前回までのあらすじ
行き倒れになっていたコスプレした女の子に飯をたべさせた。
前回までのあらすじ
行き倒れになっていたコスプレした女の子に飯をたべさせた。



ぷはー生き返りましたー





あっ、生き返ったって言ってもメルルはアンデットじゃありませんからね!


バイキング会場から大量にもってきた料理をぺろりとたいらげて、彼女はお腹をポンポン叩いてさぞ満足しているご様子だった。



よくわからんが、とりあえず満足したのか?





はい! ありがとうございますぅ!


腹も満たした彼女と少し世間話をすることになった。



ところでなんでこんなところに?





美味しそうな匂いに連れられて気づいたらここに辿り着いてました。





あ、あはは……そう


俺はこの子の連れがいないことに気づく。



そういえば一緒にいたあの中二病の彼はどうしたんだ?


すると彼女はシュンとなって話始めた。



実は……





勇者さまはメルルを残して夜の街にお出掛けになられましたのです。





うわ~それはクズい





それにお金も全部持ってかれたので、メルルはお店で食べ物を買うこともできずにいたのですぅ





ひっでぇ話だ。彼氏さん屑すぎるな。





はい、結構な屑なのですぅ





あ、屑なのは認めてるんだ





そんな奴によく付き合ってられるな。俺なら見捨てるけどな。





もう慣れましたから!





なんか話を聞いてたら不憫に感じてきたぞ。





なぁ





はい?





あまり男女間の話は他人の俺が口出すことじゃないが、お友達はちゃんと選ばないと駄目だと思うぞ。


すると彼女は悲しそうな眼をしだした。



……でも昔は





?





昔の勇者さまはとっても優しかったのですぅ、今はアレだけど……だからメルルが頑張って勇者さまを支えてあげれば、きっとまた前のような優しい勇者さまに戻ってくれるはずです!


遠い昔のことのように語る彼女はどこか儚げだった。
その姿に俺は・・・・



あーなるほど、ダメな男を好きになるタイプか


と感じていた。



まぁ、そういうんなら俺はあまり言えないけど、その……頑張れよ。





は、はい!頑張ります!


俺らは世間話を続ける。



ところで貴方のお名前は……





ああ、そういえば自己紹介がまだだったな。俺は剣崎剣斗





ケ……ケンジャキュ? ケンジュク?





剣崎、剣崎剣斗





ケンケンさまですね!





なんでそうなるの!?剣崎だよ!剣崎!





ケン雑魚ケントゥース!さまですね!





さっきまで流暢に喋れたのになんでそこは喋れないの!?しっかも雑魚とかトゥース!とか!絶対わざとやってるよねぇ!?





ケンケンさまってお呼びしますね♪





絶対わざとだ……





私はメルルと申します♪


コスプレした少女はメルルと名乗った。
それに親近感を覚えた。



目僂流(メルル)か、君の両親も酷い名前をつけたものだな。





?


なんのことかわからず首をかしげるメルル
すると、こちらに誰かが近づいてきた。



あっ、いた!おいメルル!お前なに勝手にこんなとこに……お前は!?





あっ





あっ、勇者さま!?


クズ男登場
成人して厨二病を発症させているイタイヒモニートが現れた。



貴様……昼間のことといい、挙げ句の果てには人の従者に色目まで使ってぇ~





ち、違うのです勇者さま!この人は……





お前は黙っていろ!





・・・・・・はい


成人して厨二病を発症させているイタイヒモニート(35)童貞に怒鳴られて黙ってしまうメルル。



はぁ、やれやれ。なんかめんどくさいことになってきた


とりあえずこの成人して厨二病を発症させているイタイヒモニート(35)童貞WWWWWWをなだめることにする。



よぉ、また会ったな成人して厨二・・・・・・勇者のレイヤーさん





貴様の面なんか二度と見たくなかったのになんでお前がメルルといる!





いや、たまたま





嘘をつくな!大方勇者の剣を渡したどさくさに紛れて連絡先を交換していたんだろうこのナンパ師め!





うわ~相変わらずこいつめんどくせぇ……





そ、そんなことしてません勇者さま!ケンケンさまは……





ケンケンだと?それがこいつの名か!





えっ……はい





貴様!





名前に剣が二個もあるからって二刀流のつもりか!





なんだよそれ!二刀流じゃねーよ!!!





ちょっと名前がかっこいいからって調子乗りやがって!





くそ、親父のつけた名前せいで、話が更におかしな方向に加速していく……





それになんだ、俺の名前にどんどん変な称号が加算されている気がする・・・





つまり名前を教えあうほどの仲なのか!そうなのか!そうなんだろう!答えろ!メルル!





あ、あの~その……


メルルは怒り狂う勇者の勢いに呑まれオロオロしていた。



はぁ……仕方ねぇな


俺は溜め息をついてメルルの横に立ち、勇者のレイヤーに聞こえないよう小声でメルルに言った。



目僂僂(メルル)ここは俺に任せろ





え……あ、はい





言え!二刀流のケンケンとやら!メルルとなんで会っていた!





そりゃあ口説いてたんだよ





なっ!?





ふぇ!?


咄嗟のことで固まる二人のレイヤー



そ、そうなのかメルル!





ひゃい!?ち、違います勇者さま!ケンケンさまはひもじいメルルを助け……


余計なことを言われる前に俺はメルルの口を手で塞いた。



ンーーー!?





どっかの誰かさんはお友達をほっておいてエッチなお店いってたそうでさ。一人で可哀想だから俺が声かけたんだよ





えええ、エッチな店など俺は行ってない!1時間フリータイム6000円の店など知らないからな!


あからさまに動揺している。



おやー?俺は誰かさんと言っただけで君のことを言ったわけじゃないんだけどーひょっとして行ってたのかなー?





ぐっ!謀ったな!!!





こんな可愛い女の子残して自分はエッチなことしてもらって気持ちよくなっちゃってたんだー?1時間フリータイム6000円で





えええ、エッチな店なんかじゃない!勘違いするな!





じゃあ、どういう店行ってたんだよ





ぼ、防御力を上げるためムチに打たれて、しゅ……修行をしていた、そうあれは修行なんだ!!!





SM倶楽部かよ!?





ばかもん!勘違いするな!断じてマニアックなプレイができる店ではない!!!オプションで火の耐性をあげるため蝋燭の火を使った訓練だってしたんだぞ!





自分の性癖さらしてんじゃねぇよ!





こいつ普段はSっぽくしてるが、隠れドMかよ





ふ、ふーん。それでこの子をほっぽりだしにしてたわけか~この子からお金巻き上げて





ぐっ・・・・





お金がなくてひもじそうにしてたから、ちょっとご飯あげるって騙したら、ノコノコこのホテルに連いてきたんだもん。君の彼女チョロすぎるよねー!





ぐっ!





なんも言えず反論してこなくなったな。そろそろ畳み込むか。





まぁ、誰かさんがちゃんと面倒見ないから悪いんだけどねー!まぁ、なんか邪魔が入っちゃったし、今日はやめとくかな


俺はメルルを勇者のレイヤーの方に向かって背を押した。



ふぇ!?


メルルは勇者のほうにまでよろけながら辿り着く。



じゃーねー目僂僂(メルル)ちゃん!
ご飯あげるから今度こそ朝まで俺と遊ぼうねー!





ふぇ!?ふぇ!?


メルルは理解できずオロオロしていた。



虫酸が走る!こいつと話すと不愉快だ!いくぞメルル!さっさと宿に戻るぞ!





あ、は、はい!


勇者のレイヤーはプンスカしながら去っていった。
メルルはなんで俺が嘘をついたのか気づいたようで、去り際にペコリと頭を下げていた。



俺が悪役になれば、あのヒモ勇者レイヤー男も目僂流(メルル)に八つ当たりしないだろう。


なんとか誤魔化して事を治めたら、急に疲れがこみ上げてきた。



はぁ……疲れた。部屋かえってさっさと寝よ


ほんとこっちに来てから散々だ。俺は部屋に戻った。
ケンケンと別れてから、二人のレイヤーは沈黙しながら歩いていた。



あの~勇者さま?





……





ゆ、勇者さま~





なんだ





あの~勝手に行ってしまってごめんなさいですぅ





フン!全くだ!これだからお前は毎度毎度愚図なんだ!





ふにゅう……





おい、メルル!





ひゃ、ひゃい!





宿に戻ったら好きなもの食わせてやる。





え?





か、勘違いするなよ!普段から飯食わせとかないとまた変な男に捕まるからな!





はい♪


メルルは喜びながらドМの横に並んだ。



さて?果たして無事に宿屋まで帰れるんですかね?


背後からいきなり誰かに話かけられた。
勇者とメルルは声がした後ろを振り向くと、そこには銃を持った兵隊達がいた。



こ、この人たちは!?





貴様らは異世界人の兵士!?





ノンノンノン!それは違いますよ


眼鏡をかけた陽気そうな男が兵士達の前に出てきた。



この世界の部外者は貴方達です。この世界はもう我等地球人の領土なのですから





メルル俺の後ろに下がってろ





え?は、はい!


メルルはドМの後ろに隠れる。



侵略者がぬけぬけと!貴様らが俺らの世界に勝手にきて滅茶苦茶にしたんじゃないか!





まぁまぁ双方言い分はあるみたいですが、この話は平行線になるんでやめときましょう。外交は僕の専門じゃないんですよ。





何故俺らの場所がわかった!





そりゃあもう大分まえから尾行してましたから


つけてただと、メルルな奴が愚図いからつけられてたんだと勝手に思うドМ



なっ!?くっ、メルル!





えーメルルですか!?





彼女のせいじゃありません。
軍にはドローンという最新鋭のUAVが……って言ったところでファンタジーに生きる君達の脳みそには難しい話でしたか





とりあえず、渡してくれませんか?鍵を





鍵……だと?





ええ、本当はテロリストの居場所を掴んでから皆殺しにする予定だったんですけど、まさかアレを手に入れてしまうとはね。





アレだと?なんのことだ!





惚けなくてもいいんですよ♪情報は既に耳に挟んでますから。





しっかし、散々色んな機械使っても駄目だったアレをどうやった引き抜いたのか理解できませんが、とりあえずそれが日本に渡ると色々不味いんですよね。





だからここの日本政府が気づく前に回収しないとってことで、ちょっと早めに貴方達の前に姿を現したんですから





さっきから何を言っている!鍵やらアレやら訳がわからん!





まっ、そうでしょうね。だから知る必要はありません。貴方達を殺した後でゆっくり鍵を回収しますから♪


兵士達は持っていたアサルトライフルを構える。



メルルお前は逃げろ!


勇者はメルルを突き飛ばして兵士達に向かっていった。



ゆ、勇者さま!!!





うおおおおおおおおおお!!!





殺れ


異世界の夜空に銃声が響いた。
