ドキ
ドキ



矢沢杏里、12才、今、運命の瞬間です!


ドキ
ドキ



心臓の音がうるさくて、もう何も聞こえない。


F-294



瞬間、私は、周りを振り返った





辺りでは、「K246番!」や、「Fの、136番いませんか?」などの声が聞こえる。





いない・・・か。


と、その時



Fー294、Fー294





えっ!





私はもう1度、自分の番号を確認する。


F-294



そこには、確かにそう書かれていた。





Fー294です!





私史上最大の、大声で叫んだ。すると、





かすかに廊下を走る音が聞こえた。





Fー294って、ここか?





確か、隣のクラスの、伊井崎 優君。
(いいざき ゆうくん)





わ、私Fー294です!





すると、優君は、不満そうな顔をして、





んだよー、男じゃねぇのかよー





と、言った。





そう、このイベント、
「フォーチュンクッキーゲーム」
は、何年か前に、校長先生が、考案したものらしい。





卒業生の、「あーあ、彼女なしで卒業かー」とか、「友達もっと増やしたかったなー」とかいう声を聞いて思いついたんだって。





全生徒に配られるフォーチュンクッキーには、1つだけ、同じものがあって、そのペアを見つけられた生徒は、すごく硬い縁で結ばれるんだとか。





つまり、カレカノとかができるんだけど・・・





無理無理やだ。男子と友達になる予定だったのに。





めちゃくちゃ同意見





こうして私たちのドタバタコメディーは、幕を切ったのであ・・・る?


