こちらは竜戦士さん・魔法士さん・あたし(チャッピー)のパーティーです。あたしたちは大きなお城の前にいました。
こちらは竜戦士さん・魔法士さん・あたし(チャッピー)のパーティーです。あたしたちは大きなお城の前にいました。



帰ったぞ~





許可のない余所者は……って、姫!? お、お帰りなさいませ!!!





はわわわ……竜戦士さんってば、こんなでっかいお城のお姫様だったんだ……





……(こくこくっ)


魔法士さんは竜戦士さんがお姫様だということを知っていたようです。
あたしはただただ驚くだけでした。



親父はいるか?





も、もちろんおられます!!! ささ、どうぞ中へ!!!


重々しい扉が開き、お城の中に通されました。



ファッファッファッ! よく帰った! 我が愛しの娘よ!





おかえりなさい! 元気そうで良かったわ~!





なんだか怖そうなおじさんと、綺麗なお姉さんだな~





2人はああ見えても、竜戦士の父君と母君だよ☆





そ、そうなんだ……





さて、早速だが……





ええ……





な、何なんだよ!?





お風呂にする? ご飯にする? それとも……





わ~し?





……





つーか、親父をどうしろって言うんだよ!





「魔王を倒す!」と、意気込んで出て行ったお前のことだ





もっと強くなりたい……って言うんでしょう?





お、おう……





その通り! 何か良い方法はないか!?





うむ、ワシの竜紅玉(ドラゴニック・オーブ)をお前に託そう!





ドラゴニック・オーブ?





そう! お前自身がレッドドラゴンとなるのだ!


王様の説明によると――
この世界にいる7体のドラゴンはそれぞれ、ドラゴニック・オーブと呼ばれるエネルギー体を身に宿しているということです。
今、竜戦士さんはドラゴンである王様と契約をすることで、ドラゴンの力の一部を使うことが出来ています。
ドラゴンそのものであるエネルギー体を直接、身体に取り込むわけですから、今より数倍……いや、数10倍も強くなることが出来るということです。
……でも、適合出来なければ、エネルギー体の力に飲まれて、最悪の場合、死んじゃうこともあるんだって。



お前にはその覚悟があるか?





おうよ!





よしんば死を免れたとしても、理性を失った暴走ドラゴンとなる場合もある





そうなった場合、ワシはこの国のためにも、お前を屠らねばならぬ





その覚悟はあるか!!!





おう! その時はその時だ!


竜戦士さんの意志は固いようです。
王様は向き直ると、叫ぶように言いました。



お二方も、その時は力を貸してくださるか!!!!!





……ボクなんかの力で良ければ





……そうならないように祈るしかないよ





……





……


王様とお妃様の苦しそうな、それでいて、どこか諦めたような顔。
きっと、竜戦士さんの性格をよく知っているから、それ以上、何も言わないんだと思った。
あたしはまだ子どもを産んだことはない。
けれど、もし、自分の子どもの命を、自らの手で奪わなければならなくなったとしたら。
きっと、きっと、とても辛いと思う……。



うむ、では明日、「オーブ譲渡の儀」を執り行うこととする


しばらくの間、静寂が辺りを包みました。
それを打ち破るように、王様は言います。



せっかくだ、今宵はこれまでの旅の話をゆっくり聞かせてくれ





そうね、私も聞きたいわ~





べ、別に大した話なんてねーよ!





ふっふっふ~♪ 復讐の時は来た~!





このお城を一緒に飛び出した5年間のこと、洗いざらいお話しますね☆





それは楽しみだ! わっはっはっ!





魔法士! てめぇ!





ボクと勇者クンを引き離した罰だよ~☆





さあさあ、食事の準備は出来ていますから、こちらにいらしてくださいな~





わーい! おなか空いたよ~!


明日がどうなるか考えることが怖くて、あたしは精一杯、おどけてみた。
……どうか、竜戦士さんが無事でありますように。
-次回を待てっ!-
