眠っていたグレータは、窓から入る朝日が眩しくて少し顔をしかめる。
まだ眠くて、もうちょっと寝ていたいと思った。
眠っていたグレータは、窓から入る朝日が眩しくて少し顔をしかめる。
まだ眠くて、もうちょっと寝ていたいと思った。



……今日はいい天気みたいだな……暖かい……


もう一生ここから出たくないと思って、横を向いてシーツの中に顔を埋める。
そこでグレータは誰かに抱きしめられていると気がついた。



あれ?お兄ちゃんでもないし、ルルーでもない……え?どういう事?


不思議に思ったグレータはゆっくりと目を開く。



……うぁ?


グレータは目を開いて固まる。
目の前にいたのは美しい銀髪が光る、見たことのないぐらい綺麗な顔をした男の子だったのだ。



おはよう、グレータ


男の子は、見たこともないぐらい爽やかな笑顔でそう言った。
まるでいつもそう言っているように自然な感じで言ったが、グレータにとっては見たことのない男の子だ、しかもベッドで抱きしめられている。



……ぎゃーーーー!!!


グレータは叫び、慌てて飛び起きてベッドから飛び起き、相手から距離をとる。
慌てて周りを見渡す。
もしかしてどこかに連れ去られでもしたのかと思ったのだ。
しかしここはいつも自分が眠っている見慣れた部屋だ。
違うのは目の前の男の子だけ。



グレータ!起きたの?





グレータ!大丈夫か!


バタバタと足音がしてルルーとヘルフリートが慌てて部屋に駆け込んできた。
見慣れたルルーの顔とヘルフリートの顔に、グレータはホッとしてルルーに助けを求めるように抱きついた。



ル、ルルー!な、なんか知らない子がベッドに……





おい!お前誰だ!グレータになにした!


ヘルフリートはそれを見て驚き、可愛い妹の一大事と思い。グレータをかばうように男の子と対峙する。
しかし男の子は何も無かったかのように起き上がると、一瞬のうちに一匹の白い猫の姿に変身した。



ニャー





……へ?レオ?


レオはあっけにとられた2人を横目に、何事もなかったようにベッドから降り。
何もなかったように、スタスタと部屋から出て行ってしまった。



あー……レオ!勝手に女の子のベッドに入っちゃダメでしょう!





へ?あれ?え?……えーーー!レ、レオ!!!





ル、ルルー、ど、どう言うこと?何が起こってるの?





それよりグレータ、体の方は大丈夫?
足をくじいたって聞いたけど他に痛いところとかない?


ルルーは、心配そうにグレータに聞いた。
昨日聞いた限りでは、かなり高い崖から落ちたはずだ。大丈夫そうだと聞いたが後で後遺症が出ないとも限らない。



え?あ、ええっと。うん、大丈夫だと思う……





っていうか、そう言えば昨日崖から落ちたんだ!


手足を動かしてみたが、今のところものすごく痛むところはなさそうだ。



ああ、良かった。心配したのよ


ルルーはそう言って、グレータをぎゅっと抱きしめた。



ルルー……





本当に大丈夫か?グレータ、休みたかったらもっと寝ててもいいんだぞ





二人には本当に心配かけちゃったんだな……





でも、心配してくれて嬉しい……





お兄ちゃん、ありがとう。大丈夫だよ……





……あれ?そういえばいつのまに私、家に戻ってきたの?私、迷子になって……それから冬狼が出てきて……それで……


そのことを思い出したグレータは、さらに思い出す。
レオが襲われそうになって助けようとして、逆に自分が襲われそうになったことを。
まさに悪夢のような出来事だった。



そうだ……で?あの後どうなったんだっけ?


あの後、気を失ってしまったグレータは、狼がどうなったのか思い出せない。
レオが死んでしまうかもと必死だったので、記憶が混乱していた。



それに、あの大きな竜は何だったの?
夢でも見てたのかな?


さっきのレオのことといい、わからないことだらけでとうとうグレータは頭を抱える。



うう〜





取り敢えず体調はよさそうね……良かった……





とりあえず、朝食にしましょう。昨日から何も食べてないでしょ?詳しいことはその後に説明するわ





朝食……


そう言われてグレータは、自分がお腹が空いていることにやっと気がつく。昨日の夜から何も食べてない。ついでに喉もカラカラだった。



確かにちょっと落ち着いた方がいいかも……





じゃあ、準備してくるね。グレータは着替えて


グレータは服を着替え、ルルー達は朝食の準備をはじめる。
とはいえ、朝食はもうすでにできていた。
グレータがいつ起きてもいいように、準備していたのだ。
今日の朝食は朝食にしては豪華な内容だった。
いい匂いがして現金なことにさっきまで何もなかったのにお腹がグーと鳴る。



あ……





じゃあ、たくさん食べてね





いただきます!


朝食はいつも通りだった、驚くほど普通だった。
食事は美味しくて、向かいにはルルーがいて隣にはヘルフリートもいる。
昨日のことはもしかしたら本当に夢だったんじゃないかとさえグレータは思った。
朝食を食べ終わるとグレータの気持ちも少し落ち着きを取り戻しはじめホッとしていた。



じゃあ、最初から説明するね





うわ!


落ち着いた気持ちはすぐに吹っ飛んだ、やっぱりベッドにいた男の子はレオだったのだ。
グレータは変身した男の子に怯え、隣にいたヘルフリートにしがみつく。



え、えっと……レオ?……が説明するの?


目の前の男の子が、本当にレオなのかまだ納得しきれないグレータは、ルルーに助けを求めるようにそう聞いた。
猫だったレオが人間になるだけでも違和感があるのに、その人物がまた見たこともないくらい綺麗な顔なものだから余計に構えてしまう。



実は、私も詳しいことはよくわかってないの。だから説明はレオにお願いするわ





僕なりに色々考えてみたんだ、うまく説明できるかわからないけど……


レオの声はとても柔らくて口調も優しかった。年齢はグレータと同じくらいか少し上ぐらいだろうか。落ち着いていて、大人びた雰囲気がある。
その動作には猫のレオを彷彿とさせる優雅さがあり、グレータは少しだけだがレオと目の前の男の子が繋がった気がした。



説明することが多いから、とりあえず簡潔に言うね





……ごく





グレータは魔女だ





…………





…………は?


