ヴィクターは座ったまま、腕を組んで
フェリックスとワトリーを見下ろした。
ヴィクターは座ったまま、腕を組んで
フェリックスとワトリーを見下ろした。



私は経営者だ、経営者は何を求めると思う?





利益だよ、あんたに情報を渡して私に何の得がある?





お、お金が必要なのだ?


ワトリーがおずおずと尋ねると、
ヴィクターは大声で笑った



おまえらみたいな貧乏人の小銭を狙うとでも?


フェリックスは額にしわを寄せ、真剣なまなざしでヴィクターを見つめ返した。



どうしろというのですか
違法行為には協力できません





そうだな、あんたも知ってるよなこの街の警察官ジョセフ。





知っているのだ、
すごく感じが悪いのだ





最近妙な噂を聞いてな。宝石や時計を売りさばいて儲けているらしい。あの警察官の給料でそんな事ができると思うか?





しかもその宝石類の出どころは不明だ。裏での取引をしているらしい





それがいったい何だというのです


ヴィクターは冷ややかに笑い、
背もたれに深くもたれかかった。



まあ、聞け。この裏社会で私の縄張りを荒らすのは許されない行為だ。ジョセフの実態を調査して欲しい





私の持ってる情報と引き換えに
引き受けてくれるよな?


フェリックスは一瞬躊躇したが、
やがて決意の表情を浮かべて
ヴィクターに答えた。



仕方ない。あなたに協力することは不本意だが、やるしかなさそうですね。


ヴィクターは満足げにうなずき、
名刺を取り出した



取引成立だな。ここに『ルビー』というメスのネコがいる。協力してくれるはずだ。


フェリックスはその名刺を受け取り、
名前を口にした



ルビー...


つづく
