オオナムチはスサノオを起こさないように静かに部屋を出ると、扉の前に500人係でないと持てないような大岩をそっと置いた。
そしてそのままスサノオの自室に直行し、『大刀』『弓矢』『琴』を持ち出した。
準備が整うと、スセリビメの部屋に向かう。



これでよし。
・ ・ ・ ではでは。お世話になりましたっと。


オオナムチはスサノオを起こさないように静かに部屋を出ると、扉の前に500人係でないと持てないような大岩をそっと置いた。
そしてそのままスサノオの自室に直行し、『大刀』『弓矢』『琴』を持ち出した。
準備が整うと、スセリビメの部屋に向かう。



ヒメ ・ ・ ・ ・ ・ ・ いる?


オオナムチの姿を見たスセリビメは不安そうな顔をした。だって、完全に旅支度じゃないか。
てゆうか盗人スタイル?



オオナムチ?
その荷物 ・ ・ ・ どうゆうこと??





この大刀と弓矢があれば、政治が行える。そしてこの琴があれば、天つ神から助言をもらえる。
僕はこの国を治めたい。あんな兄達に任せたくないんだ。





・ ・ ・ ・ ・ ・ 行っちゃうの?





あぁ、行くよ。
君を連れて出雲に帰る!!


彼女は目を見開いた。涙が今にも溢れそうだ。その表情からは嬉しいのか、悲しいのか、喜んでいるのか、驚いているのか、読み取ることができない。



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ でも ・ ・ ・





だって、スサノオ様は、分かり易すぎるくらい君の事が大好きじゃないか。絶対に君を手放さないよ。





・ ・ ・ ・ ・ ・





でも僕の方が君のことを愛してるっ!!
手放さないなら奪うまでだ。
ほら、君は早く走れないだろ?
僕がおぶって行く。スサノオ様が起きる前に早く乗って!!


オオナムチはスセリビメに背を向けてしゃがんだ。



頼む ・ ・ ・
一緒に来てくれ ・ ・ ・ ・ ・ ・


スセリビメに背を向けた数秒が緊張で何時間にも感る。
しかしすぐ背中に重みを感じることができた。



オオナムチ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ありがとう、嬉しいっ!!!


彼女は、オオナムチの背に体を預けた。
『思ったより重い ・ ・ ・』 とは本人に言えないものの、心が一気に軽くなった。



・ ・ ・ よしっ!
しっかり捕まってろよ!!


スセリビメをおぶったオオナムチは、一目散に黄泉比良坂へ向かった。
彼女はすぐについてくる事を決めてくれたが、走っていると、オオナムチは肩のあたりがじんわり暖かくなるのを感じた。



泣いてるのかな。


心がちくりとする。ふとスセリビメが家を振り返り身体を上げた。
その瞬間。『ボロロロン ・ ・ ・ 』と琴が大きく鳴り、地面が揺れた。木に弦が引っかかったのだ。
遠くから雄叫びが聞こえる。



ヤバイヤバイヤバイ!!
この人間とは思えない声・・・
絶対スサノオ様だ!めっちゃ怒ってる!!





オオナムチ!ごめんなさい!!
枝に気づかなくて ・ ・ ・





いい!
ちゃんと掴まってろよ!!


次は尋常じゃない叫び声が聞こえた。



えっっ?何??
パパどうかしたの???





スサノオ様の髪を、柱にキツーく縛っておいたんだ。だから、しばらく追って来れない。
急ごう!!


しかし、すぐに後ろから追ってくる音が聞こえてきた。



待てゴルアァァ!!!





うわっっ!!早っっ!!!!
超でっかい岩も置いて来たんですけどっ!!あれ、意味なかった???





えっっ ・ ・ ・
パパの頭 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・





あぁ。くすくすっ!かわいいだろ??
お礼の印にリボンつけてきたんだ。





いや ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
柱付いてる。





マジでっっ!?
どんな怪力だよ!!!


しかし黄泉比良坂は目の前だ。
オオナムチは全速力で坂を駆け上り、さらに遠くまで逃げた。
スサノオも黄泉比良坂を駆け上り、辺りを見渡す。すると、遠くにオオナムチたちが逃げていく姿が見えた。
これの距離では、追い付けない。スサノオは怒りの雄叫びを上げた。



ングアアアアァァァ!!!クッソオオオォォォ!!





ビクゥゥッ!!


かなり距離があるはずなのに、ものすんごい声だ。



オイッッ!!!オオナムチぃ!!!
あぁ!クソォ!!!
スンゲェ、ムカつくっ!超ムカつくっ!!クソッッ!もう追わねぇよっ!!追わねぇから、止まって聞けぇぇっっ!!!





へっ???いやいやいやいや。
追って来ないとか言われても、すんげぇ、迫力なんですけど。一刻も早く逃げたいんですけどっっ!!!!





るせぇ!!
黙って聞けっ!!





はいっっ!!!





・ ・ ・ ・ ・ ・ えっと ・ ・ ・ だな。
・ ・ ・ ぉ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ お前と、
スセリの結婚を認めてやるよ。





お??





おぉ~!!お義父さまぁっ!!
ありがとうございますっ!!!





っせぇ!!バカ!!
ただし、俺の娘をもらうからには出雲から八十神を追い払って、国づくりをするんだ。
その大刀と弓矢があればやれるだろ。結納代わりだ。持ってけ!!





はいっ!!





あと ・ ・ ・ ・ ・ オオナムチなんてナヨイ名前はもう名乗るな。お前に名をやる。
今日からお前は『大国主神』だ!!





オオクニヌシノカミ ・ ・ ・ ・ ・ ・
立派な名をありがとうございます。





新居は宇迦山がいいだろう。
スセリを頼んだからな。コノヤロー。





はい ・ ・ ・ お世話になりました!!


オオナムチ改めオオクニヌシは、スサノオに深く頭を下げ、出雲へと急いだ。
出雲へ帰ったオオクニヌシは早速、八十神を追い払った。彼らはビックリするほど弱かった。スサノオから与えられた試練によって、オオクニヌシは知らない間に強くなっていたのだ。
まぁ、最後にもらったアイテムの力もあるだろうけど。
そして、宇迦山の麓に大きな宮殿を建てて、スセリビメとの新婚生活をスタートさせた。
『こうして2人はいつまでもいつまでも幸せに暮らしました。めでたしめでたし。』
と、今度こそ締めくくりたいところだが、オオクニヌシの物語はまだ終わらない。
順風満帆の生活が続くかと思いきや、オオクニヌシは宮殿ができあがって早々に、因幡のヤカミヒメを迎えに行ったのだ。



ごめんくださぁーい!
出雲から来た、オオクニヌシですけどー。
ヤカミヒメさんいらっしゃいますかぁー??


そんな彼の呼び掛けで出できた女性は、目を見張る美しさだった。
さすが噂の美人。



オオクニヌシ様・・・オオナムチ様ですよね?まさか会いに来てくださったんですか!?





うん・・・まぁ、会いに来たってゆうか・・・・





あぁ、ありがとうございますっ!!
あなたが亡くなったと伺っていたのですが、最近、宇迦山に新居を建てられたって噂を聞いたものですから、毎日いてもたってもいられなくて・・・それがオオクニヌシ様の方から会いに来てくださるなんて・・・・・


やっぱり来て良かった。美人の笑顔はたまらない。



いやぁ・・・・・実は会いに来たってゆうか、迎えに来たんだ。僕ら結婚する約束だったろ?





えっ・・・でも、最近ご結婚されたばかりだと聞きました。
新婚で私なんかが伺ってもいいんですか?





もちろん!
嬉しいことにまだこの国は一夫多妻制だ。





でも・・・・





初対面とはいえ、君は僕の初恋の人だもの。





オオクニヌシさま・・・・





ほら、おいで。


こうして、彼女の手をグッと引くと、オオクニヌシは、またもや初対面の女性を玄関先で押し倒した。
『イジメられっ子の心優しい少年が、2度の死と辛い修行を乗り越え、敵を撃ち国を治める。』
なんて、王道少年漫画の主人公のような人生を歩んできたオオナムチことオオクニヌシだが ・ ・ ・ ・ ・ ・
この後『元祖チャラ男』として日本全国にその名を轟かせることになる。

いつ詠んでも、面白いです。
イケ様からチャラ男にパワーアップするところがツボです。
D2さま
おぉー!!こちらまでコメントありがとうございます(>_<)
オオクニヌシさまの話の中で、次のお話が一番好きです(笑)
キリギリスさま
コメントありがとうございます!
そう言っていただけると嬉しいです(*´▽`人)
これからも頑張りまぁーす♪♪
稗田阿礼ちゃんごぶさたしてます(^o^)/~~アメブロの悟浄庵です( *・ω・)最近スマホに変えてようやく阿礼ちゃんを見つけました(笑)(ストーカーか!)
あらためてこれからもよろしくですm(__)mたまにはアメブロにも来てね\(^o^)/
おぉー!!悟浄庵さん!お久しぶりですヽ(*´∀`)ノアメブロ放置でごめんなさい^^;
こちらでもメッセージいただけて嬉しいです♪♪
キャラ付きの古事記がアップし終わったら、また天武たちでhshsする予定なのでよろしくです(笑)