竜王様は相変わらず竜戦士のことを溺愛しているようだ。



で、みんな勇者クンにメロメロなんですよ~☆





はい! あたし、ご主人様にメロメロです~!





お前はどうなんだ?





は? 何がだよ?





勇者が好きなのか?





愛しているのか???





言い寄られれば、言うがままなのか!?





いやいや、あたいは違うから!





なら、いい……





頭を撫でられて、とっても照れてましたけどね~♪





皆の者、武器を持てぃぃぃ!!!





仇敵は勇者なりぃぃぃ!!!





お、王様の目……怖いよ~





あらあら、あなたったら落ち着いてくださいな





う、うむ……


竜王様は相変わらず竜戦士のことを溺愛しているようだ。



ところで、先生は帰って来られませんでしたか?





先生?





ええ……魔法士さんの先生のことよ





残念ながら、彼女はあの日から帰って来てないわ……





そうですか……


-10年前-



ちょっと出掛けてくるわね~☆





いつ頃、お戻りですか~?





う~ん……





分かんな~い! てへっ☆





だからね、先生の部屋と書物はキミにあげる☆ 好きにしていいよ~♪





え? それはどういう……!?





じゃあね☆ 皆に言っといてねぇ~♪


-回想終わり-



あやつはワシらとパーティーを組んだ時から、よく分からん奴だったからな……





パーティー? 王様も魔王を倒しに行ったんですか?





そうよ! 何を隠そう、初代・魔王を倒したのは私達なんだから!





そう、赤竜王様と王妃様……





おらおら~! 雑魚はどいてろ!!!





はい、モンスターさんはさよなら~♪





ちょっと手間取っちゃった☆





いや……気にしなくて……いい……





それから、ボクの先生と、聖騎士ちゃんのお師匠様の4人☆





ほえ~、すごいですね~





でも、せっかく倒したのにね、2代目・魔王が現れちゃったのよ





うむ、ワシもこの国を守らねばならぬため、昔のように旅立つわけにもいかんしの……





……





ええい! お主らほどの力の持ち主なら、魔王を倒すことなど容易いであろう!?





いやいや、倒せないからこそ「ドラゴニック・オーブ」をあたいにくれんだろ?





う、うむ……そうだったな……





魔王はあたい達が必ず倒してやるから安心しろって!





それに魔法士よ~、あの先生のことだ、どっかで気楽にやってるさ!





……


竜戦士はボクが先生の身の上を心配していると思っている。
確かにボクは「心配している」。
その点においては、あながち間違っているわけではない。
しかし、心配しているのは、もっと別のことだ。
……信じたくないが、以前から予感はあった。
それがあの刺客たちによって、予感が確信に変わりつつある。
特に、あのクマのぬいぐるみが完全にボクの魔法を封じたこと。
ボクの魔法力を抑えつけられるだけの魔法力の持ち主、それは先生しかいない……。
そして、2代目・魔王が現れた時期は、先生がいなくなった時期と同じ。
あまりにタイミングが良すぎる。
どうか、杞憂であって欲しいのだが……。



おい! 魔法士! 聞いてるのか!?





な、なに!





ほら、呑めって! 明日、儀式が失敗したら、今生の別れになるんだからよ!





失敗など、あってなるものか!!!!!





「紅(くれない)」にはしっかと言い聞かせておくから、心配するでない!





くれない?





ドラゴニック・オーブにも人格があるらしいの





その人格が「紅(くれない)」なのよ





へー、そうなんだ?





さてさて、明日のためにも、もうお酒は控えたらどうかな~?





さすがに失敗はできないでしょ☆





バーロー! 明日のために呑んでるんだよ!





そうだ、親父! 勝負しようぜ勝負!





がははは! 娘にそう言われたら受けて立つしかないなぁ!





うふふふ! 私も参戦して良いかしら?





じゃ、あたしも!





オレンジジュース、おかわりです!





酒じゃねーしな!





……


ボクは一人、テラスに移動し、空を見上げる。
限りなく確信に近い憶測だけど……。
もうしばらくは胸に仕舞っておこうか……。
-次回を待てっ!-
