは定番のアレですか！！
よし！
ここはビシッと決めてやる！
に、似合ってるよ！
う～
桜は顔を赤くして、顔を下に向けた。
だが、
ど、どこがどんな感じに似合ってますか？
今度はそう来たか！
白のワンピースとデニムが凄くあってるし、そこから見える白い肌がとってもマッチして…か、可愛いと思うよ！
せ、説明が下手で、何が言いたいのかわかりません！
説明が下手って言われても…
こういうの、初めてだから何て言えばいいのかわからないし…。
結論は、説明が出来ないほど可愛い！
…でも、ありがとうございます
お、おぅ
不意討ちかよ。可愛いよ。
俺と桜の空間だけが、静まり返ったようにも思えた…。
違った。本当に静まり返った。
周りを見渡すと、近くにいる人が、軽蔑の目で俺達を見ているのがわかる。
普通ならスルーしてくれるだろう行動で、ここまで注目をあびる事になるとは…。
場所が悪かった。
なにせ、ここは秋葉原なのだから。
し、信一くん！
ん？ どした？
わ、わ、わ、私と秋葉原に行きませんか？
急にどうした！？
あ…いえ、嫌ならいいんですが…
そ、そんな事はないよ！ どうしてアキバに行きたいのかな～って思っただけ
私、帰国子女じゃないですか？ だから、あっちでも有名だったアキバに前から興味があったんですよ
あっちでも有名なんだ。それで、いつ行くの？
今週の土曜日はどうですか？
うん、おっけー。
と言う感じの流れがあり、俺はアキバに来ることになった。
正直に言おう。
来てよかったです。
辺り一面を見渡す限り、あちこちにアニメやゲームの幕が貼られていて、見てるだけでテンションが上がってくる！
まあ、それは置いといて…。
まずは、この視線から逃げようではないか。
桜、行くぞ！
え？
間抜けな声を出した桜の手を引き、俺達はその場を後にした。
それにしても、凄いですね！
そーだな
可愛いイラストがいっぱいあるし、見ていてあきません。来てよかったです
それはよかった。まずは、どこか店に入ろう
駅から少し歩いた俺達が、最初に入ったのはアニメイトだった。
ここはどこですか？
ここはアニメイトだよ
へー、アニメ関連の物が置いてあるんですか？
簡単に言えばそうだけど、他にも(同人誌)とか(ライトノベル)なんかも置いてるよ
(ライトノベル)はわかりますが、(同人誌)って何ですか？
(同人誌)ってのは、同好の士が資金を出して作成する同人雑誌の略語なんだけど…ようはアマチュアの人が作った本の事
へー、そんなのがあるんですか
うん、全部オリジナルで作る人もいれば、アニメや漫画とかを自分好みにアレンジするのもあるね
詳しいんですね
まーね
この手の事については、自慢ではないが、一般人よりかは詳しい。
何か話してて恥ずかしいけど。
うわ～、凄～い
興味が湧いたのか、本を手に取ってから、好評の声が上がっている。
その本、気に入ったの？
はい！
そうか、でもそろそろ行こうぜ
俺はその本を桜から取った。
あ！
一瞬驚いた顔を見せ、すぐにしょんぼりと顔を下にやった。
いつまでも見てる訳には行きませんもんね…
俺はレジへと向かった。
桜から取った本を持ったまま。
はい
店を出て、すぐに本を桜に渡した。
これ…くれるんですか？
うん。だから買ったんじゃん
・・・ありがとうございます！
桜は今にも泣きそうな顔で、その本を受け取った。
だが、またまた周りの視線が痛い。
さっきの「ありがとうございます！」が大きすぎて、また秋葉原を堪能している方々が俺達の方を見ている。
てか、睨んでる。
俺はさっきと同じように桜の手を引き、ある飲食店の前まで走って向かった。
ここって…
少し早めの昼飯～。ここって、結構有名なんだ～
美味しそう
食品サンプルに目が釘付けの桜。可愛い。
この店の看板メニュー。
それは、
ハニートースト。
女性客に人気らしい。
しかも、思ったより安い！
事前に美味しい店探して良かったー。
私、てっきりアキバにある飲食店って、メイド喫茶しかないと思ってました
いやいや、他にも沢山あるからね！ マックとかサイゼリアとかラーメン屋とか色々
流石にそれは酷いよ。
アキバを何だと思ってるんだよ。
そんな会話をしながら、俺達は店の中に足を踏み入れた。
パッと見は、綺麗な店で評判どうりだな。
お待たせしました
うわ～
お～
ハニートーストが運ばれて来た瞬間、思わず声を漏らした。
見た目は百点。中身は…？
う、上手い！
百点でした。
とっても美味しいです～
桜もご満足のようで、笑顔が可愛い。
結構量があるように思えたが、思ったよりすぐに食べ終わった。
はー、美味しかった
もー、俺も満足です。
ふ～、満足です～
桜も食べ終わり、この店を後にした。
午後は色々な店をブラブラして、気づけば5時を回っていた。
うわ！ もうこんな時間じゃん
少し、遊び過ぎましたね
今日一日で、沢山回ったと思うが、まだまだ全然行ってない店がある。
恐るべし、アキバ。
ごめんなさい。この後、少し用事があるので今日は先に帰りますね
送ろっか？
だ、大丈夫です
そっか
そ、それじゃ！
おう！ また明日な
桜は早足でこの場を離れていった。
あれ？…そっちは駅の方向じゃないぞ？
まあ、いっか。
１人寂しくブックオフに寄り、人が多い電車に揺られながら帰った。
でも、楽しかったからいいか。
