決闘を終えた勇者たち一行は、手分けして町で情報収集をしていた。
決闘を終えた勇者たち一行は、手分けして町で情報収集をしていた。



次はどこを目指すんだ。





今回も魔物が現れる場所に向かおうと思ってるんだが。





そろそろ魔王に関しての決定的な情報がほしいな。





山で会ったあの女の魔物くらいしかオレ達には手がかりがない。





あの変な女か。





次に会ったら絶対倒す!





まあ、そのためにも情報を集めなきゃいけないからな。





ひとまず聞き込みをしてみよう。





腹が減ってきた。





情報も出てこないな。





ひとまず宿に戻るか。





ああ!メシだ!





手持ちが少ないんだから食べすぎるなよ。





あ。





あ。


一方、騎士は受け取り忘れていた給与を受け取りに来ていた。



……。





ん?なんだ貴様か。





……。





何の用だ。





……給与をまだ受け取っていないので受け取りに来た。





そんな用か。入れ。





……。





そこに階級と申請する期間を書け。


女勇者たち一行の騎士一枚の紙を渡した。



……。





………。





……ほかの人は。


紙に目を落としながら騎士は尋ねた。



主様は買い物だそうだ。魔法使いと眼鏡の小僧は知らん。





……そう。





……書けた。





ここで少し待ってろ。





ほら、これが給与分だ。





……。





……。


女勇者たち一行の騎士は給与を渡してからも何か言いたそうにしていた。



……まだ何か。





…まだ旅は続けるつもりか。





……魔王を倒すまでは終わらない。





前にも言ったが、お前らの実力ではこの先戦えない。





仲間が死ぬぞ。





……誰も殺させない、私が守る。





ならば死ぬのはお前だ。





……私一人の命でみんな助かるならそれでいい。





それがあの勇者が言っていた平和なのか。





……!。





少ない犠牲の上にある平和。それも一つの答えだろう。





だがそれを目指すのか。そうした平和を願うのか、お前たちは。





……。





故郷に帰るか、死なないよう努力はするんだな。


魔法使いは宿で薬の調合を行っていた。



姐さん、なんか手伝わしてくださいよ。





今はなんもないから黙ってて。





わかりましたー。


女勇者たち一行の魔法使いもまるで舎弟のようにそばに付き従っていた。



…………。





……。





…………。





ねえ、なんでこっちずっと見てるの?





姐さんの頑張っている姿を見守ってるんです。





鬱陶しい…。





こ、これも!愛がなせる技ですよ!





赤くなるほど恥ずかしいなら言わなきゃいいのに。





ん?そうだ。


なにかを思いついたような魔法使いは笑顔で尋ねた。



君、魔力持ってるんだよね。





はい!





じゃあちょっといろいろ聞かせて。





もちろんです!


人と接するのが苦手な姫は健気に聞き込みをしていた。



別に苦手じゃありません!


私はなにも知らない。



なに?突然大きな声なんか出して。





ああ、いえ。気にしないでください。





それで魔物が出るというのは。





そうそう。この町を出た先に洞窟があるのよ。





そこには大きな魔物がいるんだそうよ。





大きな、ですか。





少し前までは騎士たちが討伐に行っていたんだけど、結局倒せずじまいのようで今もそのままらしいわ。





どんな魔物かはわからないんですか?





大きいって言うのはよく聞くけど他には知らないわね。





ありがとうございます。





いいわよ、このくらい。





それでは。





大きな魔物ですか。





勇者様に伝えましょう。





姫様。





あなたは確か女性の勇者様の。





こんなところでどうしましたか。





聞き込みです。





私だって勇者様の役に立ちたいんです。





素晴らしいですね。





それでは私は宿に戻りますので。





ああ、少し待ってください。





はい、なんですか?





すぐ終わりますので。





うぐっ。





ね?すぐに終わったでしょう。





まったく、こんな連れてってどうすんのさ。





これも魔王様のためですよ。人が来ないうちに行きましょう。





はいよ。


勇者たちの知らないところで迷惑にもさらわれてしまった姫。はたして、彼女はどこまで迷惑をかければ気が済むのか。



そこまで言わなくてもいいじゃないですか。


勇者たち一行の旅は続くのであった。
