フェリックスは、目の前に座るアレクに向けて、手紙を差し出した。
フェリックスは、目の前に座るアレクに向けて、手紙を差し出した。



アレクさん、この手紙に見覚えはありますか?


アレクは眉をひそめながら、その手紙をちらっと見ただけで、冷たく言い放った



さぁ、見たこともないですね。





ではこの金のキーホルダーはどうでしょうか?


フェリックスはスマートフォンを取り出し、金色に輝くキーホルダーの写真をアレクに見せた



全く知りませんね。





そうですか。この手紙とキーホルダーは失踪した少女たちに送られていたものです。





私には関係ありません


アレクの声は平坦で、
まるで事務的な応対のようだった。



以前、オリバー君のサインをあなたからいただきました。





ええ。覚えていますよ





その色紙にある肉球紋と、
この手紙の肉球紋が一致していたとすれば…





バカバカしい、そんなはずないだろう!





はい。この送り主はとても慎重な方のようです。肉球紋は一切残っていませんでした。


アレクは立ち上がり、声を荒げた。



では何の証拠もなしに来たのか? 仕事の邪魔だ、帰れ!


しかしフェリックスは動じず、
決定的な情報を提示した。



管理長はあなたからこのキーホルダーを持った少女が現れたら人間界のゲートを開けるよう言われていました。





ふん、くだらない。私がそんなことを言うわけないだろう


そのとき、扉が開き、
ワトリーが息を切らせながら入ってきた。



フェリスあったのだ!





アレクのパソコンからアイドルやモデルになりすましてメールのやり取りをしていたのだ。





それが何だと言うのですか?マネージャーがタレントに代わってファンへの営業活動をしているだけですよ





この業界では珍しいことではない





実はこの手紙をもらった少女は、友達に目印となるキーホルダーを渡してしまったようです





犯人は選んだはずのネコとは異なる少女が現れ、誤って人間界へ送ってしまった。犯人は焦り、他のターゲットを探しているはずなんです。





面白いな、そんな証拠があるなら見せてもらおうか。まさかメールのやり取りで犯人扱いしてるわけではないだろうな。


つづく
