秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ
わが衣手は 露にぬれつつ



さて、そろそろ本題に入るか





そうですね





え~っと、どこまで





いや、全然まったく何も





あ~、じゃあ『はじめから』ね


秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ
わが衣手は 露にぬれつつ



これな





それな





じゃあトオル君、これの作者は?





え~っと





ボケるか?





天智天皇でしょ?





よくできました!





てか前もやったし





まあ、みんなもう知ってると思うが





?





天智天皇は中大兄皇子のことだ


てんじてんのう は なかのおおえのおうじ
のことだ



え、マジでぇ?


中大兄皇子とは…
「大兄」とは、同母兄弟の中の長男に与えられた皇位継承資格を示す称号で、「中大兄」は「二番目の大兄」を意味する語。(Wikipediaより)
本名は 葛城(かづらき/かつらぎ)というらしい。
こっちの方が親近感が湧きますね。
言うまでもないが、彼は「大化の改新」で有名。



え。そんなに驚く?





…





あとこれも大したことじゃないが





まだなにか?





この歌は天智天皇の作じゃないと
言われている





ええっっどゆこと!?


トオルが思わず食い気味で驚くと先生はニヤリと笑っていった。



良いリアクション♪





不覚・・・





まあ、今も昔も権力者は
利己的だ、ということで





り…何?





ん~、気にすんな





えーなんだよそれ


りこ‐てき【利己的】
[形動]自分の利益だけを追求しようとするさま。「―な生き方」「―な態度」 (goo辞書より)



じゃあいよいよ
内容に入っていくぞー





てか先生





ん? なんだ?





それ、いつまで付けてんの?





ん? なに?





だから! メガネ!!





あ、これ?





うん





いいだろ。先生っぽくて





俺は嫌なの!





え。 なんでぇ?





だって


放課後の教室には二人のほかに誰もいない。鳥のさえずりが、かすかに聞こえる。
だが、自分の鼓動がうるさくてトオルには何も聞こえない。言ってしまおか、それともやめよか。
2秒逡巡したのち純粋な高校生は潤沢な瞳に其を映す。



顔、見えないだろ


(くそ。能天気なメガネ野郎め。)



…


おまけ



つか全然本題に入らんな





う~ん、概ね先生の
段取りが悪いんじゃね?





え? 俺のせいなの?





え? 他に誰がいんの?





……


