「いつか地球を売り渡す人間が必ずいるはずだ」
「いつか地球を売り渡す人間が必ずいるはずだ」
子供のころに見たテレビで、どこかの悪役がこのようなことを言っていた。
子供の時は地球を得体の知れない宇宙人に渡してなるものかと思えた。
しかし、大人になるにつれて人間が生きていることに、毎日の淡々とし日々を送ることに飽きてきた。
いっそのこと、どこからか侵略者がやってきて全てをぶち壊してしまってもらえたらいいと何度考えたことか。
会社の帰り道、終電から降りて帰路に就く。終末とはいえ、この時間まで上司に付き合うのはしんどい。
毎日怒鳴られる日々、たまに褒められてもそれは気まぐれ。お客さんにも迷惑がられる飛び込み営業の仕事。
中でも一番嫌だったのは家でも会社でも、金・利益の話ばかりである。
政治や経済、人に喜ばれるにはどうするべきか、話し合うことは他にも色々あるだろうに。
現に笑顔を届けるはずの自分が一番すり減っている。それについては誰も触れない。
そんな届きもしない世の中への不満を吐露しながら家に急ぐ。
目の前に一つの光が現れた。すると



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ごめんよ。この星のこの地域ではこれだったね。いたいた、君はこの星の生き物だね。


目の前に起きている現実が自分を見ていた。



何なんだお前





はぁ、ここは君は自分の星以外から来た生き物とは会ったことが無いんだね。





たぶん他の人間もそうだと思うよ


普通に会話をしてしまった。でも驚くほどの緊張感が目の前の生き物からは感じられなかった。



人間、そうかこの星は人間が支配しているのか


ドッキリ?撮影?そんな風にも一瞬だが考えた。
自分の直感がこの目の前の存在が何かを変えてくれるかもしれないと思ったからだ。



さっそくだけどさ、地球をうちらにくれないかい


定型文すぎて本当にドッキリを疑ってしまう。



地球が欲しいのか





うん、正確には地球もかな





も、ってどういうことだ





うちらの母性にあと1万年後に、巨大な隕石が衝突することになってね、それでいくつか拠点になる星を見つけている最中なんだ。





そうすればもし他の星で危機がせまっても対策ができるからさ


自分は目の前の宇宙人の言葉を何も言わずに聞く。



それで、地球はくれるのかい


自分の口からフッと笑みが零れる。



どうしても地球がほしいのかな





うん、死活問題だからね





宇宙人のくせに難しい言葉を知っているな。





お前、名前は





名前か、とりあえずは宇宙人のチュウでいいよ


「チュウ」と名乗る生物が自分の人生を、世界観を変えた。



その前に色々聞かせてくれよ


ポストの郵便物の確認をすると、自分はチュウを部屋に入れた。



すごいね、ここにはこんな建物がいっぱいあるんだ


これまでチュウは街の様子や電柱、車などに興味を示し、あれこれと聞いてきた。そして今も郵便物入れのドアをパカパカと開け閉めしている。



来ないとおいていくぞ


エレベーター前でチュウを呼ぶ。



わぁ、ごめんよ


テクテクと自分のところまで寄ってくる。その姿が少し可愛らしく感じてしまい、地球を奪いに来た侵略者であることを忘れさせてしまう。
地球の言い換えれば人類にとって重要な決断が迫っているとも知らずに
