――訓練場の東棟の中庭。
――訓練場の東棟の中庭。



痛て……
やっぱスケルトンキングからの
怪我に響くな。





だから言ったろ。
今日は大人しくしてなって。
ユフィに怒られるぞ~。





やっぱり無理は
駄目っすよジュピター。





う~ん、確かに。
そうするか。


毎晩欠かしていないハルとジュピターの自主練。だが、今日はジュピターの怪我が浅くはない。無理をしないようにとリュウがついてきて、調度、一呼吸置いたところだった。



じゃあ、リュウが相手
してくれるんすよね?





うぇ~
やっぱそうなるのか。


リュウはパーティリーダーで、後ろから指示を飛ばしながら弓で援護する立場だ。しかしショートソードも装備していて、接近戦も器用にこなす事もある。体格も長身で基礎体力も高いので、何でもこなす便利屋さんといったところだ。



うわわ
元気なやつだな。





出会った頃より
自分も強くなってるっすよ。


木剣での勝負はハルが優勢だった。押され気味のリュウは、防御で手一杯。そんな感じがジュピターにも伝わってくる。



よっし、
もらったっすー!


リュウの大きな隙にハルが大振りの攻撃を仕掛ける。だが、リュウは素早くバックステップで飛びく。その後退した先には練習用の弓矢があった。
リュウは素早く剣から弓に持ち替え、次の瞬間には練習用の矢じりのついてない矢を放つ。



うげ! 痛て!
うそ~んっす!


右足・左手・額に連続で矢がヒットする。無論本番なら即死ものだ。



弓が見えたもんでつい。





やられたっす。





大振りを誘われて
逆に隙をつくっちまったな。





よしっ!
もう一本っす。





パス。
食後の運動にしちゃ
激しすぎるからな。





ぅええっ!!
それじゃ誰が
自分の相手を
してくれるんすか?





俺で良けりゃ
相手するぞ。


駄々っ子のようなハルの嘆きに答えたのは、フィンクスだった。どうやらこの自主練が気になったらしく、少し前から来て見ていたようだ。
リオ・フィンクスは25歳。
訓練場を同時に卒業したメンバーでは一番年上であり、同じ日に訓練場に入ったシャイン・ロココ・シェルナとは特に仲の良い剣士だ。
リュウから以前聞いた話では、唯一言う事を聞いてくれる前衛で(笑)、腕も頼りになるらしい。



うひょー!
最高じゃないっすか!
では早速いくっす!





お手柔らかにな。


どんな剣筋を見せるのか?
ハルは勿論、ジュピターも脇から期待にわくわくとしているのが分かる。そして木剣を構えるハルの前に、白い歯を見せるフィンクスが悠然と進んできた。
