女勇者たち一行の騎士に惨敗した勇者たち一行は、最後の決闘を目前にしていた。
女勇者たち一行の騎士に惨敗した勇者たち一行は、最後の決闘を目前にしていた。



さあ勇者様!やってしまってください!





なんでそんなにテンション高いの?





………。


ついに頭がおかしくなってしまった姫に煽られるも、勇者の表情は曇ったままだった。



おかしくなんてなってません!


私はなにも知らない。



勇者様!私たちは偽物だと言われてるんですよ!勇者としてここは本物だということを証明すべきです!





いや、だからって戦う理由にはならないだろ。ん?





ああ、そうか。戦わなくていいんだ。





どういうことですか?





勇者としての資質を見たいのなら、平和とかに対する話し合いも重要だ。





剣を交わさなくても認めてくれるかもしれない。





なるほど、そういうことですか。





よし、とりあえず行ってくる。





頑張ってきてください。





さあ、始めましょう。





ちょっと待ってくれ。





なんですか?





オレは剣で勝負をしに来たんじゃない。話し合いに来たんだ。





話し合い?





ああ。勇者としての資質を見たいんだろ?なら、オレの志を聞いてくれ。





志…ですか?





オレは魔王討伐を目指している。もちろん平和のためだ。





ちょ、ちょっと待ってくれませんか。


そういうと女勇者は騎士の男性のもとに走って行った。



なんだ?


勇者を待たせ、慌てたような女勇者と騎士の男性が話し合いをしていた。



なんですか勇者としての志って!





できることなら主様の答えを私も聞きたいと思ってるんですが。





無理に決まってるじゃないですか!





やっぱりここは剣を持って相手を…。





剣を使わずにと言った相手に切りかかるのですか?





それは…。





これは主様の戦いです。私が間に入ることはできません。





そんなー。





向こうの勇者が待っていますよ。





うー。





どうしたんですか?


女勇者が離れて行ってしまったのを見て、役立たずが勇者のもとへやってきた。



なんですか役立たずって!ちゃんと姫って呼んでください!


私はなにも知らない。



なんか向こうで騎士と話してるみたいだな。





なんかあったんでしょうか。





お、戻ってきた。





お待たせしました。





なにかあったのか?





いえ、なんでもないです。





それで勇者の志でしたっけ。





ああ。同じ魔王討伐の目的を持ったものだが経緯は違うだろうからな。ぜひ聞いてみたい。





………。





どうした?





いえ…では、お聞かせしましょう!





ああ。





私は先祖様にあこがれて勇者を目指しました。





先祖様のように悪を払い、皆に尊敬される存在に。





そして何より自らの手でかっこよく悪を倒すというヒーローのような強さに!





私は悪と戦い、かっこよく倒すために勇者として旅をしています。





………ん?





いえ、ですから。





先祖様のように後世に語り継がれていくようにかっこよく悪を倒したいんです!





世界の平和とかは?





そんなの悪を倒せばやってくるじゃないですか。





え?





ん?





主様。


勇者が女勇者の言葉に呆気に取られていると騎士が声をかけた。



騎士さん!きちんと私の志を伝えました。





……そうですか。





すまん、騎士さん。
この人なに言ってるんだ。





ですから私は悪を倒したいんです。
かっこよく!





つまりはそういうことだ、偽物よ。





主様は先祖のように名を残したいと言っている。





違います!かっこよく倒したいんです!





同じことです。





先祖を尊敬してるっていうのはそれだけ?





もちろんです。





オレが偽物だっていうのはなぜ?





勇者が二人では格好がつかないじゃないですか!





決闘を始めた理由は?





今のうちに勇者を名乗る人を倒しておこうと思い。





……。





騎士さん。この人バカなの?





人をバカ呼ばわりとはそれでも勇者ですか!





申し訳ない。





なぜ謝るんですか!





……。


こうして、勇者たち一行と女勇者たち一行の戦いは幕を閉じたのであった。



そんな理由の戦いだったんですか!?


町に戻ってきた勇者たち一行は宿で事の顛末を話していた。



わたしたちはそんな奴らに負けたのか。





……。





そんなのに薬使いたくなかったよ。





なんというか。本当に無意味な戦いだったな。





まったく笑っちゃいますよねー。





ひとまず大きなけがもなくてよかったじゃないですか。





ところで何で君はいるの?


魔法使いは当然のように居座っている女勇者たち一行の魔法使いに疑問の言葉を投げた。



俺、あんなに強い人に初めて会ったんです。





はっきり言わせてもらうと姐さんに惚れたんです!





わあ!魔法使い様!求婚ですよ求婚!


鬱陶しい感じで絡んでくる姫をあしらいながらも魔法使いは顔色一つ変えずに答えた。



早くあの頭の悪い勇者の元に帰れば。





大丈夫です。ちゃんとここに来る許可はもらってますから。





俺、姐さんの役に立ちたいんです。





姐さんが望むなら何でもしますよ!





鬱陶しいやつだな。





んだとこら!





ケンカするなら外でね。





大丈夫です!





魔法使いの言うことは聞くんだな。





わかったから、なんか頼むときは呼ぶから今日は帰って。





わかりました!


女勇者たち一行の魔法使いは笑顔で宿を出て行った。



いいのか、あれ。





なにかしらで有効活用させてもらうよ。





なんでもするって言ってたしね。





……悪いことを考えている顔。





まあ、ともあれ。なんとか無事に乗り切れたことだ。





この町で情報を集めてから旅を再開するぞ。





はい!


こうして、無事に勝利(?)を収めた勇者たち一行は次なる目的地を見つけるべく町に滞在するのであった。
