2025年4月16日(水)
07:05
2025年4月16日(水)
07:05



スッ……





お、早いな、茜。
もう学校行くのか?





うぇ……瑞希さん……。





あー、昨夜は奥様が大変なことになったから、結局泊まったんだっけか。





はい。





瑞希さんと登校時間が被るのは避けたいな……。





瑞希さん、まだ行かなくて大丈夫なんですか?





んー。まあ、不良教師だからなぁ。





なんつーか、時間通りにったほうが変だろ?





はぁ……。





まあでも、茜が一緒にって言うなら、アタシも一緒に行くかな。





え……アタシは一人が……。





……待てよ。





アタシの方からクシナダへの侵入が困難な今、向こうから狙って来ているこの状況はむしろ好都合なんじゃないか?





『とりかえばや』がクシナダ最高峰の技術とはいえ、所詮人間のやること。





もしかしたら、瑞希さんの中からクシナダの綻びを見つけ出せるんじゃ……?





そうですね、是非。





ほほー、いいねぇ。





おっしゃ、じゃあ行くか、茜。





おうよ!





ふたりとも、行ってらっしゃい。





学校にカチコミか何かに行くんでしょうか?





とは考えたものの……。





そんな綻び、どうやって探せばいいんだ?





瑞希さんの中から、教員としての若葉下との関わりは消えているし、柳原もウチらの担任ってことで抜かりはないし……。





あー!頭の中がグルグルする。





危ない!





ハッ!





あっぶねー。





茜ー。





考え事もいいけど、ちゃんと前見て歩けよ。





すみません、瑞希さん。





あー、もう、アタシのポンコツ!





クシナダに消される前に、フツーの交通事故とか、ありえないわー!ったく……。





ん……ありえない……?





そうだ、いっそのことありえない切り口からせめて見るのはどうだろう?





それがもし、クシナダの思いも寄らない細部をついていれば、あるいは……。





……よし。





あの……瑞希さん。





ん?





瑞希さんは……彼氏とかいないんですか?





……。





……。





……。





……。





……。





だあぁぁ!
会話がなくなっちまったじゃねぇか!
何聞いてんだアタシ!





……。





いたよ。





……え。





もしかして、物理の柳原とか……。





バーカ、んなわけねぇだろ!





デスヨネー。





でも……もう二度と会えなくなっちまった。





え……なんで……?





……。





……色々あったのさ!





修羅場かなぁ……。





まあ、今度気が向いたら話してやるよ。





もう学校だしな。





げっ、本当だ、いつの間に……。





まあでも、ちょっとあたしのことを誤解しているようだから言っておくけどさぁ……。





こう見えても、あたしだって昔はやんちゃしてたんだぜ?





今でも、ヤンチャしてそうに見えます。





おいおい。そりゃないぜ、茜。





でもさ……。





困難てのは若い時ほど、
高く立ちはだかるもんさ。





はぁ……。





ほとんどのヤツはその高さに絶望して、何もしない道を選んでしまう。





そんなもんですかね……。





あんたは違うかもしれないけどな……。
……けど。





なんにしろ、やらなかったことを後悔すんなよ、茜。





……は、はい。





んじゃ、また保健室で。





子供みたいな、大人みたいな不思議な人だなぁ……瑞希さんって。





……困難……か……。





やっぱり、もう一度侵入しないとだめかなぁ……。


やんちゃな二人
