要注意人物ども その3
ミルデン街道にて



おーし、依頼人はどこだあ~~?





ここかあ~?





んなとこにいるわけないでしょ……





あーん、誰じゃあ~?





ぎゃああ、おばけ!





おばけはひどかろう。





しゅん……





やっぱりいたじゃねえか! 依頼人か!?





無関係の旅行者でしょう。……お騒がせし、すみません。わたしたちはこれで。





この辺には毒を持ったモンスターもいるでの。道中気をつけなされよ~





普通にいい人だった……





これはこれは。よく参られました。わたしが依頼を出したものです。





早速内容を伺いましょうか。





お恥ずかしながらこの村は今紛争状態にありましてね……





大変だ村長!! 丘の上の連中が攻めてきた……!





なんだと昨日の今日じゃないか!!? 準備して迎え撃て!





慌ただしくてすまなんだ……





争いの原因は何なんでしょう?





……一言でいうなら、資源の取り合いじゃろうか。





うちは代々作物を作って生計を立てている村でしてね。丘の上からは上質な雪割り水を。わたしども平野からは畜産と上質な肥料を。協力して生きあっていたんです。





それが、この前の水不足で、上の連中の態度が豹変したのです。奴らは水を独占しだした! これではわたしたちは生きてはいけない・・・!





よくある悲劇だわぁね……でも、そんなことしたらあなたたちの肥料は? それが手に入らなくなっちゃうんじゃないの?





むろん、連中がそんな手に出るなら、わたしたちも肥料を渡したりはしませんがね。だからやつらは先程のように、襲撃して、奪いに来るのです。





なんて奴らだ。叩きのめす。行ってくるぜ!





気が早い。まだ待っててね。





だがその感情は…悪くないな。それで、村長。いいですね?





ええ。心苦しいが仕方ない。あなた方には襲撃への撃退と、首謀者の討伐をお願いしたいのです。





任された。





まずは偵察に行ってみるか。


村の端で一面に広がる平野。中央にちょうど、小舟3艘ほどの川幅の川が流れている。その両端で佇む2陣営。



……





……





あっちもこっちもにらみ合い。物々しいわね。





これじゃ近寄れっこねえぜ! どうする?





そうだな。時間を改めるか……おや? 誰か出てきたな。





!! 皆さん、伏せて! なんでもいいから近くのものにしっかりつかまって……!


瞬時。地を揺らす轟音。人は叩きつけられ、地面を舐める。かろうじて、準備をしていたものだけがその先へと行動を進められた。



あう、う……な、何? なんかの術……?





ええ、そのようです……場にあふれる精霊たちのざわめき――おかげで、一瞬早く気づけました。





流石だな。お前がいてくれて助かるよ。





誰か出てきたぜ!





見たか! 雑魚ども! ここから先には進ませねーぜ!





あっ


なんと。あれはセントファーンの依頼請負人ではなかったか。



何をやってるんだあいつは……





なになに? 知り合い?





近くによって来たやつから先着順に転がりカブトムシの刑――げえっ!? なんであんたらいるんだ。





なんだとは呑気なもんだな―――





お前がそちらにいるとはちょいと驚きだがな。――覚悟は出来ているか?





おま、おま、おま、俺はあんたとはやりありたくねーぞおま





構えろフォッグ!!





HOHI-------





ちょっと、ちょっと友達なんじゃないの……!?





あちらにいると言うこと。彼が依頼請負人であること。つまり、彼はわたしたちの“標的”に雇われているということです。


知己の仕事仲間といえど、相対する陣営で出会ったが最後――対立する運命!



かかか、覚悟しやがれ。ぶぶぶ、ぶぶっ放してやる……!





楽しませてくれるんだろうな……?


続く
