「鍛錬のあとは一日の労いのために飲まなきゃな!」と女戦士の鶴の一声で、酒場に来ている。
ちなみにチャッピーは応援に疲れたのか、酒場に着くなり、すぐに寝てしまった。



上出来上出来! 今日はよく頑張ったな!





ありがとうございます





どうぞ疲れを癒してくださいね





かんぱーい☆





ぐー……


「鍛錬のあとは一日の労いのために飲まなきゃな!」と女戦士の鶴の一声で、酒場に来ている。
ちなみにチャッピーは応援に疲れたのか、酒場に着くなり、すぐに寝てしまった。



勇者殿、一言いいでござるか?





なんでしょうか?





……お主、弱過ぎ





め、面目ないです





この世界に来たばっかりだし、仕方ないんじゃないかなぁ~☆





そうでござるがっ……! 拙者らには時間が……





確かに魔王軍の勢力が拡大している今、悠長にはしていられませんね……





どうもすいません





まあまあ、レイブルの時も最初は……





ととっ!





レイブル?


消費者金融名、または不動産仲介業者名を彷彿とさせられたが、違うのだろう。



……





……


女戦士も、騎士殿も、揃って口をつぐんでいる。
召喚士さんに至っては、



えへ☆


と、微笑みで返してくれるだけ。
怪訝に思っていると、魔法士様が口を開いた。



ボクたちが魔王に挑むのは、勇者様で3度目なんです





なんと!


魔法士様の通常モードの一人称が「ボク」だった!



一度目はここにいる竜戦士、聖騎士、召喚士、そしてボクの4人で魔王の城に乗り込みました。3年前のことです





その時は私、まだ魔術士でしたけどね


-3年前-



妾をこの玉座から引き下ろすことが出来れば、お主たちの勝利としてやる





今の言葉に二言はないな?





無論





後悔するなよ……!?





「壊滅の龍姫」と恐れられた、あたしの力を見せてやるぜ!!!





水の、火の、風の精霊よ。我に力を与えたまえ……





「金色の戦乙女」、推して参る!!!





こほん





「万物の支配者」、行っきまぁーす☆





……恥ずかしいですけど、二つ名を叫ばせていただきますね





「氷結の魔女」とは私のこと! 魔王さん、お覚悟を!





楽しいなぁ……せいぜい足掻け!





言われなくともそのつもりです





食らいなさい! 極大氷撃魔法「アイスジャベリン!」





極大雷撃魔法「サンダーフレア!」





最終奥義「ホーリーストライク!」





100%能力解放「飛龍変化!」





ほう……これはなかなか……


-回想終わり-



結果、ボクたちの力では全く歯が立たず、なんとか逃げ出すことに成功したんだけど……





いや、逃がして貰えた……という方が正しいかなぁ☆





なんともはや……


3年前の各々の実力は分からないが、今ほどではないにしろ、この4人であれば、相当な戦力ではあったと想像できる。
それが全く歯が立たなかった……!?



勇者でないと、魔王に致命的なダメージを与えることが出来ないのでござるよ





勇者が勇者と言われるゆえんだな





なるほど……


それなら合点がいく。
同時に、自らの責任の重さを痛感した。



ちなみに2度目も「レイブル」という名の勇者と共に挑んだんだけど、惨敗だったの☆





そのレイブルさんは?





魔王城からの脱出後、私達とは袂を分かちました。今はどこで何をしてるのやら……


なぜ、袂を分かつことになったのか、訊いてみたい衝動に駆られた。
しかし、こんな脆弱な今の私には、そんな資格はないだろう。



そういうわけで、お前には期待してるぜ!





は、ははは……


全く魔王に勝てる気がしないのは気のせいだろうか……。
期待されている分、プレッシャーが半端ではない。
私の心を見透かしたように魔法士様が言う。



大丈夫~!





明日はボクが編み出した新魔法を試そ♪





うまく行けば、超強くなれるよぉ☆





うまく行かない時は、どうなるでござるか?





それは「企業秘密」ということでぇ♪





大丈夫でしょうか……?





気にしてても仕方ねぇ! 呑め呑め~!


不安に押しつぶされないように、ジョッキを一気に煽る。
そして、長い長い夜は更けていくのだった――。



……すぴー


-次回を待てっ!-
