【今回のまとめ】
・登場人物の目的ははっきりしておこう。問題文中に書かれていることがすべてとは限らない



「本を探してほしい」。
謎の少女にそう依頼されたライナー君。
彼は少女のために、喜んでパシリをすることになった。





その本の名は「ラテシン国物語」。タイトルからしてファンタジー小説なのだが、その実態は現代の血みどろの三角関係を描いた現代小説なのだ。





少女といちゃこらしながらも、なんとか2階の現代小説コーナーで目的の小説を読んでいる人を発見。物語は終わりを迎える、かに見えたが……





しかし、この後あんなことが起ころうとは……
衝撃の結末が、今ここに!





これまでのあらすじを語るのに変な脚色を加えないでもらえるかな。
パシリじゃないし、いちゃこらしてないし。





まあ確かに、「ラテシン国物語」っていうタイトルの割に現代小説だというのは気になったが……





ある意味それも「思い込み」だからね。タイトルなんて、よほど変なものでなければ、著書が自由に付けるものだし。





ふぅん、しかし、こんなタイトルだと、ファンタジー小説だと思って借りてしまう人がいそうだな。





現代小説コーナーに置いているのに?





いやまあ、それはそうだけど……





まあ、この話の作者の些細なミスはおいといて……





一応ミスだったんだ。





とりあえず、本は見つかったし、これでこの問題は解決したのだろう?





そんなわけないじゃないか。





え?





ライナー君は、図書館に行ったら、本を見つけて満足する人なのかい?





いや、普通はその本を読んだり、借りたりするけれど……





だろう?





確かに問題文には「本を探してほしい」とは書いているよ。
でも、登場人物の目的としては、「本を見つけて、それを読む」ことだったり、「本を借りること」だったりするかもしれないじゃないか。





いや、だってシンディは「この問題は本を見つけることが目的」って言ってたじゃないか。





それは「亀夫君問題」がどういうものであるかを説明するために、問題文から説明しやすい言葉を選んだだけだ。





亀夫君問題は、あくまで「登場人物の目的を果たすこと」が目的なんだ。
カメコの依頼は「本を探してほしい」だけれど、目的は「本を借りたい」ことだと考えるのが普通じゃないのかい?





まあ、確かにそうだね。





これは出題者にも言えることだけれど、亀夫君問題は「登場人物の目的が何なのか」をしっかり押さえておかないと、とんでもない方向に行ってしまうよ。
目的を果たすための依頼なのだから、きちんと目的を果たすまで付き合う必要があるんだ。





……ということは、見つけた本を借りるところまで行かなければ、問題解決とはならないのか……





問題文にも、「本を借りに来た」って書いてあるしね。





そういえばそうだったな。
しかし、人が読んでいる本を勝手に持っていくのははばかられるな。
読んでいる人にわざわざ声をかけるのもあれだし……





現実では本を読んでいる知らない人には声をかけづらいだろうね。





しかし、亀夫君問題では周囲の人に聞くことは重要だよ。
別に何かペナルティがあるわけでもないし、とにかく聞いてみるのは一つの手だよ。





知らない人から話しかけられてあっさり答えてくれるなんて、モブは人がよい人ばかりなのかい?





あくまで問題の中なのだから、基本的に周囲の人にいろいろ聞くのは問題ないよ。
問題や出題者によっては、わざわざ「周囲の人は気さくなので話しかければいろいろ答えてくれます」と書いてくれているものもあるしね。





たしかに、現実とは違うのだし、話しかけて反応を見たり、お願いしたりするのはありなのか。





ちなみに、登場人物が複数人いて、こちらから直接その登場人物に聞く方式のものもあるけれど、周囲の人には登場人物に聞いてもらうのが一般的かな。
最初のほうで、ライナー君がカメコに司書から話を聞いてくれるように指示したみたいにね。





よし、せっかく見つかった本だし、思い切って聞いてみよう。





カメコさん、「ラテシン国物語」を読んでいる人に、その本を譲ってくれるように交渉してくれませんか?





譲ってくれるようお願いしてみたわ。
でもこの本、今日借りるから駄目だって。





え……





残念だったね、せっかく解決したと思ったのに。





いや、だって、貸し出し可能なのはこの1冊だけだろう?
これを借りられたら、手の打ちようがないじゃないか。





そうやってすぐに諦めるのが、ライナー君の悪い癖だよ。





だから君は私の何を知っているというんだよ!





いや、だって「ウミガメのスープ」の時もすぐ諦めようとしていたし。





あの時とは状況が違うと思うのだが……





まあ確かに、貸し出し可能な本はこれ1冊なのだから、これを借りられてしまっては困るわけだが……





さて、この状況をどう打開する?





うむむ……ここはどうしてもこの本を譲ってもらわなければ……





カメコさん、なんとかその人に、「ラテシン国物語」を譲ってもらえるよう、必死にお願いしてくれませんか?





……ダメね。その人はもう本を借りて出て行っちゃったわ。





えっ、それじゃあこの問題、解決できないじゃないか!





あーあ、最後の一冊、借りられちゃったね。





うぬぬ……このままでは終われないな。
もう一度、貸し出し状況を確認してみよう。





カメコさん、1階に降りて、司書の人にもう一度「ラテシン国物語」の貸し出し状況を調べてもらってください。





2冊とも貸出中になっているわ。





あちゃぁ……やっぱりダメかぁ。





おや、もう降参かい?





いや、だって本がなければ借りようがないじゃないか。





やれやれ、この程度で諦めていては、すぐに人に騙されるような人生を送る羽目になってしまうよ?





なんで君が私の人生まで考えるのさ。





いや、別に私はライナー君の悲惨な人生なんて興味はないのだけれど。





別に悲惨な人生を歩んできたわけではないし、これからそうであってほしくはないが……





ライナー君の人生はともかく、この状況でも、ちゃんと打開策は準備してあるよ。





あ、やっぱりまだ何かあるんだ。





そりゃまあ、そうじゃないと問題にならないし、それが何であるのかを考える問題だからね。





うむ……魔法でも使えればな……





NO. この問題に非現実要素はないよ。





君が答えるか。





どっちが答えても同じだろう。





ライナー君も困っているようだし、次回はちょっとヒントでもあげようかな。
それまでにライナー君は、ほかにできることはないか、考えておくことだね。


【今回のまとめ】
・登場人物の目的ははっきりしておこう。問題文中に書かれていることがすべてとは限らない
