- キャラクター名 -



ようこそ、冒険者さん。





懐かしい。
そういえばこんな始まり方だったな。





とりあえず、前の通りに……ん?





申し訳ありません。
そのお名前の冒険者はもういらっしゃいますので、他のお名前をお願いします。


- キャラクター名 -
ネットゲームのキャラクター名は重複させることができない。ただし、キャラクターではなく、プレイヤーそのものの名前や、idが他に存在する場合はこの限りではない。
ネットゲームではしばしば名前を記号で囲ったキャラクターが見られるが、それは単にかっこいいからという理由だけではない。



どんな要求だ。
システム的には仕方ないんだろうが、キャラクターのセリフとしては違和感が凄いな。





あぁ、本当に帰ってきたんだな。





平森は……まだ来てないか。
暫く待つかな。





あ、先輩ッスか?


不意に、真横に居たプレイヤーが話しかけてきた。
キャラクター名はひよぽん、レベル1の戦士だ。



うお、もう居たのか。





待ってたッス。





ってお前、戦士じゃねーか。
俺に合わせるんじゃなかったのか?





だから合わせてるじゃないッスか。
同じ戦士、お揃いッスね。





合わせるって職をかよ。
役割とかそういう……。





いや、もういい。
それよりお前、ネナベなんてやってんのか?


- ネカマとネナベ -
ネットオカマとネットオナベの略。言葉通りであり、異性のように振る舞う人を指す。また、異性のキャラクターを使用する事自体を指す場合もある。
ネトゲプレイヤーにおける女性の割合が少ないこともあり、ゲーム内の女性キャラクターは十中八九男性が操作している。備えよう。



ええ、まあ……。
やっぱりネトゲプレイヤーの女の子は少ないッスから。それだけで寄ってくる輩が結構居るッス。
それで昔色々あって、今はこんな感じッス。





ふーん。
苦労してるんだな。





そんなことはいいッス。
どうッスか? 戻ってきた感想は。





本当に当時のままだよ。
時間が戻ったみたいだ。





ただ残念なのは、名前が取られてたことだな。





あー、それは残念ッス。
まだ始まったばかりなのに、被っちゃうもんなんスね。





もしかしたら、前回のキャラクターデータが、今も何処かに残ってるのかもしれないッスね。





なわけねーだろ。





そりゃそうッスね。
僕は前の名前使えてるッスから。
ただの運営会社移行とかなら残ってるんスけどね。流石に1回サービス終了したら消されてるッス。





前のデータは消えちゃったッスけど、たまには1からやり直すのも、新鮮味があって好きッス。





そうかい。
それじゃ、アイテム収集依頼でも行くか?





いいッスね。
序盤の定番ッス。


数年ぶりに訪れた酒場は、あの頃と何も変わらなかった。
依頼を受けながら、つい仲間の姿を探してしまう。



まぁ、いねーよな。





……昔の友達ッスか?





ああ。
もしかしたら、あいつらもまたやってるかも。なんて期待したんだけどな。





僕も同じッス。
さっきからずっと探してるんスけど、やっぱ居ないッスね。





でも1度はプレイしてたんスから、ゲームの再開に気づけばまた始めるって可能性は十分あるッス。
いつか会えるッスよ。





ああ、そうだな。





懐かしいな、こいつも。
昔はひたすら狩り続けたもんだ。





序盤の収入源といったらコイツッスからね。
全職育ててたんで、随分とお世話になったッス。





ほんと飽きるほど戦ったんで、もうこいつの動きは手に取るようにわかるッス。





ぐああー!





……。





油断したッス……。
すみません、先輩……後をお願いします……。





体力全然減ってないだろうが。
さっさと倒せ。





はい。





依頼品集まったッスね。





よし。それじゃ戻るか。


2人は何事も無く酒場に戻り、依頼の報告を済ませた。



流石にキノコは出てこなかったな。





キノコッスか?
そりゃ腐ってもレアモンスターッスから。そう簡単には出ないッスよ。





前回は出たんだよ。
初めて受けた依頼の帰り道にな。





へぇー。それは災難ッス。
勝てたんスか?





いや、負けたよ。





あいつら強いッスから。
流石に始めたばかりで勝つのは無理があるッスね。





それで、どうだったッスか?
久々にこのゲームプレイした感想は。





なんだかんだで、このゲーム好きだったんだなって思ったよ。
やってて楽しいからな。





それは良かったッス。





皆に会えるかはさておき、今はゲームを楽しむッス。


