敷地の広い片田舎の高校の割には、読書部の部室らしきものはなかった。
どうやら図書準備室が読書部の部室として使われているらしい。



5時間目は体育館で部活の説明があって、
同好会を含めると結構な数の部活があることが分かったので楽しかった♪
…漫画研究会はなくて残念かなー
ホントは漫研、ちょっと気になってたんだけど





でも読書部?とかいうのもアリかな~





結衣ちゃん、
部活行ってみようよ~!





うん!





私は木梨さんと一緒に読書部に行って様子を見ることに





部室は…と、
あれ、これ図書室の準備室やん?





あ、ホントだ
ここかな…?


敷地の広い片田舎の高校の割には、読書部の部室らしきものはなかった。
どうやら図書準備室が読書部の部室として使われているらしい。



マンガとかだと
文芸部の部室ってちゃんとあるのになー





入部希望の人?





あ、ちょっと怖そうな先輩…?





えっとー
様子見というか…





見てってー!
うちのクラブ、部員がほとんどユーレイだけど





あはは、
読書部改め怪談部ですやん!





怪談?アリアリ!
オススメの怖い本も一杯あるわよー!





なんかノリよさそうな人みたい





何しろ、年に1回あるかないかの
県の読書感想文コンクールに代表で1本
出すだけの簡単なお仕事よ~





そんなわけで事情を知ってる2年生以上は登録だけして
ほとんど帰宅部状態なのよ





それで幽霊部員がほとんどなの





文芸部とかって、会報誌みたいなの作ったりするんじゃないんですか?





あー、文芸部じゃなくて、ウチ、
読書部ね!
昔は文芸部もあったんだけど…





へ?
どうかしたんですか?





もしかしてありがちな
会報誌作りすぎ事件?





それとも何か事件が…!?





私達よりちょっと前の先輩ね、
文芸部と漫研の部員が仲良くて
合同誌作ったらしいんだけど





ふむふむ?





当時流行ってた「戦艦少女」の
同人誌を会報誌として出しちゃったのよ





あー、その作品、
何年か前に流行ってましたよね…





特に萌系が好きな男性ヲタさんたちに…





しかもそれ、ちょっとえっちなやつ…





やっぱりそうきたかー





えええ?
文芸部の会報誌で?





そうなのよー





バレなかったんですか?





バレたらしいよ~
で、学校側でも大問題になって
その後、文芸部と漫研はこの学校では
タブーみたいになっちゃって!





あちゃー
やらかしよってぇ!





そんなわけで、会報誌とかナシの
読書部が誕生したんだけど
ほとんどは適当に好きな本読んだりするだけ





あとは図書委員の手伝いで
納品された図書室用の本を運んだり、管理の手伝いしたり、
修理の手伝いしたり…とか





あ、さっき来た一年男子も
今、図書委員の手伝いに行ってもらってるよ





へえ、今年は新入部員
多そうですか?





うん!
そこそこ入部希望書もらってるよ





私も入部しちゃおう!
結衣ちゃんは?





あ、私も!





この緩さならバイトできそうやし





あはは~
聞こえてるんですけど!





ま、気にしなくて大丈夫だよ
マジで緩い部だから





私たちは入部届を部長さんに渡しました





あ、なに?
あんたも来たの?





あ、ねーちゃん!





あ、同じクラスの真島君とか
いう男子だ…





姉弟?
たしかに似てる…!





入部届~!
これでいいか?





いいよ
まー、どこから見ても
あんたは幽霊部員
まっしぐらなんですけど?





いいじゃねえかよ
1、2年は部活必須とか
だりぃじゃん





だりぃとか言うな~!
最近、マトモな恰好してると思ったのに
言葉遣いは中坊のまんまだよ





っせぇな!
届出したから、もういいだろ?
じゃあな!


真島は言うことは言い終わったとばかりに
部屋を去って行った。



おやま、部長の弟さん?
うちのクラスの男子だったよね?





そうだね





愚弟がお世話かけます~





あはは、そんな…





中学の時まではヤンチャしてて…
高校入って少しは落ち着いたみたいだけどね





姉弟仲良さそうやなぁ…
一人っ子やから、
ちょっとうらやましいわぁ





私も…





もー、年の近い弟なんて
ムカつくことの方が多いってば!





扉の音がしたので、私たちは戸口を振り向きました。
そこにいたのは…





本当に「オーラをまとう」とかってあるんだなあって思いました!





なんと!
木梨さんが推してたモデルの
斎原 彩華ちゃんでした!


彩華は気さくに、親し気に部長に話しかけている。



和美~!
新入部員、どう?
来てるの?





すごい!
かわいい!顔小さい!色白い!
スタイルいい!
アイドルなんて、目じゃないよ!





うん、順調順調!





彩華は今年もテニス部なの?





う~ん、最近雑誌の仕事増えて
練習出られないことが多くて…
私も帰宅部入ろうかな





帰宅部じゃなくて、
読書部!





あはは、そうだった!
でも、緩い文系部って、
楽しそうでいいな♪





ちらっと木梨さんを見たら、
じーっと斎原先輩を見てました!
好きなんだなあ…





……





よ~し☆彡
じゃあ、入部希望届ね!





了解、彩華!
読書部へようこそ!





そこに新たな人影が…





びくっ





い、犬上君…?





……





あ、お手伝い、どうもありがとうね!





いやあ、助かったよ
犬上君、力持ちだねえ?
納品された本、
結構重かっただろう?





ダイジョブです
父の手伝いで
よく材木運びしてました





材木?





Californiaで林業してました





へえ!
めっちゃ助かったよ!
ありがとう





…そういえば、後ろの席に座っているけど、犬上君のこと「こわそうなひと」としか、思ってなかったな…





いわゆる帰国子女?
ハーフなのかな?
髪ブリーチしてるんだと思ってた





私も手伝ってもらったりしたし、
意外と優しい人…だったりするのかな?





その後はざっと自己紹介したりして
部活は早めに終わりました





でも、犬上君は「日本の本が読みたい」と言って、図書室に図書委員の人と残ったみたい





怖い不良と思ってたけど…
意外と真面目?
なのかな…





結衣ちゃん、途中まで一緒に帰ろう♪





うん!


第4話 終
