君を懐うは秋夜に属し 散歩して涼天に詠ず
君を懐うは秋夜に属し 散歩して涼天に詠ず
山空しくして松子落つ 幽人応に未だ眠らざるべし
魔道書対戦RPG マギカロギア
龍神奇譚 第弐話
月明かりに照葉舞い
「最早君の隣に立つことが叶わぬとしても、私は」
導入



では!始めて行きたいと思います。時期は秋の入り口ごろ。1話から……数か月後かな?
秋であればいつでもいいので決めてなかったのですが、どのくらいがいいとかありますかね?





特に時期へのこだわりはないんですが……折角だから月が綺麗な季節と言う事でいかがでしょう!中秋の名月……





はーい!前回の終わりはいつ頃になりますかね?朝が寒いという描写だったから、春の初めころかな?そこから…5か月くらいかな?約半年後の話で行きましょう。





はぁい!


あれから、緋奈子はたびたび祈雨丸の神社を訪れるようになった。
ことあるごとにひょっこりと顔を覗かせては、他愛ない雑談に興じたり、たまに祈雨丸をどこかへ遊びに行こうと誘ったり。



そんなこんなで仲良くなった!そんな秋の日のことです。





きーやん、いるー?


今日も今日とて、緋奈子が遊びに来たようだ。
赤髪を揺らし、ひょっこりと顔を覗かせる。



居りますよ、こんにちは





慣れたように挨拶して出迎えます





ちわー。今いい?邪魔じゃない?


そう聞きながらとことこと入ってくる。



ええ、急ぐ仕事もありませんし……どうぞ。お茶を淹れましょうか





まじ?やった。あ、そこでたい焼き売ってたから買ってきたんだ。つぶあんへーき?こしあん派?





どちらも好きですよ。馴染み深いのは、つぶあんの方ですが





んじゃ、きーやんはつぶあんね。うちはこしあんにしよ……。お邪魔しまーす


ごそごそと手に持っていた紙袋をあさりつつ、招かれるままに社務所へ上がる。
最初のオドオドはどこへやら。もう慣れたものだ。



はい、いらっしゃい





もう慣れたんだな……仲良くなった……





半年くらいなんだかんだ通ってますからね……。もうお皿の位置とかわかってそうだな…





神主のマブダチ(?)として巫女さんからは認定されていたり、





やったぜマブダチ認定





コイバナ好きの一部の巫女さんからは『なるほどな(納得)』とか言われたりした……(?





ふふwwww なるほどな、とか言われると『何が!?なにがなるほどなわけ!?』とあからさまに慌てる





ふふw 『あの件(龍神事件)のことは公になっていないはずなのに、何に納得されているのでしょうね……』とか言ったりする……





『そ、そだね。よくわかんないねー』と目をそらしたりしている…





ふふ……まだまだ一部のNPCによる監視は続く……





ふふ……www そんな感じでほのぼのとした日々を送っていた……。


緋奈子は持参したたい焼きをお皿に盛って机にもっていき、淹れてもらったお茶を啜る。
そしていつも通り、他愛のない話をつらつらとし始めた。
何か、特別な用があってきたわけではなさそうだ。
学校でこんなことがあったとか、妹がこんなふうに甘えてくるだとか。
最近母に新しい料理を習ってるだとか。
そんな中で「あ、そうだ」と漏らす。



いかがしましたか?





もうすぐ…って言っても1か月くらい先だけどさ、実家で…なんていうんだろ。式?的なのがあってさ





式…ですか





正式に綾緋……妹が、うちの家の跡継ぎになるぞーっていう式。“緋継の式”って言うらしいんだけど





おやそれは……大事な儀式の様ですね





うーん、一応伝統はあるっぽい。まぁ、うち両親健在だし、形式的なものっぽいけどね。
そんなわけで、なんかその式の段取りとか、練習とかでしばらく来れなさそうなんだよねー





と机に突っ伏す。





成程、それは寂しいですね……





と湯呑を置いて溜息。





一月後ですか……こうして和んでいれば、あっと言う間にその日は訪れてしまうのでしょう





そーそー。舞とかやったりするから、あんま気が抜けなくてさ。妹の晴れ舞台で、失敗するわけにもいかないし


そうぼやいたあと、突っ伏したまま顔を上げた。



……寂しい?


そう鸚鵡返しに問う。



ええ、緋奈子さんとこうした時間を共に過ごすのは、祈雨の楽しみの一つですから。暫し人恋しくなってしまうでしょう





ですが、妹君の為にと励む良き姉君を、どうして私のような者が引き止められましょう





とちょっと冗談めかして言います!





そ、そっか……


突っ伏した腕に顔をうずめて赤いにやけ面を隠しつつ、そのあと顔を上げて



そんな風に言われたらさ、がんばらないわけにはいかないじゃん? ま、ふつーにがんばるけどさ!





成功をお祈り申し上げまする。……ふふ、それとも。朱華の一族に、雨龍の加護は不吉でしょうか





そ、そんなことないし!むしろ心強いっていうか!





そのころころ変わる表情を眺め





それはよかった。……欲を言えば、祈雨もその伝統の舞を拝見したいものです





んー、どうだろ。家の儀式だからなぁ……。難しいかもだけど、聞いてみるわ





ええ、無理は承知の上。今のはただの欲の話、聞き流してください。そも、舞は儀礼であって遊戯にあらず。興味だけで参加できるものではありません





あ゛っ、う、うーん、いや、いいんだけど……ちょっと……恥ずかしいかも……





……おや、練習を重ね、懸命に舞うあなたのそれを、恥ずかしいなどと思うものではありませんよ。きっと美しいはずです





と微笑むのだ(天然人たらし爬虫類)





うえぇぅええ……! ま、またそういう~……





……思えば、”人”の舞というものは、今の時代、見る事が少なくなりましたね。祭事自体も縮小しておりますし……





あー、そうかもね。ダンスとかなら結構いろんなところでやってるけど、“舞”だとあんま見ないかも





咳払いしながら復活する緋奈子





かわいい。





舞踊ともまた違いますからね。生きるため、あめつちに祈りを捧げる人の、敬虔で懸命な”舞”……懐かしいものだ





まぁ、そんな理由からですね。舞が見たい…などと口走ってしまったのは。……人の営み、血の継承、そのための舞はきっと美しいのです





………………祈りの舞、かぁ。今度の舞、決まりだからーとか思ってたけど、ちゃんと由来とか聞いてみようかなぁ





きーやんのそういう気持ちも、ちゃんと受け取って舞いたいしね。決まりだから、とかじゃなくて





ええ、私はいつでもこの神社に居りますから、頑張っていらっしゃい。そして差し支えなければ、その答えは次会う時のお土産話にしてくださいね





あ。……ふふ、次の約束を取り付けてしまいました。祈雨も人の生活様式に慣れてきたでしょうか





緋奈子ちゃん知り合って日が浅い時、怒涛に原宿やら遊びに行く予定が立ったことを思い出した





! いーじゃん、いーじゃん!そんな感じでさ!どんどん計画立てよ!





はい、どんどん行動していかねば! お気遣いありがとうございます、緋奈子さん





じゃあ次までの宿題ってことで…………あと、まぁ、きーやんがそういう風に、欲っていうか、我儘っていうか、言ってくれるのあんまりないからさ、やっぱ聞いてみるわ。無理かもだけど……





……それに、そういわれると、ちょっとだけ、見てもらいたかったりもするし……





あっ、まぁうちは引き立て役って言うか!主役じゃないんだけどね!





ええ、存じておりますよ。ですが、私の目はきっとあなたを追ってしまうでしょう。お友達ですからね





え、う、そ、そう!お、お友達、ね!そだね!





コクコクコクと頷いたあと、内心(……お友達だもんねー……)とちょっとだけがっくりしている。





ガックリには気付かず…





朱華…不知火の舞か……





と思いを馳せて微笑んでいる。





……前に見せたやつほど、派手じゃないと思うけどね。あれは……まぁ、用途が用途だったし





と前に見せた奥義についてちらりと触れる。





ああ、あれはとても美しいものでしたね。まさに炎といった……どちらかと言えば、日照り乞いに近い舞でしょうか。雨乞いとは真逆です





そ、そっか





とまたさらりと褒められたのでにやけつつ





まぁ、うちは基本炎に属するからね。不知火……っても、うちはなんか大本は不明っぽいけど





そうなのですか……すみません。祈雨は妖魔に類するものとはいえ、あまりそちらの世界…流派の事情に詳しくなく……





ああー……うちもよくわかってないんだけど……。
不知火って元は一族でさ。そこから細分化したっぽくて、たぶん元の元をたどるとその一族のどっかに辿り着くみたいなんだけど、うちはよくわかんないらしくて





悪く言えばポッと出みたいな? まぁ、そういっても百年とか二百年とかは経ってるから、今じゃ関係ないとは思うんだけどさ





なるほど……あれだけの炎を操れてもなお、ですか。……しかし、そうでしょうね。血統の真偽がどうあれ、あなたは強い忍です。それは間違いなく誇れることです





……そっか。ありがと。きーやんに言われると自信つくわー





……あまり、ちゃんとしたお礼を申し上げていなかったゆえ。この町を、堕ちた私を、助けて頂きありがとうございました





うぇ!? そ、そんな改まって言われると…‥あとうちにも責任あったし……





遅かれ早かれ、斜歯の者にはいつか出し抜かれていたでしょう





でも、緋奈子さんで良かったと思っています。
今と言う結果が、すべてを物語っていますから





……!





微笑んでお茶をすするのだ……もう人たらしがノンストップ円環……





……そっか





と、照れたように頬を染めつつ、嬉しそうに笑む……。





ノンストップ円環wwww





《円環》の特技持ってるので、ずっと人たらししますよ……!!





なるほどその《円環》はそういう意味……!!(?)





……うちも。うん。こういう風にお茶飲めて、たい焼き食べれて、……よかったって思う





……ええ、平和ですね。免れぬ綻びを忘れるほどに……





……きーやん?





『免れぬ綻び』というワードに少し怪訝そうな顔をする。





……祈雨の、この魂の籍を置く世界の話です





のどかにお茶を飲みつつ





以前あなたが祈雨を調べたとき、見聞きしたでしょう。〈大法典〉……異端者……





……(一つ頷く)





私は一柱の龍神として、人の営みを守りたい。その為に隠忍でもなく妖魔でもなく、〈大法典〉という組織にて、魔法使いと言う肩書を手に入れた……
具体的に…とは申し上げることができませんが、人間を守るため、私も日々働いているのです





……いつでも神社に居る、と言ってしまいましたが、そうした理由でここを空けることはあるかしれませんね。
すみません





……そっか。まぁ、うちも言えないこと多いし……。じゃ、きーやんは皆を護るために頑張ってるってことだ。ヒーローじゃん





でもさ、皆を守ってくれるのもいいんだけど、まずきーやんが無事でいなきゃだめだからね?そこんとこ分かってる?





はは……そうですね。ですが、物理的には頑丈に出来ているので、ご安心ください





(……器は頑丈だが、魂は根源力3で彷徨いやすいんだよな……そして祈雨丸に”何か”があっても、何も残らないんだな……)





含みのある言い方やめてー





うちとの約束もあるんだしさ!
…………うちの知らないところで、どっか行っちゃうとかさ、そういうのやだよ





(きーやんって、気が付いたらいなくなっちゃいそうで怖いんだよねー……)





……分かっております。人間を置いて隠居は出来ませんし、友人を悲しませたくもありませんからね





わかればよろしー





……目の前にいるなら、うちが頑張って手のひらから零さないでいることも、できるかもしれないし





(いなくなったことにまず気付けない……と言うしんどポイント上昇)





(それです…‥‥‥‥)





頑張って生きるね…………





ではまずは根源力上げよう…(?)





名案ですねそうしましょう、まずはこの功績点を……おっと(爵位にぽちゃん)





功績点ー!!!www





爵位『功績点pt確認しました、伯爵に認定します』





もし、もしも私が消える日が来るとしたら、誰が私を呼び止めてくれるのだろうか……





じゃあ、その物思いにふけっているところに呼ぶのだ…





きーやん?





(声に気付いて)ああ、何でもありません。……肌寒くなってきましたね





……そだね。もう秋だねー





と話題を変えるんだ……





……冬眠の準備をしなければ





と冗談を言って、残っていた鯛焼きを平らげるんだ……





えっ、本当に冬眠すんの!?





とちょっとキラキラした目で見てしまうのだ……。





流石に一般的な蛇とまでは行きませんが、寒いのは苦手ですからね。早め早めに防寒具を準備しなければ、人の姿では堪えます





あー、なるほどー





と、防寒具でモコモコしている祈雨さんを想像してほっこりする。





うちは子供体温だから割と平気なんだよね。ほら、手あったかいっしょ





とか手を出しちゃうやつ。





躊躇いなくその手に触れるんだ…





‥本当ですね。ふふ、温まります





自分の手がひんやりしてることも、緋奈子ちゃン相手だと気にしなくなったんだな……





へへ……良き……





でしょー?





と笑っていたんだけど、はたと状況に気が付く。





あー、ええとぉ……! だから、まぁ歩くホッカイロみたいなもんだからさ! じゃなくてぇ……!





あわわわと自爆しながらオロオロ。





かーわーいーいー(PL素)





へへへ そして体温も上がるやつだ。





本当だ、祈雨が触れても冷めていく様子がありませんね……ほっかいろ、素晴らしい





無邪気に納得しました





ど、どーも……





一人で慌ててることにぐぬぅとなる……





なかよく(?)手を取り合っているところを、きっとたちの悪いモブ巫女にこっそり見られているのだ……





これは翌日問い詰められるかヒューヒューされるかのどっちかだ……


