ついに勇者と魔王の最後の戦いが始まり、二人は剣を交わしていた。
ついに勇者と魔王の最後の戦いが始まり、二人は剣を交わしていた。



はああ!





うんうん、その調子だよ。


魔王は余裕そうに勇者の攻撃をいなしていく。



元科学者とは思えない動きだな。





嬉しいこと言ってくれるね。まあ、強くなきゃ魔王なんか勤まらないからね。





じゃあちょっと攻撃させてもらうよ!





うりゃあ!





お返しだ!


魔王の連撃もすべてはじき返し、勇者は反撃する。



おお、弾くねえ。





女勇者に散々切られそうになったからな。そのくらいの連撃なら何でもない。





特訓の成果が出てるのか。いいねいいね。





じゃあ、そろそろ行きましょうか。





さあ、まだまだここからだよ。





肉体強化か。





ボクが作った魔力を使わない理由がないからね。





やられるか!


肉体強化により、速度の増した魔王の攻撃も受け止める勇者。



すごいね。結構本気でいったつもりだったんだけどね。





さっき姫にやられたからな。もう反応できる。





もうその話はやめてください!


彼女は相変わらず安全地帯からヤジを飛ばしている。



でも勇者、反応はできても反撃できなきゃ勝てないよ?





くそっ!


なおも続く魔王の猛攻に勇者は剣を受けるので限界だった。



勇者様!





姫!うるさい!反撃の隙を探してるんだ!





その言い方はひどくありませんか!





ダメだよ、仲間の存在は大切なんだから。





仲間を殺したやつに言われる筋合いはない!





それもそうだね。


余裕そうに会話をしながらも魔王の猛攻は止まない。



ぐっ。


魔王の攻撃が勇者の体を掠った。



疲れてきたのかな、受けきれなくなってるよ。





まだまだ!





このままじゃ勇者様が…。





何か私にもできることは。





小石…。





これを魔王にぶつければ意識が引けるかもしれませんね。


浅はかな策を立て、小石を手に魔王を狙う姫。



とりゃー!


姫の投げた小石は魔王と勇者がいる位置より手前に転がった。



全然届きません。





まだまだ!





えいやー!





ん?石が飛んで…。


予想外に姫の策がはまり、視界の端に転がった石に気を取られた魔王に隙が生まれた。



隙あり!





しまった!


その隙を見逃さず、勇者は魔王にありったけの攻撃を加える。



はあ…はあ…どうだ魔王。





ぐっ………ふっ。





ふふ。





あははははははは!いいねえ!こうだよこうこなきゃ!





くそ、まだそんな余裕があるのか。





しかし、意外にダメージを負ってしまったみたいだ。





じゃあ回復でもしようかな。





回復!?





そう、回復。魔力は使い方次第ではそんなこともできるんだよ。





させるか!





そうそう、止めに来ないとね。君たちに勝ち目がなくなっちゃうからね。





えいやー!





おっ?


相も変わらず物を投げ続けていた姫の投擲物が、ついに魔王に当たろうとしていた。



さっきは気を取られたけど今度はそういかないよ。





はあ!


魔王は叩き落とそうと勢いよく振り下ろした剣を。
しかし、投擲物は石ではなく青色の薬が入ったビンだった。



うわっ。


ビンは割れ、中の液体が魔王に降りかかる。



くっ、魔力がうまくコントロールできなくなってる。





あれはたしか魔力を無効化する。





勇者様!今がチャンスです!





おお!


姫の掛け声に答え、勇者は魔王に向かって一直線に駆け出した。



来い!魔力が使えなくとも受けきってみせる!





流線衝覇剣!





はあ!





激烈滅砕剣!!





うおっ!


一撃目を受け止めた魔王に向かい、間髪入れずに放った二撃目を受けた魔王に隙が生まれた。



神聖才牙剣!!!





ぐあああああ。


続く三撃目は魔王の体をとらえ、魔王を切り裂いた。



はあ…はあ…。これで。





ふふふふ。勇者いい勝負だったよ。





まだやるのか。





さすがに無理だ。出血が多すぎるし、魔力ももうコントロールできなくなってるしね。





…随分と潔いんだな。





楽しかったからねえ。まさか最後の最後まで姫様にやられるとは思わなかったけど。





勇者と魔王。勝つのはそりゃ勇者だよね。
うっ…。





ぐふっ…。もう…限界、かな…。





勇者、姫様、楽し、かったよ…。





……。





勇者様、魔王は。





倒した。これで魔物もしばらくすれば自然に消えるはずだ。





じゃあこれで平和になったんですね。





ああ!さあ姫、みんなのところに戻ろう。





はい!





勇者!魔王は!





さっき倒した。





そんな…私の英雄伝説が…。





主様。平和になったことを喜びましょう。





やったな勇者!





……これで平和な世界になったのか。





お城に戻ればお金がもらえるね。





魔法使い様だけなんか違う気がするんですが。





ところでお前たちは平気なのか。あっちで倒れてるやつもいるけど。





あの魔法使いは薬の副作用で寝てる。もうしばらくは起きないかな。





片眼鏡は町に連れて帰るんだ。





騎士様はどうして寝てるんですか。





……薬の副作用で体が動かない。





みんな無事なんだな。よかった。





では、帰りましょう。私たちの町に。





姫、騎士を運ぶの手伝ってくれ。





なんで私もやらなきゃいけないんですか…。


姫のラッキーパンチが奇跡的にあたり、無事に魔王を倒した勇者。平和を取り戻した勇者たち一行は旅立った町へ帰っていくのだった。
