突然現れた魔物に対して、ランディが剣を構えユフィの判断を確認する。
判断は最速を信条とするユフィは、気にならぬほどの一瞬の間を開け返答する。その言葉に迷いは見受けられなかったが、少し目元に不安の影が差すのをアデルは感じた。



当然ぶっ倒すよな。


突然現れた魔物に対して、ランディが剣を構えユフィの判断を確認する。
判断は最速を信条とするユフィは、気にならぬほどの一瞬の間を開け返答する。その言葉に迷いは見受けられなかったが、少し目元に不安の影が差すのをアデルは感じた。



4人で一気に行くわ!





あの武器には特に気を付けろよ。
恐ろしく速い振りだった。





了解っす!





くたばりやがれっ!





きまったっすね……





一瞬だったな。





す、凄い……





…………





一丁前なのは――





まだよっ!
油断しないで!


連撃で倒した魔物の鎧部分から、迷宮の闇を払うほどの光が放たれた。そして現れたのは、同じく黄金の外皮と翼を持つ宙に浮かぶ魔物だった。



こっちが本体ってわけか!





先手必勝っすよ!





しつけぇーんだよ!





か、硬いっす……





!?
剣が……効かない……





硬い……のか?





っく!?





キャッ!?





うわぁぁぁぁぁ!


宙に浮く金色の魔物がギュルリッとその場で旋回すると、四方に風が巻き起こった。その旋風は魔物を中心として全域に拡がり、ハル達を襲う。
軽量のロココとアデル、それにジュピターは踏み止まれず、後方に尻もちをついてしまう。ユフィも床に、伏せて踏ん張っている。
しばらく続いた旋風が勢いを弱めると、視野がクリアになっていく。
宙に浮く魔物は、悠然と金色の翼を風に乗せるよう揺らしている。そして最初に現れた金色の魔物と同じく鼻を利かしているようだ。



ウヴェ~
口にいっぱい砂が
入ったっす。





何かを探している……





さっきからずっと、
鼻を利かせてやがる……





き、きっと……
チーギックに付けられた
臭いです。





きっとチーギックは
アイツの存在を知った上で
僕達に……





その臭いを消そうと
襲って来るってのか。


アデルの推測から、自分達に付いてしまった臭いが原因という答えに行き着く。宙を舞う魔物は漂うように未だに鼻を利かしていた。



でも刃が……
剣が全く効かなかったっすよ。





効かなかったのは確かだが
そもそも奴に当たる前に
弾かれたっつー感じだった。





ぼ、僕にもそのように
見えました。





刻弾を使うわ。
しかも三人同時に。
アデルは前から、
私は90度回り込んで右から、
そしてランディは
奴の下に踏み込んで
真下からの三方向からよ。
ジュピターも四発目を
いつでも撃てるように
しておいて頂戴!





分かりました!





確かに三方向と時間差なら
避けられにくいけど、





迷ってる暇はねー!
それでいくぜ!


剣が効かない相手と分かったユフィ達は、即座に行動に移る。
刻弾が使えないハルは追撃の体勢、刻弾を限度近く撃っているロココは周囲の警戒に気を張る。
この作戦で一番困難な役割は、ランディの真下からの刻弾。高速で移動しながらの刻弾使用に加え、超が加えられるほど魔物への接近を要求されるからだ。



合わせろよ!
二人共!!


