信一と別れて、二人で歩く帰り道…気まずい。



・・・





・・・


信一と別れて、二人で歩く帰り道…気まずい。
私は今、どんな顔をして歩けばいいのかもわからない。



・・・


この子もこの子で、気まずいのか、目がさっきから訳のわからない方向へ行っている…。
てか、何でろくに話したこともない人と二人で歩いて帰らないといけないの!!
・・・
あの喧嘩はノーカンね!
だって、喧嘩なんて話したことがない人ともできるものでしょ?
…違う? まーいいけど。
…信一の事、好きなのかな?
まだ、転校してきてあんまり日は経ってないけど、なんだか仲良いし。
聞いてみようかな…。



あ、あのさ…





な、なんでしょう?


うわ~、凄く緊張する。
でも、ここで聞かなかったら、もう聞く機会無いだろうし。
頑張れ、私!!



し、信一の事…どう思ってるの…?





ふぇ! ど、どうしたんですか!? 急に!





き、気になったから、聞いてみただけ!





どうって…ふ、普通ですが?





う、嘘でしょ! 本当はす、す、す、好きなんじゃないの?





ふぇ!


「好き」という言葉に、強く反応を示した。



ど、どうして知ってるんですか?





え?





どうして私が、信一くんの事が好きだって事を知ってるんですか!?





み、見ればわかるわよ! あんなにデレデレしてたら





そうですか…ども、早川さんも信一さんの事、好きですよね?





な、なんでそうなるのよ! そんなわけないでしょ!





そうですか? 私はてっきり好きなのかと思いました


どうして、こんなに慌ててるんだろう…私。
自分に正直になれないなんて、絶対ない。
正直に言おう。



べ、別に好きじゃないし


・・・
何言ってるの、私~!!



本当ですか?





ほ、本当だって!


ええい! この際、もうやけよ!



な、なんなら、私が告白のお手伝いをしてあげようか?





本当ですか? ありがとうございます!





い、いいのよ。別に


…完全に取り返しのつかない方向に進んで行っている。



あの…





な、何?





私、早川さんの事を実さんって呼んでいいですか?





別にいいけど…





やった! ありがとうございます! 実さん





あなたが名前で呼ぶなら…私も桜って呼んでいいよね?





はい、全然かまいませんよ





じゃあ、そーする


なんか、仲良くなったのかな?



私はここを曲がるのでこれで





うん、バイバイ





さようなら


笑顔で手を振る桜を、優しい笑顔で送り出した。
はぁ~、今日はスッゴく疲れた。
明日からどうしよう。
とりあえず、今更「嘘でした」とは言えないから手伝わないと。
・・・
何から教えればいいのかな?
まずは好きなもの?
それとも趣味?
迷うな~。
でも、私が協力することによって、二人がくっついたら…私…どうなるんだろう…。



桜の事、刺したりしてー


…一人で、なんだか虚しくなってきた。
重い気持ちの中、暗い住宅地を一人で歩いて帰るのだった。
